侘しい(読み)ワビシイ

デジタル大辞泉 「侘しい」の意味・読み・例文・類語

わびし・い【×侘しい】

[形][文]わび・し[シク]
ひどくもの静かでさびしい。「人里離れた―・い田舎
心が慰められないさま。心細い。「ひとり―・く夕食をとる」「―・い下宿生活」
貧しくてあわれなさま。みすぼらしい。「―・い住居
つらく悲しい。やるせない。
「苦しく心もとなければ、…いと―・し」〈土佐
当惑するさま。やりきれない。
「あな―・し。人の有りける所をと思ふに」〈今昔・二七・一五〉
興ざめである。おもしろくない。
前栽草木まで心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いと―・し」〈徒然・一〇〉
[派生]わびしがる[動ラ五]わびしげ[形動]わびしさ[名]
[類語](1寂しいさみしい物寂しいうら寂しいこころ寂しい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感寂寥せきりょう寂寞せきばく寂寞じゃくまく索漠落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう徒然つれづれ徒然とぜんすがれるうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁物悲しい衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない

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精選版 日本国語大辞典 「侘しい」の意味・読み・例文・類語

わびし・い【侘】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]わび〘 形容詞シク活用 〙 ( 動詞「わびる(侘)」の形容詞化 )
  2. 気落ちして力が抜けてしまう感じである。
    1. [初出の実例]「君は来ず吾れはゆゑ無み立つ浪のしくしく和備思(ワビシ)かくて来じとや」(出典万葉集(8C後)一二・三〇二六)
  3. 当惑の気持である。困ったことである。
    1. [初出の実例]「女は、なほいとえんにうらみかくるをわびしと思ありき給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
    2. 「『あなわびし。それ、もとめておはせよ』といはれしに」(出典:徒然草(1331頃)二三八)
  4. やるせない気持である。
    1. (イ) つらく悲しい。身体的につらいことにもいう。
      1. [初出の実例]「またかかるわびしき目見ず、いかならんとするぞとの給ふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「とかくつくろひたれど、足のうら動かれずわびしければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
    2. (ロ) 心細く頼りない。
      1. [初出の実例]「山里は秋こそことにわびしけれしかのなくねに目をさましつつ〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二一四)
  5. 物足りない。面白くない。興ざめである。
    1. [初出の実例]「御使ひにかけつけたる物を、いとわびしくかたはらいたしとおぼして」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
    2. 「わらはべの名は、例のやうなるはわびしとて、虫の名をなむつけ給ひたりける」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)虫めづる姫君)
  6. みすぼらしい。貧しい。
    1. [初出の実例]「年ごろわたらひなどもいとわろくなりて〈略〉いとわびしかりけるままに」(出典:大和物語(947‐957頃)一四八)
  7. 物静かである。また、張り合いや慰めがなく、心さびしい。
    1. [初出の実例]「立かかり屏風を倒す女子共〈凡兆〉 湯殿は竹の簀子侘しき〈芭蕉〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)

侘しいの派生語

わびし‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

侘しいの派生語

わびし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

侘しいの派生語

わびし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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