尽れる(読み)スガレル

デジタル大辞泉 「尽れる」の意味・読み・例文・類語

すが・れる【尽れる/末枯れる】

[動ラ下一][文]すが・る[ラ下二]
草木が盛りの季節を過ぎて枯れはじめる。
「梅が散って、桃が―・れて」〈風葉・恋ざめ〉
人の盛りが過ぎて衰えはじめる。
自然じねんと―・れて来る気の毒な女房の姿は」〈漱石道草
物が古びる。
「―・れたる綿繻子の帯の間より」〈露伴・いさなとり〉
香が燃えつきる。
「―・れたれども名香とおぼしき空炷そらだきに」〈読・逢州執着譚・五〉
[類語]物寂しいさびしいさみしいうら寂しいこころ寂しいわびしい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感寂寥せきりょう寂寞せきばく寂寞じゃくまく索漠落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう徒然つれづれ徒然とぜんうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁物悲しい衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない

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精選版 日本国語大辞典 「尽れる」の意味・読み・例文・類語

すが・れる【尽・末枯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]すが・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 草木、花が盛りを過ぎて、しおれ枯れる。
    1. [初出の実例]「汀渚(みぎは)蘆荻末枯(スガ)れ果てて居るが」(出典:付焼刃(1905)〈幸田露伴〉三)
  3. 人のからだや気持などが盛りを過ぎて衰える。
    1. [初出の実例]「末摘花と云ふすがれたる大夫」(出典:咄本・初音草噺大鑑(1698)一)
  4. 物が古くなったりはやらなくなったりしてみすぼらしく見える。荒れはてる。
    1. [初出の実例]「是非共に程時すぐと音をきかん すがれる市にたつはばか者〈慶友〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一五)
  5. 活気や元気が感じられなくなる。
    1. [初出の実例]「ふけゆくままにしんしんと、地まはりの声もすがれ」(出典:人情本・春色恵の花(1836)初)
    2. 「寂しいすがれた生活」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉一三)
  6. たいている香の香りが、ほとんど出なくなる。
    1. [初出の実例]「炭竈煙 すみやきの市に出たる跡なれやただすかれたるうす煙かな」(出典:為尹千首(1415)冬)
    2. 「すがれたれども名香とおぼしき空炷(そらだき)に」(出典:読本・逢州執着譚(1812)九)

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