(読み)ロウ

デジタル大辞泉の解説

ろう〔ラウ〕【労】

心やからだを使ってそのことに努めること。また、そのための苦労・努力。ほねおり。「をねぎらう」
長年勤め上げて功労のあること。年功。
「勘解由判官の―六年」〈源順集詞書
経験を積んでそのことに巧みであること。熟練。
「おもむけ給へる気色いと―あり」〈藤袴
労咳(ろうがい)」の略。

ろう【労〔勞〕】[漢字項目]

[音]ロウ(ラウ)(呉)(漢) [訓]つかれる いたわる ねぎらう
学習漢字]4年
精を尽くして働く。骨折り。「労作労賃労働労務労力勤労功労就労徒労不労報労
精が尽きて疲れる。「労苦過労苦労心労辛労足労煩労疲労
ねぎらう。「慰労
「労働者」「労働組合」の略。「労使労農労連
(「撈(ろう)」の代用字)すなどる。「漁労
[名のり]つとむ

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大辞林 第三版の解説

ろう【労】

骨折り。体を使うこと。 「 -をいとわず働く」 「 -をねぎらう」
功績。手柄。働き。 「長年の-に報いる」
長年の経験。熟練。 「木工の君といふ人、-ある者にて/宇津保 藤原君
長い間使用したこと。 「すり平めかし-多きになりたるが/枕草子 二〇二・春曙抄

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精選版 日本国語大辞典の解説

いたずかわいたづかはし【労】

〘形シク〙 (「いたつく(労)」の形容詞化。「いたつかわし・いたずがわし」とも)
① つとめて骨折る。ご苦労千万だ。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※徒然草(1331頃)九三「この楽しびを忘れて、いたつかはしく外の楽しびを求め」
② 仕事などで疲れている。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「心痛(いた)み、背(せなか)(イタヅカハシク)、骨酸(み)るに肉楚(いた)し」
③ 煩わしい。めんどうだ。〔観智院本名義抄(1241)〕
仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中「我より上なる人とともなへば、いたづがはしき事のみあって」
いたずかわし‐さ
〘名〙

いたず・く いたづく【労】

〘自他カ四〙 ⇒いたつく(労)

いたつかわいたつかはし【労】

〘形シク〙 ⇒いたずかわし(労)

いたつ・く【労】

(「いたづく」とも)
[1] 〘自カ四〙
① 苦労する。ほねをおる。
※蜻蛉(974頃)上「とかうものすることなど、いたつく人おほくて」
② 疲れる。悩む。病気する。
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「教化、労(イタツケ)るかな。末世を開導(みちびくこと)、寔に此れ冀(ねがひ)と為(す)
[2] 〘他カ四〙
① 煩わす。労する。動かす。
② いたわる。大事にする。世話をする。
※伊勢物語(10C前)六九「かくてねむごろにいたつきけり」

いたわいたはし【労】

〘形シク〙 ⇒いたわしい(労)

いたわり いたはり【労】

〘名〙 (動詞「いたわる(労)」の連用形の名詞化)
① ほねをおること。格別の労力を使うこと。苦労。
※源氏(1001‐14頃)松風「何のいたはりもなく建てたる寝殿の」
② ほねをおって、てがらをたてること。功労。
書紀(720)神代上(水戸本訓)「其の大造(おほよそ)の績(イタハリ)を建つこと得たり」
③ 人のほねおりをねぎらうこと。慰労。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「殿上人、蔵人などぞ、これかれ御いたはりにて」
④ ねんごろに扱うこと。大事にすること。肝煎(い)り。世話。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「人の婿(むこ)といふものは若き人などをば、本家のいたはりなどして立つるを」
⑤ あわれみの心をかけること。いとおしみ。慈愛。
※宇津保(970‐999頃)沖つ白浪「みかど、殿の御いたはりにて、ゆたかにて」
⑥ 身のわずらい。病気。また、心の痛み。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「このあざりにつけ奉れば、かしこくしていたはりやめつ」

いたわ・る いたはる【労】

[1] 〘自ラ四〙
① あれこれ心づかいをする。骨を折る。苦労する。
※書紀(720)舒明即位前(北野本訓)「朕、寡(いやし)く薄きを以て、久しく大業(こと)に労(イタハレ)り」
② 病気で苦しむ。気をやむ。わずらう。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「日ごろいたはる所侍て、院にも内にも参り侍らぬ」
[2] 〘他ラ五(四)〙
① (骨折りに対し感謝の気持をもって)ねぎらう。慰労する。
※書紀(720)欽明二三年六月(寛文版訓)「群庶(もろひと)を劬労(イタハリ)、万の民を饗育(やしな)ひたまひ」
② (疾病に対し)手当てを加える。治療する。また、休養する。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「いざ、かかる所にて、脚病(かくびゃう)いたはらん」
※平家(13C前)四「此ほどあまりに乗り損じて候ひつる間、しばらくいたはらせ候はんとて」
③ (大切なものとして遇する気持をもって)手厚く大事にもてなす。念を入れて丁重に扱う。
※伊勢物語(10C前)六九「つねの使よりは、この人よくいたはれといひやれりければ」
④ (弱小の人や苦悩している人に対し同情する気持をもって)やさしく慰める。あわれみをかける。
※日葡辞書(1603‐04)「ワランベヲ itauari(イタワリ) ソダツル」
※浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)座摩社「何とした小助殿、怪我はないかと(イタ)はれば」
[語誌]上代における確例を欠くが、「石山寺本大方広仏華厳経平安初期点」に「イタハ(ル)こと 労」、「観智院本名義抄」に「労 イタハル」とあり、また「書紀」の古訓に複数例の「労 イタハル」が存するところから、上代から存した可能性も残されている。

ろう ラウ【労】

〘名〙
① 苦労すること。ほねおり。
※源氏(1001‐14頃)蛍「御らうの程はいくばくならぬに、さみだれになりぬるうれへをし給ひて」 〔易経‐兌卦〕
② その職をつとめ上げて、功労のあること。功績。年功
※順集(983頃)「勘解由判官の労六年」
③ 経験を積んで、その道に巧みであること。慣れていること。熟練。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「やまと琴にもかかる手ありけりと聞き驚かる。深き御らうのほどあらはに聞えておもしろきに」
④ 経験深く、万事に心がよく行き届いていること。すぐれた心づかい。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「おほくの人の中に、心にくくふかきらうなりとみたまふ」
⑤ ねぎらうこと。働きを謝すこと。いたわり。
将門記(940頃か)「愍の労を加ふと雖も、寝食穏からず」

ろう‐・す ラウ‥【労】

〘自他サ変〙 ⇒ろうする(労)

ろう‐・する ラウ‥【労】

[1] 〘自サ変〙 らう・す 〘自サ変〙 骨折る。はたらく。苦労する。
※続日本紀‐和銅元年(708)二月戊寅「常以為、作之者労、居之者逸」
太平記(14C後)三一「先勢の労せぬ前に大敵に打勝なば」
[2] 〘他サ変〙 らう・す 〘他サ変〙
① 骨折らせる。はたらかす。苦労させる。無理に物事をさせる。
※海道記(1223頃)手越より蒲原「身を助として身を労しぬ」
② ねぎらう。なぐさめる。慰問する。

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世界大百科事典内のの言及

【農具】より

…このような相対立する性格を有するがために,両者における農具の発達,そして機械化への歩みも異なる。農具の発達は農作業の労働能率を高めることになるが,それによって浮いた労働が,集約化してもあまり土地生産性の高まらない休閑農業では,経営を拡大する方向に用いられ,そのことが畜力その他の原動力を利用する機械の発達を促した。一方,中耕農業においては,もともと労働を集約化しなければ農業そのものが成立せず,また労働を集約化すれば土地生産力が格段に高まるから,経営を拡大するよりも,むしろ労働を集約化して人力を利用する道具の発達を促した。…

【耙労】より

…中国古来からの農具。耙は耕起した土を粗砕したり,地中の毛細管を地表面で切断するのに使用され,労は土を細砕し,鎮圧して毛細管をととのえるのに使用する。華北の農業は一般に雨水にたよっているため,地中の水分の可能な限りの利用が望ましい。…

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