色色(読み)イロイロ

デジタル大辞泉 「色色」の意味・読み・例文・類語

いろ‐いろ【色色】

[名・形動]
異なる事物や状態が数多いこと。また、そのさま。さまざま。種々。「虫の色色」「色色品物を買う」
さまざまの色。
「―の紙をつぎつつ手習ひをし給ひ」〈須磨
かさねの色目の名。薄色萌葱もえぎ紅梅蘇芳すおうなどの、さまざまの色を重ねること。
女房―を三つづつ匂はして」〈栄花・根合〉
[副]さまざま。あれこれ。種々。「色色(と)やってみたが駄目だった」「種類が色色(と)ある」
[用法]いろいろ・さまざま――「デパートにはいろいろ(さまざま)な品物がある」「人の生き方はいろいろ(さまざま)だ」などでは相通じて用いる。◇「いろいろお世話になりました」「いろいろと楽しかった」「いろいろ文句を言う」のように、日常的なことをあれこれまとめた表現には「いろいろ」を用いることが多い。◇「さまざま」は「人はさまざまに思い悩む」「地球上にはさまざまな言語が存在する」「さまざまなる意匠」のようにやや文章語的で、単に種類の多さだけでなく、一つ一つが異なっていることをも示す。
[類語]広い幅広い手広い広範広範囲多方面多角多面多岐さまざま各種種種諸種多様多様化多面的多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどりもろもろ百般万般諸般多元多元的多角的横断的複眼的おしなべて一般全般に総じて概して多くおおむね大概普通通例通常一体に総体およそあまね雑多よろず各人各様十人十色千差万別マルチ事事物物種種雑多各様種種くさぐさ玉石混淆こんこう凡百ぼんぴゃく百態百事百千万端各般数多あまた数多すうた数次幾度等等諸相諸物山ほどざらあれこれ何やかや何だかんだ何のかの何くれ何くれとなくあれやこれやごちゃごちゃ枚挙にいとまがない十指に余るあの手この手エトセトラ

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精選版 日本国語大辞典 「色色」の意味・読み・例文・類語

いろ‐いろ【色色】

  1. [ 1 ]
    1. ( 形動 ) さまざまの色。各種の色。
      1. [初出の実例]「秋の花 しが色々爾(いろいろニ)(め)し賜ひ」(出典万葉集(8C後)一九・四二五四)
      2. 「いろいろの紙をつぎつつ、手習をし給ひ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
    2. 中古、女房の襲(かさね)の色目。各種の色(薄色、萌葱、紅梅、蘇芳山吹)を重ねること。
      1. [初出の実例]「殿の宮には、女房色々を三つづつ匂はして十五に、紅の打ちたる、萌黄(もえぎ)織物の表著(うはぎ)也」(出典:栄花物語(1028‐92頃)根合)
    3. ( 形動 ) さまざま。種々。
      1. [初出の実例]「旅の空に、助け給ふべき人もなき所に、色々の病(やまひ)をして」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「よくいろいろなことをいふヨ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 さまざまに。種々に。
    1. [初出の実例]「いつのほどに、いとかく色々おぼしまうけけん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)御法)
    2. 「寔(まこと)に最う種々(イロイロ)お世話になりますは」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五)

色色の語誌

名詞「色」の畳語形。そのため、その原義は、[ 一 ]のような文字通りの意味であった。平安時代には、「色々」の指し示す対象は、「花」「木の葉」「錦・織物」「糸」「紙」「玉」などに集中していて、それぞれの色とりどりのさまを、多く表わし、鎌倉時代でも、やはり、主流の意味は「さまざまの色」であった。それが、室町時代後半になると、現代語のような「さまざま」へと意味の主流が変化して、ついに江戸時代には、「いろんな」という連体詞までが派生してくる。


いろいろ‐し【色色】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙
  2. きらびやかである。美々しい。けばけばしい。
    1. [初出の実例]「皆いろいろしくあだにおはしますしも、めでたげなり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)若水)
  3. 色好みである。好色めいている。
    1. [初出の実例]「色々敷(しき)物にて、よきあしきをきらはず、女といへば心をうごかしけり」(出典:古今著聞集(1254)一六)

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普及版 字通 「色色」の読み・字形・画数・意味

【色色】しよくしよく

種々。

字通「色」の項目を見る

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