凝り(読み)シコリ

デジタル大辞泉 「凝り」の意味・読み・例文・類語

しこり【凝り/×痼り】

筋肉・皮下組織などの一部が、こってこわ張ったり、固いかたまりをつくったりすること。また、その部分。「肩の―をほぐす」
物事がかたづいたあとまで残るわだかまり。「両者の間に―が残る」
[類語]わだかまり隔たりげきギャップ疎隔懸隔不一致ずれ行き違い食い違い相容れない対立もやもや差し支え障り差し障り当たり障り支障懸念気がかりフラストレーション疎んずる隔意疎外排斥擯斥ひんせき排他排外訳有り眉唾違和感猜疑さいぎ疑義疑心暗鬼疑心暗鬼を生ず邪推邪曲爪弾き退退ける隔絶疎遠いとバリアシャットアウト

こり【凝り】

筋肉がかたくなってその部分が重く感じられること。「肩の凝り」「凝りをほぐす」
一つの物事に熱中すること。「凝りしょう
凝結すること。
「夕―の霜置きにけり朝戸出にいたくし踏みて人に知らゆな」〈・二六九二〉

こごり【凝り】

凍って固まること。こごること。また、そのもの。
「霧が巨きな―になって太陽面を流れている」〈賢治・圃道〉
煮魚ゼラチン質が煮汁とともに冷えてゼリー状に固まったもの。煮こごり。

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精選版 日本国語大辞典 「凝り」の意味・読み・例文・類語

しこり【凝・痼】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しこる(凝)」の連用形名詞化 )
  2. 筋肉などが凝ってかたまること。固まって塊状となること。また、そのかたまり。
    1. [初出の実例]「痤 シコリ 〔説文〕小腫也・ 同 〔匀略〕腫旁出也」(出典:書言字考節用集(1717)五)
    2. (シコリ)のある処を手で示した」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉二一)
  3. 物事を解決した後でもまだ残っているすっきりしない気分。感情のわだかまり。
    1. [初出の実例]「シコリがとれた感じでひどく愉しくさせた」(出典:密猟者(1939)〈寒川光太郎〉四)

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改訂新版 世界大百科事典 「凝り」の意味・わかりやすい解説

凝り (こり)

肩がこる,筋肉がこる,などという場合の〈こる〉という言葉は,筋肉が異常に緊張したり,または痙縮を起こしたときに感じる自覚症状を意味する。筋肉の緊張が亢進すると,ついには痛みを感じるようになる。こりと痛みとは表裏一体の現象で,つまり,こりとは有痛性痙縮ということができる。こりの最も一般的な原因は筋肉の疲労である。たとえば肩こりを考えると,人間が日常,5~6kgの上肢全体を軀幹からつり下げているためには,僧帽筋肩甲挙筋,前鋸筋が常時,抗重力作用を営んでいなければならない。その人間が筋力以上の活動を強いられると,筋肉に疲労の現象が現れてくる。筋肉の血液循環が障害されて,酸素やエネルギー源の供給が思うようにいかなくなると,嫌気性解糖がさかんになる。その結果,産生された乳酸などの疲労物質が蓄積されて,筋肉のタンパク質が膠質(こうしつ)化学的変化を起こすと,筋肉が硬くなって,こりの状態になる。筋肉の緊張は,大脳皮質脳幹網様体,それに筋肉とを結んでいる複雑に絡み合ったコントロール網で調節されている。人間が怒りや恐れなどの精神的ストレスをこうむると,大脳皮質に調節異常が現れる。そして大脳皮質と脳幹網様体,それに筋肉を結んでいるコントロール網が乱れて,筋肉には不随意的,反射的な緊張が亢進する。また精神的ストレスで交感神経が刺激されると,筋肉内の血管が収縮して血液循環が障害されることも,こりの原因となる。また内臓や骨,関節などの深部組織になんらかの疾患があると,筋肉に反射性緊張を伴って,こりが発現することも知られている。筋肉のこりの予防は,筋肉をきたえて疲労が起こりづらくしてやること,それに精神的ストレスを取り除いてやることが第一である。こりが起こった場合には,筋肉を休めて疲労を除き,温湿布やマッサージなどで筋肉の血流をよくするようにすればよい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の凝りの言及

【筋肉痛】より

…これに対して,筋肉になんらかの外傷や急性炎症がある場合の疼痛は,局在がはっきりした鋭い痛みとなる。筋肉痛の場合は,筋肉の緊張が亢進しており,いわゆる〈こ(凝)り〉という自覚症状を伴うことが多い。このような疼痛を有痛性痙縮というが,筋肉の痙縮により疼痛が発生するのか,疼痛により痙縮が発生するのか,両者は表裏一体の現象である。…

※「凝り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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