(読み)てん

精選版 日本国語大辞典 「典」の意味・読み・例文・類語

てん【典】

〘名〙
① 盛大に行なうはれやかな行事盛典儀式
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武例言「我日本に於て、此典を挙行せられしことは」
② 守らなければならないきまり。のり。おきて。規則法則
※淡窓詩話(19C中)下「清詩は典を用ふるに巧に、対を取るに巧みに、議論に巧みなり」 〔礼記‐月令〕
真理などが書かれた書物。守るべき事柄が記されている本。典籍。書籍。〔書経‐五子之歌〕

てん‐・ず【典】

〘他サ変〙 (「てんす」とも) 質に入れる。質に置く。抵当に入れる。
蔭凉軒日録‐長享二年(1488)四月二六日「命昌子溌衣呵々」
報徳記(1856)四「妻子衣類を典(テン)じ」

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デジタル大辞泉 「典」の意味・読み・例文・類語

てん【典】[漢字項目]

[音]テン(呉)(漢) [訓]のり さかん
学習漢字]4年
基本となる書物。「典籍経典けいてん・きょうてん原典古典辞典出典聖典仏典文典宝典
いつも変わらぬ基準。手本。「典拠典型典範典例楽典儀典通典法典
手本にのっとって行う儀式。「祭典式典祝典盛典
規則にかなって整っている。「典雅
質に入れる。「典物
役人職務をあずかる。「典獄典薬
特別の扱い。「栄典恩典特典
(「」の代用字)供え物。「香典こうでん
[名のり]おき・すけ・つかさ・つね・ふみ・みち・もり・よし・より
難読主典さかん

てん【典】

盛大な儀式。式典。「華燭かしょく
守らなければならないきまり。のり。
諸藩の費用多きが故に今其―を止められたり」〈条野有人・近世紀聞〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「典」の意味・わかりやすい解説


てん
dian

中国において伝統的に行われてきた不動産質。特定不動産を債権者に引渡し,その使用収益をゆだねるのと引替えに融資を受けるもの。目的物からの収益と,債権の利息とが相殺される。したがって債務者は,将来いつでも債務元本 (典価) を弁済することによって目的物を受け戻す (回贖する) ことができる。多年放置しても決して流質とはならず,回贖権は消滅しないとするのが旧来の慣習であった。台湾の中華民国民法に「典権」という一章があり,慣習を基礎としながら近代法の原理に基づく修正を加えている。

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