仕付ける(読み)シツケル

デジタル大辞泉 「仕付ける」の意味・読み・例文・類語

し‐つ・ける【仕付ける/為付ける】

[動カ下一][文]しつ・く[カ下二]《「し」はサ変動詞「する」の連用形。「仕」は当て字
しなれている。やりつけている。「―・けない仕事なので、はかどらない」
(「躾ける」とも書く。「躾」は国字礼儀作法や芸などを教え込む。「子供をきびしく―・ける」
縫い物にしつけをする。「着物の袖を―・ける」
植えつける。また、田植えをする。「畑にキャベツを―・ける」
嫁入り独立など、娘や息子の身の振り方を決めさせる。
「今時の縁組…美を尽くして―・けける」〈浮・一代女・四〉
負かす。やっつける。
「千代歳さまに―・けられて無念な」〈浄・冥途の飛脚
[類語](2助言教示訓示アドバイスコンサルティングカウンセリング指導導き教え手引き指南教授教育訓育教導補導ほどう善導誘掖ゆうえき鞭撻べんたつ手ほどき教習コーチ伝授する講義する講ずる仕込むたたき込む育てる導く教鞭を執る薫育教化教学文教育英教えるガイダンス手を取る示教指教徳育知育体育矯正薫陶入れ知恵洗脳感化徳化醇化啓発啓蒙/(3縫うつづじるかがけるまつる裁縫する縫製する縫い込む綴り合わせる綴じ合わせる綴じ付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仕付ける」の意味・読み・例文・類語

し‐つ・ける【仕付・躾】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]しつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「し」はサ変動詞「する」の連用形 )
  2. 作りつける。仕掛ける。設ける。したてる。
    1. [初出の実例]「くちなはの形をいみじく似せて、動くべきさまなどしつけて」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)虫めづる姫君)
  3. やりなれている。やりつける。
    1. [初出の実例]「犬ふせぎにすだれをさらさらと懸くるさまぞいみじくしつけたるや」(出典:能因本枕(10C終)一二四)
  4. し始める。やりだす。
    1. [初出の実例]「今すこし珍らしからんことしつけて、同じくは例にせむ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
  5. ( 躾 ) 礼儀作法や生活習慣などを教えて身につけさせる。習わせる。
    1. [初出の実例]「客と云は礼儀をよく習てしつけて」(出典:史記抄(1477)一六)
  6. 娘や息子などの身のふり方をきめさせる。
    1. (イ) 嫁入りさせる。とつがせる。
      1. [初出の実例]「今時の縁組すゑすゑの町人百姓迄〈略〉衣類諸道具、美をつくして仕付(シツケ)ける」(出典浮世草子・好色一代女(1686)四)
    2. (ロ) 息子や娘に家を与えて独立させる。
      1. [初出の実例]「Xitçuqe, uru, eta(シツクル)〈訳〉親が子どもに家を与えてめんどうをみる」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. (ハ) 奉公させる。
      1. [初出の実例]「あの子斗(ばかり)大坂へおばをたよりに何方へもしつけてくれとてのぼされしが」(出典:浄瑠璃・心中刃は氷の朔日(1709)上)
    4. (ニ) 独立させる。
      1. [初出の実例]「古老の手代六人まで一度に仕附」(出典:浮世草子・立身大福帳(1703)四)
  7. 馬に馬具をつける。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  8. 負かす。
    1. [初出の実例]「ハタラキ スグレテ アイテヲ xyccuque(シツケ) タレバ」(出典:バレト写本(1591))
  9. 着物に「しつけ」をする。仕付糸をかける。
  10. 苗を植えつける。田植えをする。農作物田畑にまきつける。
    1. [初出の実例]「けふばかり人も年よれ初時雨〈芭蕉〉 野は仕付たる麦のあら土〈許六〉」(出典:俳諧・韻塞(1697)元祿壬申冬十月三日許六亭興行)

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