埒も無い(読み)ラチモナイ

デジタル大辞泉 「埒も無い」の意味・読み・例文・類語

らち・い

《「らっし(﨟次)もない」の音変化ともいう》
とりとめがない。たわいもない。「―・い話」「―・く笑いころげる」
きまりがつかない。順序だっていない。めちゃくちゃである。
「家の経済などは―・いことだったに相違ない」〈露伴・連環記〉
[類語]些細瑣末枝葉枝葉末節末梢的些事細事小事細かい細細こまごましい煩瑣はんさ瑣瑣ささたる区区くくたるちょっとした取るに足りないたわいない何でもない愚にもつかぬ益体も無い高が知れる二次的二義的副次的些些ささささやかわずか幾ばくたかがいささかほんの有るか無きかちょっと一縷いちる一抹些少さしょう末節無駄事雑事微微つまらない無意味下らない問題外部分的派生的卑小眇眇びょうびょうよし無いトリビアル

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精選版 日本国語大辞典 「埒も無い」の意味・読み・例文・類語

らち【埒】 も 無(な)

秩序がなく、筋道や理由がたたない。めちゃくちゃでばかばかしい
浄瑠璃出世景清(1685)五「高綱色をちがへ、はてらちもない事。一度切たる景清がよみがへるべきやうもなし」
② しまりがない。とりとめがなく、つまらない。しかたがない。役にも立たない。たわいもない。
※浄瑠璃・烏帽子折(1690頃)名尽し「二人はひょろひょろうろうろと震ひて何の埒もなし」
[語誌]秩序がない、おもしろくないの意の「らっし(臈次)も無い」から変化して成立した表現であるという説がある一方、「俚言集覧」の「俗語は無埒の義に似たり」によって別語とみる説もあり、後者の立場からは「らち(埒)」をもとに直接に成立した慣用表現ということになろう。両者が直接の派生関係になかったとしても、「らっし(臈次)も無い」に対する「らっち(埒)も無い」、「らっしくち(臈次口)も無い」に対する「らちくち(埒口)も無い」という表現が近世に存在するところから、当時の意識としては、両系統の表現は関係のあるものとしてとらえられていたのかもしれない。また、一方が他方からの類推により成立したという可能性も考えられる。

らっち【埒】=も[=が]無(な)

※浄瑠璃・心中重井筒(1707)中「其の夜の心地しみじみと、身に引まとひねて見ても、一人ころりはエエらっちがない」

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