聊か(読み)イササカ

デジタル大辞泉 「聊か」の意味・読み・例文・類語

いささ‐か【×聊か/×些か】

[形動][文][ナリ]
数量・程度の少ないさま。ほんの少し。わずか。「―な蓄えはある」「―なりともお役に立ちたい」
かりそめであるさま。ついちょっと。
「―に思ひて来しを多祜たこの浦に咲ける藤見て一夜経ぬべし」〈・四二〇一〉
多く「いささかに」の形で、打消しに呼応して用いる)少しも。
「―に知りたる人もなければ」〈今昔・二七・一五〉
[副]
少し。わずかばかり。「この問題は―難しい」「―所見を述べる」「気勢に押されて―たじろいだ」
(あとに打消しの語を伴って)少しも。ちっとも。→いささかも
「―さりげもなく」〈・二五〉
[類語]ささやか少ない心ばかり印ばかり形ばかり少し少しく少少ちょっとちょいとちとちっとちょっぴりいくらかいくぶんやや心持ち気持ち多少若干二三少数少量僅僅わずか数えるほどたったただたかだかしばらくなけなし低い手薄少なめ内輪軽少軽微微弱微微微少僅少些少最少微量ちびちび一つまみ一握り一抹一息紙一重雀の涙鼻の差残り少ないちょこっとちょこんとちょっこりちょびちょびちょびっとちょぼちょぼちょろりちょんびりちょんぼりちらり爪の垢小口ささやか寸毫プチ末梢的二次的二義的副次的瑣末さまつ枝葉枝葉末節些事さじ細事小事細かい細細しい煩瑣はんさ瑣瑣ささ区区ちょっとした取るに足りないたわいない何でもない愚にもつかぬ益体も無いらちも無い高が知れる些些ささ些細ささい幾ばくたかがほんの有るか無きか一縷いちる末節無駄事雑事つまらない無意味下らない問題外部分的派生的卑小眇眇びょうびょうよし無いトリビアル

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精選版 日本国語大辞典 「聊か」の意味・読み・例文・類語

いささ‐か【聊か・些か】

  1. ( 「か」は接尾語 )
  2. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. かりそめであるさま。ほんのちょっと。
      1. [初出の実例]「伊佐左可爾(イササカニ)思ひて来しを多祜の浦に咲ける藤見て一夜経ぬべし」(出典万葉集(8C後)一九・四二〇一)
    2. 程度の少ないさまをいう。少しばかり。わずか。
      1. [初出の実例]「いささかなる功徳を翁つくりけるによりて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. ( 下に打消のことばを伴って ) 少しも。ちっとも。→いささかも
      1. [初出の実例]「ただ名のる名をいささかつつましげならずいふは、いとかたはなるを」(出典:枕草子(10C終)二六二)
    2. 少し。わずか。また、ほんのちょっとでも。
      1. [初出の実例]「いささか物おぼゆる心ちなどする程に」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
      2. 「心地もいささか悪しければ、これをやこの国に見捨ててまどはむとすらむと思ふ」(出典:更級日記(1059頃))
    3. かなり。なかなか。
      1. [初出の実例]「聊(いささか)心ある者と聞きて知る人になる」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)仙台)

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