デジタル大辞泉
「僕」の意味・読み・例文・類語
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やつがれ【僕】
(古くは「やつかれ」。「やつこ(奴)あれ(吾)」の変化したものという)
[1] 〘代名〙
自称。自分をへりくだっていう。上代、中古では、男女を通じて、へりくだる場面で用いられた。近世以降になると、もっぱらある程度の身分ある男性の、やや改まった場での文語的な
用法という感じで使われ、近世後期には気どったり茶化したりする用法にもなった。これは明治初期まで引き継がれ、その後は、書生ことばなどで、ややおどけた
口調の際などに用いられている。やつかり。
※
書紀(720)皇極元年正月(岩崎本平安中期訓)「臣
(ヤツカレ)予使に随ひて共に筑紫に到
(まういたれ)り」
[2] 〘名〙 下働きの男。下男。下僕。しもべ。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
ぼく【僕】
[1] 男のめしつかい。下男。しもべ。〔
譬喩尽(1786)〕 〔詩経‐周南・巻耳〕
[2] 〘代名〙 男子の自称。
※談義本・根無草(1763‐69)前「僕
(ボク)儀は何によらず、
祝儀の席をはづさず、
仁義礼智のはしくれも覚へしとて、儒者の数に加へらるれば」 〔司馬相如‐子虚賦〕
[語誌]((二)について) 漢文の中では、古代から男子の、非常にへり下った表現として見られるが、訓読されるのが一般的であった。奈良時代の訓は不明だが、平安時代以後は「やつがれ」がふつう。江戸時代の漢文から「ぼく」の形で、対等もしくは目下の者に対する自称の代名詞として青年・書生などが使った。以後多用されるようになり、現代では特に少年男子の自称として広く用いられる。
やつかり【僕】
※書紀(720)皇極二年一一月(岩崎本訓)「僕(ヤツカリ)天皇の宮を守りて」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報