権(読み)ケン

デジタル大辞泉 「権」の意味・読み・例文・類語

けん【権〔權〕】[漢字項目]

[音]ケン(漢) ゴン(呉) [訓]はかり はかる はかりごと
[学習漢字]6年
〈ケン〉
1 はかり。はかりのおもり。「権衡」
2 事の成否をはかり考える。「権謀」
3 他を従わせる力や勢い。「権威・権限・権力/強権・執権・実権・政権・覇権」
4 物事にあずかる資格。「権利/棄権・債権・親権・人権・特権・民権・利権・選挙権」
5 力をもって便法とすること。「権道」
〈ゴン〉仮の。臨時の。「権化・権現・権妻」
[名のり]のり・よし

けん【権】

[名]
1 他を支配する力。権力。「兵馬の権を握る」
2 物事を行う資格。また、他に対して物事を主張・要求する資格。権利。「参政権」「サーブ権」
「嬢様の聟君を択ぶ―は俺にあるんだ」〈魯庵・社会百面相〉
3 臨機応変の処置。一時的な手段。
「これを行ふに経けいあり。―あり」〈折たく柴の記・下〉
[名・形動]
1 ⇒険けん3
2 おごり高ぶるさま。高慢。権高けんだか。
「たださへも―な娘に金をつけ」〈柳多留・一〇〉

ごん【権】

1 定員のほかに仮に任じた官位。多く、官位を表す語の上に付けて用いる。権官。「権大納言」
「令、正員四人なり。寛平御宇に正二人、―一人となる」〈職原抄・上〉
2 最上位の次の地位。副そえ。「権僧正」
「般若寺の観賢僧正と云ふ人、―の長者にてありける時」〈今昔・一一・二五〉
3 仮のもの。方便であるもの。
「この提婆達多は、大菩薩の―の示現にてもあるべきなれども」〈十善法語・八〉

ごん【権】[漢字項目]

⇒けん

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精選版 日本国語大辞典 「権」の意味・読み・例文・類語

けん【権】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① はかりのおもり。また、はかり。〔孟子‐梁恵王・上〕
  3. ② 臨機応変の処置。便宜的な手段。方便。また、一時的なこと。
    1. [初出の実例]「よろしく度(はか)るに事変之権を以てすべし。凡その事、常あり、変(べん)あり。これを行ふに経あり、権あり。先儒のいはく『権者所二以達一レ経也』」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)下)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  4. ③ 他人を支配することのできる力。権力。権勢。
    1. [初出の実例]「官祿余レ身雖レ照レ世、素閑承レ性不レ争レ権」(出典:法性寺関白御集(1145か))
    2. [その他の文献]〔荀子‐議兵〕
  5. ④ 人が当然のこととして自己を主張し、行動することのできる力。権利。
    1. [初出の実例]「譬へば臣は君に対し養を受くべき権あり。君は臣に対して其臣の使令に供するを望むの権あり」(出典:百一新論(1874)〈西周〉下)
  6. ⑤ ある立場の者がその職務上与えられている、何ごとかを行なう権利。権限。
    1. [初出の実例]「事を為す可き権と云ふ義あり。即ち罪人を取押るは市中廻方(まはりかた)の権なり」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二)
  7. ⑥ ( 形動 ) おごりたかぶること。また、そのさま。高慢。見高(けんだか)。
    1. [初出の実例]「たださへもけんな娘に金をつけ」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))
  8. ⑦ ⇒けん(険)④

ごん【権】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 実に対して ) 仮のもの。臨時のもの。
    1. [初出の実例]「未二曾邪勝一レ正、或以レ実帰レ権」(出典:菅家後集(903頃)叙意一百韻)
    2. [その他の文献]〔鼠璞‐巻下・権行守試〕
  3. ② 仮に任じた官位。権官。多く、官位を示す語の上に付けて用いる。「権大納言」など。
    1. [初出の実例]「凡正員之外、特任二権官一者、不レ論二正権一、依二位階次一」(出典:延喜式(927)一八)
  4. ③ 最上位の次の地位。
    1. [初出の実例]「般若寺の観賢僧正と云ふ人、権の長者にて有ける時」(出典:今昔物語集(1120頃か)一一)
  5. ④ 「ごんさい(権妻)」の略。
    1. [初出の実例]「小六を落籍(ひか)せて権(ゴン)の位に直し、赤坂辺に別宅構へて」(出典:ありのすさび(1895)〈後藤宙外〉二)

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普及版 字通 「権」の読み・字形・画数・意味

権
常用漢字 15画

(旧字)
22画

[字音] ケン・ゴン
[字訓] はかり・おもり・はかる

[説文解字]

[字形] 形声
旧字はに作り、(かん)声。〔説文〕六上に「木なり」と木の名とする。字は権量、また権要の意に用いる。おもりを権といい、物の軽重によって権をとりかえるので、権変の意となる。権によって軽重を定めるので標準・準的の意となり、それより権威・権貴・権勢の意となる。みな権衡の意の引伸義である。

[訓義]
1. はかり、はかりのおもり、ふんどう。
2. はかる、加減する。
3. かりに、あわせる、臨機に、一時的に、はかりごと。
4. 軽重にあわせる、はたらき、いきおい、権威。
5. 木の名。
6. と通じ、ほおぼね。
7. と通じ、うつくしい。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕 波加利乃於毛之(はかりのおもし)。楊氏語抄に云ふ、衡、加良波可利(からはかり) 〔字鏡集〕 オホキナリ・シバラク・カリソメ・ハカリゴト・ヤスシ・ハジム・ヨロシ・フサグ・ヒラ・カリ・カラ・ツカム・タクム・ハカリノオモシ・カリニ・ツラ・ヤウヤク・ツクル・アサク・イヤシ・カカル

[語系]
(権)・縣(県)giuan、搴khianは声近く、いずれも釣りあげる、とりあげる意をもつ語である。

[熟語]
権位▶・権威▶・権栄▶・権家▶・権貴▶・権▶・権宜▶・権議▶・権強▶・権勁▶・権計▶・権譎▶・権県▶・権言▶・権限▶・権幸▶・権▶・権倖▶・権衡▶・権豪▶・権骨▶・権詐▶・権策▶・権時▶・権首▶・権収▶・権術▶・権称▶・権臣▶・権数▶・権勢▶・権正▶・権政▶・権戚▶・権摂▶・権準▶・権▶・権族▶・権代▶・権奪▶・権知▶・権智▶・権▶・権通▶・権典▶・権度▶・権道▶・権任▶・権佞▶・権能▶・権柄▶・権秉▶・権閉▶・権嬖▶・権便▶・権変▶・権謀▶・権門▶・権勇▶・権輿▶・権要▶・権利▶・権略▶・権量▶・権力▶・権化▶・権現▶
[下接語]
威権・越権・官権・棄権・機権・強権・教権・公権・国権・債権・三権・私権・失権・執権・実権・主権・集権・女権・商権・職権・神権・親権・人権・政権・専権・擅権・全権・争権・大権・朝権・同権・特権・覇権・版権・物権・分権・兵権・民権・有権・利権

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世界大百科事典(旧版)内の権の言及

【度量衡】より

…
[語義と出典]
 度,量,衡の3文字は順に,長さ,体積,質量を意味し,同時にそれぞれをはかるための道具(ものさし,枡,はかり)や基準を意味する。なお衡と類縁の文字で権(けん)というのもあるが,これは,はかりそのものではなく,分銅のほうを指す。これら4文字をさまざまに組み合わせた語が古くから用いられており,例えば度量という語は,人の心の広さを指すのに用いられ,また他方では度量衡,度量権衡などの語と同義的にも用いられて,〈長さ,面積,体積,質量をはかること,これらの量をはかるための道具や基準,また,それらにかかわる法律的,行政的な制度ないし公共的な協約〉を指すものと解されてきている。…

【はかり(秤)】より

…また長さ,容量の場合と同様に大小2制が存在したことが知られるほか,重量を測るに当たって関係官司に銅製の標準計器を支給する定めであった。令制では地度り(じはかり),銀,銅,穀を測る以外は小制を用いる定めであったが,《延喜式》雑式に,度量権衡は,晷景(きけい)(日影)を測る場合と,湯薬を調合する場合に小制を使用する以外は,官私とも皆大制によることを規定している。これは713年(和銅6)の度量衡の改制によるものであった。…

※「権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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