(読み)ワ

デジタル大辞泉 「和」の意味・読み・例文・類語

わ【和】[漢字項目]

[音](呉) カ(クヮ)(漢) (ヲ)(唐) [訓]やわらぐ やわらげる なごむ なごやか あえる なぐ なぎ
学習漢字]3年
〈ワ〉
争いごとがなく穏やかにまとまる。「和解和合和平協和講和親和不和平和宥和ゆうわ融和
やわらいださま。ゆったりとして角立たない。「和気和光同塵わこうどうじん温和穏和緩和清和柔和
性質の違うものがいっしょにとけ合う。「混和中和調和飽和
声や調子を一つに合わせる。「和韻和音和声唱和
二つ以上の数を合わせたもの。「総和
日本。日本語。「和歌和裁和室和食和風和服英和漢和
大和やまと国。「和州
〈オ〉梵語の音訳字。「和尚おしょう
[補説]「和尚」は宗派によって「かしょう」「わじょう」とも読む。
[名のり]あい・あつし・かず・かた・かつ・かのう・たか・ちか・とし・とも・のどか・ひとし・まさ・ます・むつぶ・やす・やすし・やまと・やわら・よし・より・わたる
[難読]和泉いずみ和蘭オランダ和栲にきたえ和毛にこげ和布刈めかり大和やまと和布わかめ

わ【和】

仲よくすること。互いに相手を大切にし、協力し合う関係にあること。「人の」「家族の
仲直りすること。争いをやめること。「を結ぶ」「を講じる」
調和のとれていること。
「大いに身体の―をやぶり」〈中村訳・西国立志編
ある数や式に他の数や式を加えて得られた結果の数や式。⇔
[類語]親善善隣修好和親親和宥和協和

にき【和/熟】

[語素]《中世以降「にぎ」とも》名詞の上に付いて、やわらかな、しなやかな、穏やかな、などの意を表す。「―たえ(和妙)」「―て(和幣)」

にこ【和/柔】

[語素]やわらかい、こまかいの意を表す。「―やか」「―毛」

お【和】[漢字項目]

か【和】[漢字項目]

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精選版 日本国語大辞典 「和」の意味・読み・例文・類語

わ‐・する【和】

[1] 〘自サ変〙 わ・す 〘自サ変〙
① 天候など、物事の状態がおだやかになる。なごむ。
※源氏(1001‐14頃)胡蝶「何となく心ちよげなる空を見いだし給ひてわしてまたきよしとずし給うて」
② 仲むつまじくする。仲よくする。親しむ。
※足利本論語抄(16C)八佾第三「其時周召共に和して政をするぞ」
③ 二つの物事が調和して一つになる。
④ ある音響や調子が他の音響や調子と調和する。調子が合う。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉五「一篇の詩を作り、直ちに琴(きん)に和して自づから之を歌ふ」
⑤ 他の動作、特にことば、歌、音などに相応じる。答える。調子を合わせる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※電車の窓(1910)〈森鴎外〉「車掌の鈴が唱へて、運転手の鈴が和する」
[2] 〘他サ変〙 わ・す 〘他サ変〙
① おだやかにさせる。やわらげる。
② 仲よくさせる。むつまじくさせる。
③ 二つの物事を一つに調和させる。また、混ぜ合わせて一つにする。
※今昔(1120頃か)三「麨(むぎこ)を蘇蜜(そみつ)に和して其御身に塗り」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「おそらくはあの哥が盆唄の始だらうテ。夫(それ)をいろいろに和(ワ)したものであらう」
④ 他の漢詩の韻に合わせて、漢詩を作る。
※今鏡(1170)五「詩みつつくりてたまはせたる中に〈略〉とつくらせ給へりけるとみて、和してたてまつらんとしけるほどに」
外国語の表現を日本の表現に改める。日本語に訳す。和訳する。また、訓読する。
※文机談(1283頃)二「唐四巻を和しはじめけるも、この師信明の所行とぞうけたまはりし」
⑥ ことば、歌、また、音響や調子に他のことば、歌、音響や調子を調和させる。
※文明本節用集(室町中)「和詩 シヲワスル」

か‐・す クヮ‥【和】

[1] 〘自サ変〙 (「か」は「和」の漢音)
① 心がやわらぐ。互いの気持がなごむ。和(わ)する。
太平記(14C後)三二「頼光酔に和(クヮ)して此の事を語り出されたるに」
② まじりあう。うまく調和する。調子が合う。和(わ)する。
※太平記(14C後)七「里遠からぬ鐘の声の月に和(クヮ)して聞へけるを」
[2] 〘他サ変〙
① 心をやわらげる。互いの気持をなごませる。
※太平記(14C後)二八「労せる兵を助け、化を普く施して、人の心を和(クヮ)せし故也」
② 混ぜ合わせる。調子を合わせる。調和させる。また、漢方で、ある薬種に何かを加えて、効き目を増す状態にする。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)五立「同年同生の女の生血(せいけつ)にて薬湯に和(クヮ)し差上れば」

わ【和】

〘名〙
① やわらぐこと。おだやかなこと。
※六義(1428)「頌曲 〈略〉仁義礼智信に、義を和なりと注せり。義はつよき心かなるをやはらぐと也」
② 互いに仲よくすること。また、争っていたものが、仲直りすること。
※十七箇条憲法(604)「一曰。以和為貴」 〔戦国策‐趙策・孝成王〕
③ うまくつりあうこと。調和がとれていること。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉六「大に身体の和を傷(やぶ)り〈略〉歿せり」
④ 他人の詩に韻を合わせて作ること。〔運歩色葉(1548)〕
⑤ 相手の詩歌に応答する形で詩歌を作ること。
明月記‐建久二年(1191)一二月二七日「今日百首歌進大将殿、〈先是進一首、有御和〉」
⑥ 数学で、二つ以上の数や式を加えて得られる数や式。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

やわら・ぐ やはらぐ【和】

[1] 〘自ガ五(四)〙
① やわらかくなる。やわやわとなる。しなやかになる。
狂言記・皸(1660)「あかぎれなどには、水がかかれば、ことの外やはらいでよいといふ」
② おだやかになる。しずかになる。平穏になる。
※彌勒上生経賛平安初期点(850頃)「陽春は和(ヤハラキ)液へり」
③ おとなしくなる。柔和になる。温和になる。
※源氏(1001‐14頃)匂宮「すこしなよびやはらぎすぎて、すいたる方にひかれ給へりと世の人は思きこえたり」
④ 人の仲がまるくおさまる。むつまじくなる。親しむようになる。平和になる。
書紀(720)継体七年一二月(前田本訓)「日本のくに邕邕(ヤハラキ)て、名天下に擅なり」
[2] 〘他ガ下二〙 ⇒やわらげる(和)

やわらぎ やはらぎ【和】

〘名〙 (動詞「やわらぐ(和)」の連用形名詞化)
① おだやかになること。平和になること。
※書紀(720)推古一二年四月(図書寮本訓)「皇太子、親(みつか)ら肇(はし)めて憲(いつく)しき法十七条(とをちあまりななをち)を作(つく)りたまふ。一に曰く、和(ヤハラキ)を以て貴しと為(し)
② くだいて平易にすること。わかりやすくすること。
※俳諧・本朝文選(1706)四・説類・出女説〈木導〉「白拍子ながれの女は、我朝のやはらぎなるべし」
③ 男女の恋愛、情事に関すること。
※談義本・根無草(1763‐69)後「鶏が鳴く吾妻(あがつま)はやと、千早振る神の教の和事(ヤハラギ)より、相聞(いろごと)の根に通ひ」

のど・む【和】

〘他マ下二〙
[一] 心や気持をのどかにする。
① 心や気持を落ち着かせる。やわらげる。なごめる。気持を押える。
※蜻蛉(974頃)中「たちもとまらでゆきすぐれば、心ちのどめて思ふ」
② 心をゆったりと寛大にする。のんきにする。
※源氏(1001‐14頃)賢木「のどめたる所おはせぬ大臣の、おぼしもまはさずなりて」
[二] 物事をのどかにする。
① ゆるめる。ひかえめにする。
※源氏(1001‐14頃)常夏「この物宣ふ声を少しのどめて聞かせ給へ」
② 猶予する。さしおく。後まわしにする。ゆっくりする。
※源氏(1001‐14頃)帚木「そのたなばたのたち縫ふ方をのどめて、長き契りにぞあえまし」

やわら・げる やはらげる【和】

〘他ガ下一〙 やはら・ぐ 〘他ガ下二〙
① おだやかにする。なごやかにさせる。平穏にする。
※続日本紀‐天平一五年(743)五月五日「上下を斉へ和気弖(やはらケテ)動き無く静かに有らしむるには、礼と楽と二つ並べてし、平けく長く有るべし」
※源氏(1001‐14頃)若菜下「天地をなびかし、おに神の心をやわらげ」
② むずかしいものを、くだいてやさしいものにする。平易にする。わかりやすくする。
※十訓抄(1252)七「彼帝の御とき梨壺の五人に仰せて、万葉集をやはらげられしもこの御すすめとぞ、順、筆をとれりける」
③ やわらかくする。
※文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉二「草木を育てるに、土をやはらげたり、肥ししたりして、丹誠するのが信心で」

なご・し【和】

〘形ク〙
① なごやかである。おだやかである。静かである。
※蜻蛉(974頃)下「鶏の声など、さまざまなこうきこえたり」
※咄本・軽口腹太鼓(1752)五「さもなごかりつる大海逆浪つよくして」
② やわらかである。柔軟である。
※源氏(1001‐14頃)梅枝「高麗(こま)の紙の、はだこまかに、なごうなつかしきが、色などは花やかならずなまめきたるに」
[補注]和文にのみ用いられているが平安中期以降は「なごやかなり」「やはらかなり」の方が多用され、「なごし」は稀になる。

やわ・す やはす【和】

〘他サ四〙
① やわらげる。やわらかにする。
※延喜式(927)祝詞「神等のいすろこひ荒びますを、言直し和〈古語に夜波志(ヤハシ)と云ふ〉まして」
② 平和にする。討ち平らげる。帰順させる。
※万葉(8C後)二・一九九「ちはやぶる 人を和為(やはせ)と まつろはぬ 国を治めと」

なご・む【和】

[1] 〘自マ五(四)〙 なごやかになる。やわらぐ。静かになる。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「なほざりごととは見給ひながら、おのづからなごみつつものし給ふを」
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉焼土「いつの間にか志村の気持も、落つき、和(ナゴ)んで来てゐた」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒なごめる(和)

なご・める【和】

〘他マ下一〙 なご・む 〘他マ下二〙 なごやかにする。やわらげる。おだやかにする。なだめる。
※三代実録‐貞観八年(866)七月一四日「風雨調和め給ひ、五穀豊登め賜ひ」
※夏の終り(1962)〈瀬戸内晴美〉「優しさだけのこもったそんな愛撫が、知子の心の波をしだいになごめていく」

やわらげ やはらげ【和】

〘名〙 (動詞「やわらげる(和)」の連用形の名詞化) むずかしいものを、平易にすること。やさしく説明すること。
※天草本平家・伊曾保言葉の和げ(1593)「コノ ヘイケモノガタリト、エソポノ ファブラスノ ウチノ フンベツ シニクキ コトバノ yauarague(ヤワラゲ)

なぐし【和】

〘形シク〙 穏やかである。なごやかである。また、気軽な気持である。
※古事記裏書(1273)「丹の国の風土記に曰はく〈略〉此処にして我が心奈具志久(ナグシク)成りぬ〈古事に、平善をば奈具志(ナグシ)と云ふ〉」

にき・む【和】

〘自マ四〙 =にきぶ(和)
※続日本紀‐宝亀七年(776)四月一五日・宣命「此の意を悟りて其の人等の和(にきミ)安み為べく相言へ、驚ろ驚ろしき事行なせそ」

にこ・む【和】

〘自マ四〙 おだやかになる。なごむ。
※書紀(720)崇神一二年九月(熱田本訓)「是を以て、天神地祇共に和享(ニコミ)て、風雨時に順ひ百の穀(たなつもの)用て成りぬ」

にき・ぶ【和】

〘自バ上二〙 柔和になる。くつろぎ安んじる。なれ親しむ。にきむ。
※万葉(8C後)三・四八一「しろたへの 手本(たもと)を別れ 丹杵火(にきび)にし 家ゆも出でて」

なご・す【和】

〘他サ四〙 やわらげる。なごやかにする。おだやかにする。また、従わせる。
※大観本謡曲・梅(1765頃)「歌の道直なればこそ鬼神をも、和しむくなれ」

のどま・る【和】

〘自ラ四〙 のどかになる。静まる。落ち着く。ゆったりとなる。
※源氏(1001‐14頃)須磨「何となく心のどまる世なくこそありけれ」

わ‐・す【和】

〘自他サ変〙 ⇒わする(和)

なごわなごはし【和】

〘形シク〙 なごやかである。おだやかである。やわらか。なごし。

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デジタル大辞泉プラス 「和」の解説

和(なごみ)

京都府船井郡京丹波町にある道の駅。国道27号に沿う。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【北竜[町]】より

…山林が町域の大半を占め,雨竜川とその支流沿いに水田地帯が開ける。中心市街の和(やわら)は,1893年培本合資会社の集団入植により開拓された。水稲の単作地帯で,近年は小麦,メロン,トウモロコシなども産する。…

※「和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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