(読み)テン

デジタル大辞泉 「典」の意味・読み・例文・類語

てん【典】[漢字項目]

[音]テン(呉)(漢) [訓]のり さかん
学習漢字]4年
基本となる書物。「典籍経典けいてん・きょうてん原典古典辞典出典聖典仏典文典宝典
いつも変わらぬ基準。手本。「典拠典型典範典例楽典儀典通典法典
手本にのっとって行う儀式。「祭典式典祝典盛典
規則にかなって整っている。「典雅
質に入れる。「典物
役人職務をあずかる。「典獄典薬
特別の扱い。「栄典恩典特典
(「」の代用字)供え物。「香典こうでん
[名のり]おき・すけ・つかさ・つね・ふみ・みち・もり・よし・より
難読主典さかん

てん【典】

盛大な儀式。式典。「華燭かしょく
守らなければならないきまり。のり。
諸藩の費用多きが故に今其―を止められたり」〈条野有人・近世紀聞〉

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精選版 日本国語大辞典 「典」の意味・読み・例文・類語

てん【典】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 盛大に行なうはれやかな行事。盛典。儀式。
    1. [初出の実例]「我日本に於て、此典を挙行せられしことは」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)
  3. 守らなければならないきまり。のり。おきて。規則。法則
    1. [初出の実例]「清詩は典を用ふるに巧に、対を取るに巧みに、議論に巧みなり」(出典:淡窓詩話(19C中)下)
    2. [その他の文献]〔礼記‐月令〕
  4. 真理などが書かれた書物。守るべき事柄が記されている本。典籍。書籍。〔書経‐五子之歌〕

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普及版 字通 「典」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] テン
[字訓] ふみ・のっとる・つかさどる

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
册(冊)(さつ)+(き)。机上に書冊をおく形。〔説文〕五上に「五の書なり。册の上に在るに從ふ。之れを閣するなり」という。尊閣は重に擱(お)く意。また「に、典は大册なり」という通人説を加えている。〔左伝、昭十二年〕に「三・五典・索・九丘」という古籍の名がみえ、また〔周礼、春官、外史〕に「三皇五の書を掌る」とあって、古帝王の書があったという。金文の〔陳侯因敦(ちんこういんしたい)〕に「永く典と爲せ」、〔叔夷(しゆくいはく)〕に「其の先び其の高に典(のっと)る」とみえ、先蹤とすべきものがあったのであろう。〔書、周書〕の〔五誥〕や〔詩〕の〔雅・頌〕の諸のうちに、儀礼の典範とみられるものがある。典当(担保)のような用例も、金文の〔(ほうせいき)〕に「用(もっ)て格伯の田を典す」とあって、その文は抵当権の設定を証するためのものであったと思われる。

[訓義]
1. ふみ、古代のふみ、尊ぶべきふみ。
2. のり、のりとすべきふみ、のっとる。
3. つね、みち、おしえ。
4. ただしい、ととのう。
5. つかさどる、規範をつかさどる。
6. 質入れ、担保、抵当。

[古辞書の訓]
名義抄〕典 ノリ・ツカサ・ヨシ・ツネ・ヲギノル・ツカサドル・カフ 〔立〕典 ツネ・ツバビラカ・ツカサ・マサ・ツカサドル・ヒサシ・クハシ・トル・ヲギノル・ノリ

[声系]
〔説文〕に典声として腆・など五字を収める。腆(てん)は〔説文〕四下に「膳を設くること腆腆として多きなり」と腆厚の意とする。〔書、酒誥〕に「自ら洗腆す」とあるのも設膳の意。〔左伝〕に、諸侯自らいうとき「不腆(ふてん)なる邑」(僖三十三年)、「不腆なる先君の敝」(文十二年)のように、「不腆」を謙称として用いることが多い。

[語系]
典tyen、dyen、腆thyenは声義近く、典は儀礼の重要な文献を机上におく形、は酒食をおくことをいい、腆は設薦のことをいう。

[熟語]
典案・典委・典彝・典鬻・典謁・典奥典価・典雅・典戒・典幹・典拠・典教・典業・典訓・典刑・典型・典経・典契・典芸・典憲・典故・典護・典誥・典獄・典妻・典策・典冊・典式・典実・典主・典娶・典書・典商・典章・典掌・典常・典職・典身・典制・典税・典籍・典銭・典則・典知・典秩・典貼・典定・典程・典売・典範・典物・典墳・典・典舗・典牧・典没・典要・典律・典領・典礼・典麗・典例
[下接語]
彝典・栄典・恩典・外典・寛典・儀典・旧典・教典・訓典・刑典・経典・慶典・憲典・原典・古典・故典・五典・香典・鴻典・国典・祭典・司典・祀典・字典・事典・辞典・質典・釈典・主典・祝典・出典・掌典・常典・政典・盛典・聖典・先典・綜典・贈典・大典・通典・帝典・特典・内典・不典・仏典・墳典・宝典・法典・明典・礼典・麗典

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「典」の意味・わかりやすい解説


てん
dian

中国において伝統的に行われてきた不動産質。特定不動産を債権者に引渡し,その使用収益をゆだねるのと引替えに融資を受けるもの。目的物からの収益と,債権の利息とが相殺される。したがって債務者は,将来いつでも債務元本 (典価) を弁済することによって目的物を受け戻す (回贖する) ことができる。多年放置しても決して流質とはならず,回贖権は消滅しないとするのが旧来慣習であった。台湾の中華民国民法に「典権」という一章があり,慣習を基礎としながら近代法の原理に基づく修正を加えている。

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