天の川(読み)アマノガワ

デジタル大辞泉 「天の川」の意味・読み・例文・類語

あま‐の‐がわ〔‐がは〕【天の川/天の河】

晴れた夜空に帯状に見える無数の恒星の集まり。地球から銀河系の内側を見た姿で、夏から秋に最もよく見える。中国の伝説に、牽牛星けんぎゅうせい織女星しょくじょせいとが7月7日にこの川を渡って、年に一度だけ出会うという。銀河。銀漢。雲漢。天漢。河漢。 秋》「荒海や佐渡に横たふ―/芭蕉
の一品種。サトザクラの仲間で、花は淡紅色の八重咲き。枝が上方に伸びる円柱状の樹形で、狭い場所での生育に向く。
[補説]書名別項。→天の川
[類語]銀河銀漢スター恒星惑星星座綺羅星星辰星屑星雲星団首星流星流れ星彗星箒星一番星一等星新星超新星変光星ブラックホール連星主星伴星遊星小惑星衛星α星

あまのがわ【天の川】[書名]

俳句雑誌。大正7年(1918)創刊、昭和36年(1961)廃刊。富安風生横山白虹らが出た。昭和10年ころより無季俳句、戦後は口語俳句運動を推進。

てん‐の‐かわ〔‐かは〕【天の川】

奈良県南部、山上ヶ岳さんじょうがたけなどに源を発し、南西に流れる川。十津川とつかわ上流部。あまのかわ。

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精選版 日本国語大辞典 「天の川」の意味・読み・例文・類語

あま‐の‐がわ‥がは【天川・天河】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「あまのかわ」とも )
  2. 銀河(ぎんが)を、天空の川に見たてた呼び名。七月七日の夜、牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)がこの川を渡って年に一度逢うという、七夕(たなばた)伝説がある。銀漢。天漢。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「夕月夜(ゆふづくよ)影立ち寄り合ひ安麻能我波(アマノガハ)漕ぐ舟人を見るが羨(とも)しさ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六五八)
    2. 「荒海や佐渡によこたふ天河」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)越後路)
  3. 「七夕(たなばた)」、また「七夕祭(たなばたまつり)」のこと。
    1. [初出の実例]「四方からふでをつっこむ天の川」(出典:雑俳・柳多留‐一八(1783))

あまのかわあまのかは【天の川】

  1. 吉岡禅寺洞を中心とする俳句雑誌。大正七年(一九一八)創刊、昭和一九年(一九四四)休刊、同二二年復刊。「ホトトギス」系俳誌として出発。昭和一〇年代に新興俳句の有力誌となり、戦後は口語自由律に転じた。

てん‐の‐かわ‥かは【天ノ川】

  1. 奈良県中南部、十津川の上流部の呼称。大峰山脈山上ケ岳に発し、吉野郡天川村を貫流する。渓谷美で知られる。

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日本歴史地名大系 「天の川」の解説

天ノ川
あまのがわ

上ノ国町東部山地に源を発し、北部を西流して日本海に注ぐ二級河川。流路延長約二八・六キロ(うち指定区間二二・二キロ)、流域面積二九七平方キロ。「北海道河川一覧」には天野川と記され、また天の川とも書かれる。木古内きこない町境や厚沢部あつさぶ町・江差町境の山々を源とする支流のうちうぐい川・神明の沢しんめいのさわ川・中ノ沢なかのさわ川・檜内沢ひないざわ川・目名めな川などを右岸で、上ノ沢かみのさわ川・宮越内みやこしない川・厚志内あつしない川・苫符とまつぷ川などを左岸で合せる。中流域から河口付近では沖積平野が形成されている。河口南岸の大澗おおま湾は古くから湊として利用された。

新羅之記録」によると、康正三年(一四五七)コシャマインの蜂起により和人の館が次々と攻撃されたが、当川南岸の蠣崎季繁が拠る花沢はなざわ館は寄寓していた武田信広の活躍もあり陥落を免れた。蠣崎氏の入婿となり家督を継いだ信広は、この後当川北岸に洲崎すざき館、南岸の夷王いおう山中腹に勝山かつやま館を築いて本拠とした。その後アイヌとの攻防の最中、信広の後を継いだ蠣崎光広・良広(義広)父子は永正一一年(一五一四)小舟一八〇余艘に乗り、松前大館おおだてに移転したという。


天ノ川
てんのかわ

天川村の中央を貫流する十津とつ川の最上流部の名称。源は二つあり、ともに大峰山麓に発する。北麓に発するものは山上さんじよう川といい、西流して大字洞川どろがわを経て南西に転じる。南麓からのものは神童寺じんどうじ川で南西流し、川迫こうせ川となって北西流し、左岸から弥山みせん川、右岸から白倉しらくら谷を合わせる。


天ノ川
てんのかわつじ

[現在地名]大塔村大字天辻

吉野川と十津とつ川との分水嶺にあたる天辻てんつじ峠の南に立地。「大和志」の吉野郡村里の項に「天ノ川辻簾坂本村出戸」と記される。西熊野街道と高野山(和歌山県)に通じる古道との交差点にあり、古来、交通の要地、物資の集散地であった。畔田伴存の「吉野郡名山図志」に「天の川辻 坂本へ拾八丁、此地道幅壱丈余、山中には稀なる道也、家建も大にして、凡て問屋也、五条より此地江牛馬に米酒諸物を附来り、是より歩行荷となり、十津川江入る」とみえる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天の川」の意味・わかりやすい解説

天の川
あまのがわ

天球上を大円(天球面上に描くことのできる最大の円)に沿って淡く光る帯をいう。英語ではミルキー・ウェイMilky Way。いて座付近でもっとも明るく幅も広い。七夕(たなばた)の牽牛(けんぎゅう)星(アルタイル)と織女(しょくじょ)星(ベガ)の間を流れ、カシオペヤ座からオリオン座の北を通り、みなみじゅうじ座に至る。天体望遠鏡で見ると銀河系を構成する微光星の群れであることがわかる。天の川は天の河とも書き、天の戸河(あまのとかわ)、天の安の河(あめのやすのかわ)ともいう。いずれも文学的名称で『古事記』『万葉集』にすでにあり、七夕伝説は『万葉集』『竹取物語』など多くの作品にみられ、中世文学の好題材となった。

[大脇直明]

『アイザック・アシモフ著、小原隆博訳『天の川と銀河系』(1990・福武書店)』『ルドルフ・キッペンハーン著、祖父江義明訳『宇宙とその起源――銀河からビッグバンへ』(1991・朝倉書店)』『桜井邦朋著『宇宙論入門15講――現代の宇宙像を探る』(1994・東京教学社)』『藤井旭著『宇宙の始まりの星ものがたり――宇宙の始まりの神話を楽しもう』(1995・誠文堂新光社)』『Richard Fifield著、土井恒成編訳『何が宇宙をつくっているか――暗黒物質からクォークまで』(1997・丸善)』『藤井旭著『宇宙への招待』新版(1999・河出書房新社)』『藤井旭著『宇宙探検――そこが知りたい!宇宙の秘密』(2002・偕成社)』『奥田治之・祖父江義明・小山勝二著『天の川の真実 超巨大ブラックホールの巣窟を暴く』(2008・誠文堂新光社)』『ニュートン プレス編『よくわかる天の川銀河系』(2008・ニュートン プレス)』『佐藤勝彦監修『最新宇宙論と天文学を楽しむ本――太陽系の謎からインフレーション理論まで』(PHP文庫)』



天ノ川
てんのかわ

奈良県南部、吉野郡天川(てんかわ)村を南西流する十津(とつ)川の上流部。延長40キロメートル。源流は山上(さんじょう)ヶ岳、大普賢(だいふげん)岳付近に発する山上川、神童子(じんどうじ)川、川迫(こうせ)川で、北角(きとずみ)付近で合流して天ノ川となる。山地を嵌入蛇行(かんにゅうだこう)しながら南西流して五條(ごじょう)市大塔(おおとう)町地区に入り、猿谷(さるたに)貯水池を経て十津川となる。渓谷美に優れ、古歌には「あまのかわ」として詠まれている。北角より上流はアメノウオの宝庫。

[菊地一郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「天の川」の意味・わかりやすい解説

天の川 (あまのがわ)

銀河系宇宙の星の渦巻の縁辺が,天上を流れる川のように見えるための名。《万葉集》の七夕歌には〈天河,天漢〉の文字をあて,《和名抄》に〈天河,天漢,銀河,阿万之加八〉とあるのも,主として漢名を伝えたもので,古代中国では,天の川を漢水の気が天にのぼってなったと考え,〈銀漢〉または〈河漢〉とも呼んでいた。しかし,日本でもおそらく古くからこれを天上の川とみていたものであろう。そして中国伝来の七夕説話により民衆に親しいものとなって,例えば奄美大島に残る天人女房型説話では,妻を追って天へのぼった男が,天神からテストを受けたとき,あやまってウリを縦に割ったため中から大水がわき,それが天の川となり,夫妻は間を隔てられて牽牛(けんぎゆう)・織女2星となったとある。アイヌも天の川をペッノカ(川の姿)と呼んでいる。これに似た見方は,古来ほとんど世界の諸民族にわたっている。エジプトでは,ナイル川が天の川に通じているとみて,これを〈天上のナイル〉といい,バビロニアでも同じ見方で,〈天上のユーフラテス〉といった。ギリシア神話では,国民的英雄ヘラクレスが赤子のとき,女神ヘラの乳房を強く吸ったため,乳がほとばしって天の川となったといい,ガラクシアス(乳の川)と呼んだ。英語のミルキー・ウェーMilky Way(乳の道)はこれから出た。これについでは,天の川を天上の道とみる民族が多い。エジプトでは,女神イシスが悪神チホンに追われたときにこぼしていったムギの穂の道だといい,現在のシリアとペルシアでも〈わらの道〉という。ギリシアでは神々がオリュンポスの宮殿へ集まる銀色の道ともみた。また死者の魂が天国へいく道とみる民族も多い。スウェーデンの〈冬の道〉,アメリカ原住民の〈魂の道〉もその例であり,フィンランドでは亡霊は鳥となって天の川を飛ぶので〈鳥の道〉と呼んでいる。
銀河
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百科事典マイペディア 「天の川」の意味・わかりやすい解説

天の川【あまのがわ】

銀河系の渦巻の縁辺が,地上からは天上を流れる川のように見えることからついた名。古代中国では漢水の気が天に上って銀河になったと考えて銀漢,河漢と呼び,日本に伝わって天河,天漢などの字が使われた。銀河を川に見立てることは世界の諸民族に共通してみられ,ギリシア神話では女神ヘラの乳がほとばしってできたといい,ガラクシアス(乳の川)と呼んだ。英語のMilky Wayはこれに由来。
→関連項目銀河

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「天の川」の解説

あまのかわ【天の川】

長崎の壱岐焼酎。酒名は、初代当主の句「松よけて見上げる空や天の川」が香川の金刀比羅宮の奉納俳句で最高位をとったことを記念して命名。白麹で仕込み、常圧蒸留する。原料は大麦、米麹。アルコール度数25%、40%。蔵元の「天の川酒造」は明治45年(1912)創業。所在地は壱岐市郷ノ浦町田中触。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天の川」の意味・わかりやすい解説

天ノ川
てんノかわ

奈良県中部を西流する川。十津川の上流。長さ約 40km。山上ヶ岳に源を発して南西流,猿谷ダム付近で南に向きを変え,やがて十津川となる。上流部は急流で渓谷美にすぐれ,ビワマス (アメノウオ) の宝庫。古歌に詠まれた「あまのかわ」にあたる。

天の川
あまのがわ

銀河系」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「天の川」の解説

天の川〔焼酎〕

長崎県、天の川酒造株式会社が製造する麦焼酎。2年貯蔵酒を中心に、15年、30年貯蔵の古酒もある。

天の川〔品種名〕

バラの園芸品種名。木立ち性で中輪、明るい黄色の一重咲きの花をつける。四季咲き。作出国は日本。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「天の川」の解説

天の川 (アマノガワ)

学名:Prunus lannesiana
植物。バラ科の落葉小高木

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の天の川の言及

【十津川】より

…長さ約110km。上流部は天(てん)ノ川とも呼ばれる。大塔村,十津川村では穿入(せんにゆう)蛇行して深いV字谷を刻んでいるが,両岸の河岸段丘上に狭小な耕地と集落が立地する。…

【七夕】より

…また7月7日は北斗七星の第一星である魁星(かいせい)の神の誕生日だとされ,魁星が文運,とくに科挙の試験での運不運を支配すると信じられたところから,近世の読書人たちは七夕に魁星を祭った。【小南 一郎】
[日本の民俗]
 日本の七夕の行事はこの夜,天の川の両岸に現れる牽牛星(わし座の首星アルタイル。彦星,犬飼星)と織女星(こと座の首星ベガ)とが鵲の翼を延べたのを橋として天の川を渡り相会うという,中国の伝説を受けいれたことから興った。…

【乳】より

…乳児によって乳首を吸われる刺激だけでなく,外出から帰宅してわが子の顔を見たり泣声を聞いたりしても,このホルモンが分泌されるので,乳首から乳汁がほとばしって出てくる(神経内分泌反射)。ギリシア神話の女神ヘラの乳首がヘラクレスに吸われて乳をほとばしらせ,〈天の川〉(ラテン語でVia lactea,英語でMilky Way。いずれも〈乳の川〉の意)になったと伝えられるのも,この射出反射による。…

【ユリ(百合)】より

…その拍子に乳がほとばしって天と地に散った。前者が天の川になり,地上に滴ったところからユリが生えたという。ローマ人も女神ユノ(ギリシアのヘラ)の聖花としてこれを賛美し,希望のシンボルであると同時に王位継承者の印ともなった。…

※「天の川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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