教える(読み)オシエル

デジタル大辞泉 「教える」の意味・読み・例文・類語

おし・える〔をしへる〕【教える】

[動ア下一][文]をし・ふ[ハ下二]
知識・学問技能などを相手に身につけさせるよう導く。教育する。教授する。「英語を―・える」「イヌに芸を―・える」「学校では三年生を―・えている」
知っていることを相手に告げ知らせる。「道を―・える」「花の名所を―・える」
ものの道理や真実を相手に悟らせて導く。戒める。教訓を与える。「父の生き方に―・えられた」「今回の事件が我々に―・えるところは多い」
[補説]室町時代以降はヤ行にも活用した。→教ゆ
[類語](1教授する伝授する講義する講ずる指南する指導する教育する仕込むたたき込む手ほどきするコーチする育てる導く仕付ける教鞭を執る訓育薫育教化教学教習文教育英助言教示訓示アドバイスコンサルティングカウンセリング導き教え手引き教導補導ほどう善導誘掖ゆうえき鞭撻べんたつガイダンス手を取る示教指教徳育知育体育矯正薫陶入れ知恵洗脳感化徳化醇化啓発啓蒙/(2報ずる知らせる告げる伝える宣する知らす触れる示す教示する示教する指教する助言する入れ知恵する言い送る申し送る申し伝える申し越す申し渡す言い渡す達する伝達する通知する連絡する通告する通達する下達する令達する口達する通ずるコミュニケートする取り次ぐ伝言する話す/(3啓発する啓蒙けいもうするもうひら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「教える」の意味・読み・例文・類語

おし・えるをしへる【教・訓】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]をし・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 行動や身の処し方などについて注意を与えて導く。いましめる。さとす。
    1. [初出の実例]「因りて教(ヲシヘ)まつりて曰(まう)さく『此の鈎(ち)を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)に与(あた)へたまはむ時に〈略〉貧鈎(まちち)と曰たまひて、然る後に与へたまへ』」(出典:日本書紀(720)神代下(水戸本訓))
    2. 「一切の人を勧化(ヲシヘ)て此の経を読誦せしむ」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
  3. 知っている事や自分の気持、要求などを他の人に告げ知らせる。
    1. [初出の実例]「花散らす風のやどりはたれか知る我にをしへよ行きてうらみむ〈素性〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・七六)
  4. 知識、技芸などを身につけるようにさせる。教授する。
    1. [初出の実例]「有知を暁(ヲシヘ)喩さむことを望ひ」(出典:石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    2. 「ちひさき人には手習ひ歌よみなどをしへ」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  5. おだてたりして、悪い事をするようにしむける。
    1. [初出の実例]「妻有て此事を羅漢、夫に語らむ事を恐れて、賊人を教へて此の羅漢を殺しつ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二)

教えるの語誌

( 1 )平安時代の「をしふ」は、和文では「〈人〉に〈物〉ををしふ」の構文をとるのが通例であるのに対し、漢文訓読文では、和文と共通の構文の他に挙例「天理本金剛般若経集験記平安初期点」のように「〈人〉ををしふ」の構文もとる。
( 2 )の意味は、本来使役の辞である「教」字を、「をしへて~(せしむ)」とよむ訓法が平安時代後期以降成立したことに起因し、「~」の本動詞の意味が特に悪い結果を生じさせたり、悪意に基づく所作であったりした場合に、「悪いことをしむける」の意味に解されるようになったのであろう。
( 3 )室町時代ごろから「をしゆ(る)」が使われたが、その明らかな例は「おしゆ」の項にあげた。→教ゆ


おす・えるをすへる【教】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]をす・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 「おしえる(教)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「しらずとばかりにて、をすえざるときんば」(出典:成簣堂本論語抄(1475頃)八佾)

おせ・えるをせへる【教】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙 「おしえる(教)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「教(ヲセヘ)たらちっとづつ縫物(しごと)も出来やうと思ったが」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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