(読み)セイ

デジタル大辞泉 「制」の意味・読み・例文・類語

せい【制】[漢字項目]

[音]セイ(漢)
学習漢字]5年
形を作り整える。「制作編制
おさえつける。おさえとめる。「制圧制限制止制動制約圧制規制強制牽制けんせい自制節制統制抑制
秩序づける枠。きまり。「制度制服王制学制旧制体制法制
天子命令。「応制
意のままにする。「制球制覇制海権
[名のり]いさむ・おさむ・さだ・すけ・ただ・のり

せい【制】

きまり。おきて。制度。「外国にならう」
天子の命令。支配者の命令。
おしとどめること。制止。
「まろが―に従ふべくもあらねばなむ」〈宇津保・忠こそ〉
[類語]制度機構体制法制仕組み決まり定めおきてシステム

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精選版 日本国語大辞典 「制」の意味・読み・例文・類語

せい【制】

  1. 〘 名詞 〙
  2. のり。おきて。さだめ。制度。法度。禁制。
    1. [初出の実例]「同じ色の青、御馬ぞひ四人、せいありて、学僧とむ御前四人」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    2. 「内の御心、いとめでたくあるべかしく、すぐすぐしうさへありて、せいも厳しくなどぞ、おはしましける」(出典:栄花物語(1028‐92頃)暮待つ星)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐隠公元年〕
  3. 天子のおおせごと。制詔。また、領主、支配者の命令。君命。下知。
    1. [初出の実例]「制。諸国庸綿。丁五両。但安芸国絲。丁二両」(出典:続日本紀‐和銅七年(714)四月戊寅)
    2. [その他の文献]〔史記‐始皇本紀〕
  4. おさえること。おしとどめること。制止。
    1. [初出の実例]「忠こそ、まろがせいに従ふべくもあらねばなん、しのびて奏する」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
  5. せいさい(制裁)
    1. [初出の実例]「居乍らにして阿容々々(おめおめ)と制(セイ)を受くべきときにあらず」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉八)
  6. ほど。程度。分限。

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普及版 字通 「制」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] セイ
[字訓] おさえる・きる・つくる

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
未(び)+刀。未は枝葉の茂る木の形。その枝葉を切り、幹を治めることを制という。〔説文〕四下に「裁(た)つなり」と裁制の意とし、「未は物のりてるもの、裁斷すべきなり。一に曰く、止むるなり」という。〔淮南子、主術訓〕に「ほ巧工の木を制するがごときなり」とあり、木を制することが原義。衣に施しては製という。制は枝葉を剪定するので、規制・制定の意となり、制度・制可の意とする。製と通じ、製作の意にも用いる。

[訓義]
1. きる、たつ。
2. おさえる、ひかえる、とめる、さばく。
3. つかさどる、もっぱらにする。
4. さだめる、おさめる、ただす。
5. さだめ、のり、いいつける、みことのり。
6. 製と通じ、つくる、はじめる、こしらえる。

[古辞書の訓]
名義抄〕制 トドム・キハム・コトワル・イム・イマシム・ツクル・キル・ヒク・イサフ・イサム・ツクリ

[声系]
〔説文〕に制声として製を収める。木には制といい、衣には製という。ともに制作の意に用いる。

[語系]
制・製tjiatは同声。制はもと(殺)sheat、刷shoatと同系の語であろう。掣thjiatは後起の字で、制約・制圧の意。整tjiengは裁制した枝葉を束ね整えることをいい、声義に関係がある。

[熟語]
制圧・制為・制一・制可・制科・制割・制器・制宜・制義・制議・制挙・制御・制馭・制刑・制芸・制権・制限・制獄制裁・制作・制策・制止・制使・制指・制詞・制諡・制辞・制寿・制書・制匠・制象・制勝・制詔・制条・制心・制人・制数・制節・制銭・制台・制断・制治・制置・制勅・制定・制度・制覇・制罰・制伏・制幣・制変・制防・制名・制命・制約・制立・制令・制礼
[下接語]
圧制・威制・異制・遺制・王制・応制・改制・革制・学制・官制・管制・軌制・規制・儀制・擬制・旧制・脅制・強制・矯制・禁制・軍制・牽制・権制・限制・古制・拘制・控制・劫制・宰制・裁制・索制・自制・時制・承制・称制・条制・職制・新制・聖制・税制・節制・先制・専制・草制・創制・族制・体制・通制・定制・帝制・典制・田制・統制・服制・兵制・幣制・弊制・約制・抑制・立制・礼制

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改訂新版 世界大百科事典 「制」の意味・わかりやすい解説

制 (せい)

文書様式の一つ。中国においては皇帝の発令する正式の文書の一つで,これは日本古代の詔書に相当する。しかし日本の公式令には,詔書は定められているが制書は見えない。したがって制は,日本においては正式の文書ではないが,六国史等には数多く見られる。これらの制の中には,法令の制定という一般的な意味や,あるいは詔と同じ意味で用いられている場合があるが,そのほか一定の傾向として,いわゆる太政官処分を指して用いられる場合が多い。太政官の発給する太政官符には,奉勅を経たものと奉勅を経ずに上卿の宣のみによるものとがあるが,後者を,六国史はしばしば太政官処分または制として掲げている。この場合の制は,太政官処分による決定を法令として制定するという意味であろう。なお後世には,中国の制度にならって詔書を制書と称した例が見られる。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「制」の解説


せい

古代において「続日本紀」以後の正史などにみえる単行法令の称。表記は唐の制書にもとづくと思われるが,詔または勅に準じる場合,勅を奉って太政官からだされた場合,太政官からの奏が天皇に裁可されてだされた場合,太政官独自の裁断によってだされた場合など,多様な法令が含まれる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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