(読み)キ

デジタル大辞泉 「紀」の意味・読み・例文・類語

き【紀】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]のり しるす
学習漢字]5年
筋道をきちんと立てたおきて。「紀律官紀軍紀校紀綱紀風紀
筋道や順序を追って整理・記録する。「紀行紀要紀伝体
順序を追って記録した文書。また、歴史書のうち、特に帝王の一代の事柄を記したもの。「本紀ほんぎ
年代。とし。「紀元皇紀世紀西紀芳紀
12年間。「一紀
地質時代の区分の一。「ペルム紀
日本書紀」の略。「記紀
紀伊きい国。「紀州
[名のり]おさ・こと・すみ・ただ・とし・もと

き【紀】

地質時代の区分単位の一。だいをいくつかに区分したもの。さらにせいに分けられる。デボン紀ジュラ紀第四紀など。

日本書紀」の略。
紀伊きい」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「紀」の意味・読み・例文・類語

き【紀】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 細い綱。こづな。
      1. [初出の実例]「米国の水運は、大河湖を仰ぎて其綱とし、他の支流に因て其紀となす」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. 書き記すこと。書き記したもの。
    3. 地質学で、地質時代の区分の一つ。代を細分したもの。〔英和和英地学字彙(1914)〕
    4. 一二年をひと区切りとした単位。〔色葉字類抄(1177‐81)〕〔書経‐畢命〕
  2. [ 2 ]
    1. 日本書紀」の略称
      1. [初出の実例]「一書戊申年幸比良宮大御歌、但紀曰」(出典:万葉集(8C後)一・七・左注)
    2. きい(紀伊)
      1. [初出の実例]「紀(キ)温湯(ゆ)に幸す」(出典:日本書紀(720)斉明四年一〇月)

き【紀】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「紀」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音]
[字訓] いとすじ・のり・しるす

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 形声
声符は己(き)。己は糸をくりとる器の形で、おそらく己が紀の初文であろう。〔説文〕十三上に「絲の別あるなり」とあり、糸すじを分かつ意とする。〔礼記、礼器〕に君子の行礼を論じて「衆の紀なり。紀散ずれば衆亂る」とあって紀綱の意とする。その〔注〕に「絲縷の數の紀なり」とみえる。ことの大綱を治めることを経紀、本末をしるすことを紀事という。

[訓義]
1. いとすじ、いとをまきとる、おさめる、つな。
2. のり、もとい、かなめ、みち
3. しるす、かず
4. よ、とし、十二年、きわまる。

[古辞書の訓]
名義抄〕紀 トシ・キハム・カナフ・ヲサム・シルス・ミル・シル・コトハリ・ツマビラカナリ・ワカツ・タダス・モトイ・ノリ 〔字鏡集〕紀 カソフ・ナハ・シルス・ノリ・トシ・シルシ・シル・モトヰ・サトリ・ナホシ・マサシ・タダス・キハム・コトワリ・ツバヒラカナリ・ヲサム・ミル・ワカツ

[熟語]
紀極・紀経・紀元・紀限・紀行・紀綱・紀号・紀載紀識・紀事・紀実紀述・紀序・紀・紀伝・紀度紀統・紀堂・紀年・紀念・紀聞・紀遊・紀要紀庸・紀理・紀律・紀略・紀暦・紀録
[下接語]
握紀・一紀・雲紀・恩紀・官紀・季紀・規紀・軍紀・経紀・五紀・皇紀・校紀・綱紀・国紀・歳紀・三紀・時紀・寿紀・人紀・世紀・成紀・西紀・星紀・大紀・地紀・治紀・定紀・帝紀・天紀・統紀・道紀・年紀・譜紀・風紀・芳紀・鳳紀・本紀・民紀・乱紀・律紀・両紀・倫紀・礼紀・歴紀

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紀」の意味・わかりやすい解説



period

地質時代を区分するときの時代単位の一つ。代の下の単位で、紀はさらに世に分けられる。紀は時間層序区分単位である系の形成された期間として定義される。たとえば、新第三系とよばれる地層の堆積(たいせき)した期間が新第三紀である。新第三紀は中新世、鮮新世に分けられる。古生代以後の約5億4100万年は、古いほうからカンブリア紀オルドビス紀シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀(二畳紀)(以上古生代)、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀(以上中生代)、古第三紀、新第三紀、第四紀(以上新生代)に区分されている。

[阿部勝巳・小澤智生 2015年8月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紀」の意味・わかりやすい解説



period

地質時代区分の一単位。より大きく,より小さい区分。地質年代層序区分のに対応し,系の形成期間をさす。現在認められている紀は,古いほうから,カンブリア紀オルドビス紀シルル紀デボン紀石炭紀ペルム紀三畳紀ジュラ紀白亜紀古第三紀新第三紀第四紀である。

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百科事典マイペディア 「紀」の意味・わかりやすい解説

紀【き】

地質年代の区分単位の一つ。代をさらに細分したもの。たとえば白亜紀。紀に相当する地質系統は

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【四分暦】より

…天文学的には月の交点,近点がそれぞれ18.599年,8.851年の周期であるから,19年の周期でほぼ元どおりに復帰する。日の干支は1紀=80章(1520年),年の干支は1元=3紀(4560年)で循環する。後漢の編訢(へんきん)と李梵が作った四分暦は85年から263年まで用いられた。…

※「紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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