(読み)ハン

デジタル大辞泉 「版」の意味・読み・例文・類語

はん【版】[漢字項目]

[音]ハン(漢) バン(慣)
学習漢字]5年
〈ハン〉
板。「版築
文字を書く木の札。戸籍簿。「版籍版図はんと
印刷のために文字や絵を彫った板。「版画版木はんぎ凹版解版活版かっぱん孔版図版製版凸版とっぱん平版木版
印刷して本を出すこと。「版権版行官版かんぱん重版出版しゅっぱん初版新版しんぱん
〈バン〉34に同じ。「芋版いもばん瓦版かわらばん石版せきばん銅版写真版謄写版

はん【版】

[名]
印刷で、インキを紙面に移す仲立ちとなるもの。印刷版や版木はんぎ。版式により、凸版凹版平版、また木版活版などがある。
印刷版や版木を用いて印刷すること。また、出版すること。「を重ねる」
(「ばん」の形で、他の語の下に付いて)
㋐新聞や雑誌などが、その地域や読者層に向けて作ったものであることを表す。「地方」「学生求人サイト」
㋑あるものを、その様式で作り替えたことを表す。作り替えたように似ていることにもいう。「映画『伊豆の踊子』」「男性シンデレラ」
[接尾]助数詞。出版物の刊行回数を数えるのに用いる。上に来る語によって「ぱん」ともなる。「第三
[類語]増刷増刊復刊再刊再版復刻翻刻影印初版改版絶版新版旧版バージョン

へん【版】

朝廷の儀式のとき、参列者の位置を示すため、目印として置かれた木の板。

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精選版 日本国語大辞典 「版」の意味・読み・例文・類語

はん【版】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 印刷で、インキを紙面につける仲立ちとなるもの。凸版・凹版・平版などの種類がある。印刷版。版木。板。
    1. [初出の実例]「コレヲ fanni(ハンニ) キザム モノ ナリ」(出典:天草本伊曾保(1593)扉)
    2. 「小雨ふり、版に刷りたる紙ぬれけり」(出典:咄本・醒睡笑(1628)一)
  3. の大きさ。版面。転じて、書籍などの大きさをいう。ばん。
    1. [初出の実例]「大抵版が大きくて値段も高い」(出典:丸善と三越(1920)〈寺田寅彦〉)
  4. 印刷すること。また、印刷して刷り物、書物を作ること。また、増刷などして作製する場合、その一回分を数えるのにいう。「初版」など。すり。
    1. [初出の実例]「第一版の締切が何時? 五時だらう?」(出典:我等の一団と彼(1912)〈石川啄木〉一)
    2. 「『置土産』は〈略〉元祿六年(一六九三年)に初めて版となった」(出典:雲がくれ(1959)〈唐木順三〉)
  5. はん(板)

ばん【版】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はん(版)
    1. [初出の実例]「Times(タイムス)かと思ふ広い版(バン)の新聞が一枚」(出典:流行(1911)〈森鴎外〉)
  3. はん(板)
    1. [初出の実例]「自今始宜版、四時坐禅」(出典:空華日用工夫略集‐応安五年(1372)七月一日)

へん【版】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「へん」は「版」の呉音 ) 元日節会などの朝廷の儀式の時、参列者の位置を示すため、目印として置かれた木の板。令制では七寸(約二一センチメートル)四方、厚さ五寸(約一五センチメートル)の板に、皇太子以下参列者の位階を漆で書いた。また、それに定められた順位。へんに。へんい。
    1. [初出の実例]「経左近陣南版」(出典:内裏式(833)七日会式)

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普及版 字通 「版」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ハン
[字訓] いた・ふだ・はんぎ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は反(はん)。片は〔説文〕七上に「木なり」とするが、版築のとき両側にあてる牆板(しようばん)の形。〔説文〕に板の字がみえず、版がその初文とみてよい。〔説文〕に「版はなり」というのは、両牆に分かつ意であろう。のち書版の意に用い、また板刻に付することを版行・出版という。

[訓義]
1. いた、版築のいた。
2. ふだ、名ふだ、戸籍。
3. ながさ八尺、一丈、版築の板の大きさ。
4. 笏(こつ)、官吏のもつ板、しゃく。
5. はんぎ、版刻、出版。
6. 板と通じ、板刻・板籍のようにいう。

[古辞書の訓]
和名抄〕版位 宜しく志留之乃しるしのき)と訓むべし。版の字は亦た板の字に作る。野王案ずるに、木を以て書と爲すと、是れなり 〔名義抄〕版 シルシ・サク。或いは板の字なり 〔立〕版 クダク・サク・シルシ*語彙は板字条参照。

[熟語]
版位・版尹・版謁・版屋・版瓦・版画・版蓋・版魚・版行・版使・版授・版障・版心・版籍・版奏・版曹・版插・版築・版纏・版図・版・版牘・版版・版壁・版簿・版本・版輿
[下接語]
鉛版・改版・開版・活版・啓版・戸版・刻版・再版・手版・重版・出版・初版・書版・詔版・版・図版・製版・整版・石版・絶版・操版・蔵版・銅版・凸版・碑版・負版・墨版・木版

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図書館情報学用語辞典 第5版 「版」の解説

“(1)同一出版者が同一原版を用いて発行する刊行物の刷り.(2)同一マスターを用いたコピーの全体”(『日本目録規則1987年版改訂3版』用語解説).印刷原版やマスターなどに変更がなされたもの,すなわち著作の内容に改訂などの変更が加わったもの(第2版,改訂版など)を始めとして,外装にのみ差があるもの(豪華版縮刷版など)や,著作の形式や用途の違いによるもの(日本語版,抄録版など)も,特定の版とみなされる.また,勅版,官版,駿河版古活字版などの書誌学の用語は,出版者,出版地,版式などの意で「版」という表現を用いたものである.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「版」の解説


へん

儀式などで官人のたつべき場所を示した指標。儀制令によると,7寸四方,厚さ5寸の板に,漆でそこにたつ官人の品位などを書く(「延喜式」によれば,元旦朝賀には8寸四方のものが使われる)。この版で定められた位次を版位という。朝庭に常置されたもの(尋常版位)と,儀式の事前に中務(なかつかさ)省または式部(しきぶ)省がおいていくものがあり,後者には宣命使(せんみょうし)がたつ宣命版位がある。唐制では皇帝以下の版が規定されるが,日本では天皇の版はなく,皇太子以下のみ規定される。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「版」の意味・わかりやすい解説


はん

(1) 印刷にあたって,印刷インキなどを紙などの被印刷体に転写させるための面をもつ用具。 (2) 版木。 (3) 一つの版から印刷された書物の総称。最初の版で印刷されたものを第1 (初) 版,改訂,増補などを加えるに従い第2版,第3版などと呼ぶ。 (4) 書物の装丁や用紙の相違による区別。保存版,普及版など。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【製版】より

…印刷に用いる版を製作すること。インキジェット印刷のように版を用いない方法も開発されているが,現在の印刷は,まず原稿から版を作り,これにインキをつけて,紙,あるいは他の物体に押しつけて原稿と同じ模様をうつすという方式がほとんどである。…

※「版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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