仕込む(読み)シコム

デジタル大辞泉 「仕込む」の意味・読み・例文・類語

し‐こ・む【仕込む】

《「し」はサ変動詞「す」の連用形
[動マ五(四)]
教えてしっかりと身につけさせる。しつける。「アシカに芸を―・む」「行儀作法を―・まれる」

商売のために、商品を買い入れる。仕入れる。「値上がりを見越して大量に―・む」
㋑飲食店などで、料理の下ごしらえをする。また、料理を作ってたくわえておく。「開店前に―・む」
㋒必要な物を用意しておく。「地震に備えて非常食を―・んでおく」
知識・技術などを自分のものとする。「新しい情報を―・む」
工夫して中に納め入れて作る。「刀をつえに―・む」
酒・味噌・醤油などをつくるために、原料をまぜて桶などの入れ物に詰める。「酒を―・む」
[可能]しこめる
[動マ下二]囲んで作る。垣などを巡らす。
かまど三重に―・めて、たくみらを入れ給ひつつ」〈竹取
[類語]助言教示訓示アドバイスコンサルティングカウンセリング指導導き教え手引き指南教授教育訓育教導補導ほどう善導誘掖ゆうえき鞭撻べんたつ手ほどき教習コーチ伝授する講義する講ずるたたき込む育てる導く仕付ける教鞭を執る薫育教化教学文教育英教えるガイダンス手を取る示教指教徳育知育体育矯正薫陶入れ知恵洗脳感化徳化醇化啓発啓蒙

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仕込む」の意味・読み・例文・類語

し‐こ・む【仕込】

  1. ( 「し」はサ変動詞「する」の連用形 )
  2. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. 教えて身につけさせる。教え込む。しつける。
      1. [初出の実例]「跳らしてみんとすれど、もとよりしこまぬ芸なれば、少(すこし)もはたらかず」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一五)
      2. 「一子文三に学問を仕込む」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    2. 工夫して中に入れてつくる。内部に装置する。多く、刀身を杖の中にはめ込む場合に用いる。
      1. [初出の実例]「になひぼうにしこみたるくだんのあざ丸するりとぬいてさしかざし」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)一)
    3. 商店などで、すぐ売りに出せるように品物を買い入れておく。仕入れる。また、飲食店などで、原料、材料などにあらかじめ手を加えととのえて、すぐ商品として使えるように準備する。物をあらかじめ配置したり、すぐ使えるように用意したりしておく意にもいう。
      1. [初出の実例]「さて仕込たる茶碗を風炉前へをろし」(出典:南方録(17C後)台子)
      2. 「こりゃはあやすいもんでござらあ。かういうことならまっとしこんでくればよかったあもし」(出典:滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)一二)
    4. 酒、みそしょうゆなどを醸造するために、原料を調合して、桶(おけ)などにつめこむ。
      1. [初出の実例]「甘酒 しこみしは三石一斗あまざけの買人はいつも富士の山ほど」(出典:合巻・金儲花盛場(1830)上)
    5. 事にそなえて計画や準備をととのえる。
      1. (イ) 考えを練って手段をたてる。
        1. [初出の実例]「賤しき太鼓持にやつし、是迄仕込みし所に、謀(はかりごと)顕はれ」(出典:浮世草子・風流西海硯(1735)三)
      2. (ロ) 知識などを身につける。また、後のことにそなえ身につけておく。
        1. [初出の実例]「こは後に大関目の、妙趣向を出さんとて、数回前より、その事の、起本来歴をしこみ措(おく)也」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九)
    6. 内側へはいり込む。侵入する。
      1. [初出の実例]「中井玄番が敵うち、同名勝彌なるぞ、新五右衛門出合(いであへ)と、寝間口まで仕込(シコミ)」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)二)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. まわりを取り囲んで構えつくる。垣などをまわりにめぐらす。
      1. [初出の実例]「人寄り来まじき家を作りて、かまどを三重にしこめて、たくらを入れ給ひつつ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 外側を物でおおう。
      1. [初出の実例]「Xicometayumi(シコメタユミ)〈訳〉うるしを塗り、糸を捲いた弓」(出典:日葡辞書(1603‐04))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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