デジタル大辞泉 「伏」の意味・読み・例文・類語 ふく【伏】[漢字項目] [常用漢字] [音]フク(漢) ブク(呉) [訓]ふせる ふす〈フク〉1 地にふせる。「伏拝/起伏・倒伏・俯伏ふふく・平伏」2 隠れて表面に現れない。ひそむ。「伏在・伏線・伏兵・伏流・伏魔殿/雌伏・潜伏・埋伏」3 つき従う。服従させる。「圧伏・畏伏いふく・帰伏・屈伏・降伏・承伏・信伏・説伏」4 夏の最も暑い時期。「伏日/三伏・初伏」〈ブク〉仏法の力で人を服従させる。「降伏ごうぶく・折伏しゃくぶく・調伏」[名のり]ふし・やす 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「伏」の意味・読み・例文・類語 ふせ【伏】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふせる(伏)」の連用形の名詞化 )① 敵を襲うために、敵の気づかぬ所に軍勢を隠し伏せておくこと。また、その軍勢。伏勢(ふせぜい)。伏兵。[初出の実例]「氏郷真先を掛らるるを敵分別して、小川内と云処にふせを置待所に」(出典:蒲生氏郷記(1644頃か))② うつぶせになること。ふせること。また、その状態。[初出の実例]「前進してゐた生人形の兵がぱたりと『伏せ』をした」(出典:初年兵江木の死(1920)〈細田民樹〉二)③ 破れた所などを、同種の物で伏せ隠しておおうこと。継ぎをすること。つくろい。補綴(ほてい・ほてつ)。〔日葡辞書(1603‐04)〕④ 江戸深川の私娼街などで、抱えられている女郎屋で客を取る女郎。伏玉(ふせだま)。[初出の実例]「曾蘇はふせだからまわしをとりやす」(出典:洒落本・玉之帳(1789‐1801頃)二)[ 2 ] 〘 接尾語 〙 ⇒ぶせ(伏) ぶせ【伏】 〘 接尾語 〙 矢の長さをいう時に用いた語で、一束(いっそく)、すなわち、手の親指以外の四本の指で握った長さに足りない場合に、指一本の幅に当たる長さを単位としていったもの。[初出の実例]「十二束二つぶせ、よっぴいてひゃうどはなつ」(出典:平家物語(13C前)一一) ふく【伏】 〘 名詞 〙 「ふくへい(伏兵)[ 一 ]」の略。〔春秋左伝‐荘公一〇年〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「伏」の読み・字形・画数・意味 伏常用漢字 6画 [字音] フク[字訓] ふせる・ふす・かくす[説文解字] [金文] [字形] 会意人+犬。〔説文〕八上に「司(うかが)ふなり。人に從ひ、犬に從ふ」とし、犬が伏して人を伺う意とするが、字はもと伏(ふくえい)をいう。古くは蠱術(こじゆつ)が多く行われ、風蠱に対しては城門に犬牲を破(はたく)する辜(ひょくこ)の法、また墓室など地中からくるものに対しては、埋蠱(まいこ)のように人と犬とを埋めて祓う伏を以てこれを防いだ。殷墓の玄室腰坑に、武将と犬とを埋めている例がある。また殷墓に残されている数千に及ぶ断首坑葬も、伏の意をもつものであろう。秦で行われた伏祠も、蠱を防ぐために犠牲を埋めたものと思われる。また軍が出発するとき、犬牲を王の車で轢(ひ)き殺す車(しやはつ)の儀礼をもいう。(服)と字源は異なるが、声義に通ずるところがある。[訓義]1. うずめる、人と犠牲とを埋めて祓う伏の法をいう。2. ふせる、ふす、はらばう、かくす。3. うつむく、したむく。4. まちぶせる、うかがう。5. 服と通じ、したがう。[古辞書の訓]〔名義抄〕伏 フス・カクス・カクル・ウツブス・シタガフ・ヤム・ハラバフ・フルマヒ・タガヒメ・クダル 〔字鏡集〕伏 カタブク・ウヤマフ・ツハモノ・タタル・カクル・イヌクヒ・シタガフ・ヤム・フルマヒ・フス・ウツブス[声系]〔説文〕に伏声として(ふく)を収める。は車軾を覆うもので、車上の式(しょく)の礼は軾に憑(よ)って伏する礼を行う。[語系]伏・biukは同声。ともに服事・服従の意がある。伏はまたphiukと声義近く、伏は埋蠱に対する伏、(ひよく)は風蠱に対する辜(ひよくこ)で、いずれも蠱に対する呪的な方法を示す語である。[熟語]伏案▶・伏引▶・伏陰▶・伏隠▶・伏雨▶・伏▶・伏謁▶・伏怨▶・伏起▶・伏気▶・伏戯▶・伏羲▶・伏犠▶・伏居▶・伏▶・伏▶・伏闕▶・伏剣▶・伏愆▶・伏彦▶・伏虎▶・伏甲▶・伏寇▶・伏閤▶・伏▶・伏尸▶・伏死▶・伏屍▶・伏祠▶・伏士▶・伏伺▶・伏雌▶・伏侍▶・伏室▶・伏質▶・伏▶・伏日▶・伏謝▶・伏戎▶・伏処▶・伏暑▶・伏承▶・伏軾▶・伏式▶・伏食▶・伏身▶・伏刃▶・伏節▶・伏泉▶・伏奏▶・伏息▶・伏誅▶・伏聴▶・伏枕▶・伏▶・伏弩▶・伏匿▶・伏読▶・伏熱▶・伏拝▶・伏魄▶・伏物▶・伏兵▶・伏閉▶・伏弁▶・伏法▶・伏魔▶・伏埋▶・伏▶・伏膺▶・伏翼▶・伏卵▶・伏流▶・伏竜▶・伏櫪▶・伏歴▶・伏臘▶[下接語]畏伏・倚伏・隠伏・偃伏・厭伏・帰伏・起伏・伏・屈伏・降伏・三伏・伏・雌伏・折伏・初伏・暑伏・承伏・消伏・慴伏・心伏・酔伏・睡伏・説伏・潜伏・嘆伏・誅伏・調伏・踏伏・拝伏・俯伏・平伏・匍伏・伏・陽伏 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報