(読み)オキテ

デジタル大辞泉 「掟」の意味・読み・例文・類語

おきて【×掟】

動詞「おき(掟)つ」の連用形から》
守るべきものとしてすでに定められている事柄。その社会の定め。決まり。また、法律。法度はっと。「家の」「に背く」
かねてからの心づもり。計画。
「この二年ばかりぞかくてものし侍れど、親の―にたがへりと思ひ嘆きて」〈帚木
取りしきること。処置。処分。また、指図命令
「おのづから位などいふことも高くなり、身の―も心にかなひがたくなどして」〈夢浮橋
様式にかなったものの扱い方や配置のぐあい。
「筆の―すまぬ心地して、いたはり加へたる気色なり」〈梅枝
心のもち方。心構え心ばせ
「―広きうつはものには、幸ひもそれに従ひ、せばき心ある人は、さるべきにて」〈・若菜下〉
[類語]規則制度約束決まり定め規定規程条規定則規約規準規矩準縄きくじゅんじょう規律ルールコード本則総則通則細則付則概則模範的象徴的代表的典型的標準的ティピカル模範手本規範モデル典型亀鑑規矩きく文範見本かがみ範例標本サンプル雛形ひながた書式好例適例スタンダードフォーマット王道師表基準り所類型定型様式化スタイルフォーマル公式正則正統正統派正調本式本格的正規正式まっと正道折り紙付き太鼓判をパーフェクト非の打ち所が無い完璧万全完全無欠傑出大出来紋切り型腐ってもたい

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精選版 日本国語大辞典 「掟」の意味・読み・例文・類語

おきて【掟】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おきつ(掟)」の連用形の名詞化 )
  2. あらかじめ立てておいた心づもり。予定。計画。方針。
    1. [初出の実例]「親のおきてにたがへりと思ひ嘆きて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  3. 処置。処分。さしず。命令。
    1. [初出の実例]「貧しくて、我が子の行くさきのをきてせずなりぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. 心の持ち方。心構え。思慮。こころおきて。こころばえ。また、才能。技術。
    1. [初出の実例]「この人も、年をかぞふるに十二ばかりにこそなるらめ。大きさ、をきてこそかしこくとも、人の世に経(ふ)ありさま、限りあるものなれば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  5. 定め。運命。宿命
    1. [初出の実例]「娘は天道にまかせ奉る。天のをきてあらば、国母(こくも)婦女ともなれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  6. 公にきめられた規定。法律。法度(はっと)法制
    1. [初出の実例]「詔して、賞罰(まつりごと)、支度(オキテ)、事に巨(おほきなる)と細(ちひさき)と無く、並に皇太子に付(ゆだ)ねたまふ」(出典:日本書紀(720)雄略二三年七月(前田本訓))
    2. 「これによりて京都の御沙汰、律令のおきて聊もあらたまるべきにあらず候也」(出典:北条泰時消息‐貞永元年(1232)九月一一日)
  7. 取りきめ。約束ごと。いましめ。内々のきまり。
    1. [初出の実例]「生まれたる家の程、をきてのままにもてなしたらむなむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  8. 物の形、配置、方法などについてのきまった様式。
    1. [初出の実例]「けぢかき籬(まがき)のうちをば、その心しらひ、をきてなどをなん、上手はいといきほひことに、わろものは及ばぬ所多かめる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  9. しきたり。風習。所の慣習
    1. [初出の実例]「所の仕来(しきたり)といふ詞のかはりに〈略〉大隅・薩摩にていかたと云、又掟(ヲキテ)といふ」(出典:物類称呼(1775)五)

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普及版 字通 「掟」の読み・字形・画数・意味


11画

[字音] テイ・トウ(タウ)
[字訓] はりだす・おきて

[字形] 形声
声符は定(てい)。〔玉〕に「揮張するなり」とあり、規定の条目を張り出すことをいう。道教で掟書をいう。

[訓義]
1. はりだす、規定をはりだす。
2. おきて、規定。

[古辞書の訓]
立〕掟 ツツムルナリ・オキテ

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「掟」の解説


おきて

掟書(おきてがき)・置手とも。中世後期以降に盛んに用いられた成文法のこと。はじめに「掟」「定(さだめ)」などの語をおき,以下事書(ことがき)形式で規則を列挙し,「如件(くだんのごとし)」で結ぶのが典型的な様式である。村落などの集団内部の規律を定めた村掟・惣掟のほか,室町幕府の法令のうち,右の形式を備えた撰銭令(えりぜにれい)・徳政令(とくせいれい)関係,さらに戦国大名の制定法などを一括していう。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「掟」の意味・わかりやすい解説


おきて

律法

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【掟書】より

…公布された法度(はつと)書の一形式。中世後期より用いられたが,元来,みずからの心構え,取極め,しきたり,処置などの意義のある掟が,在地領主,土豪等が下剋上の結果,法制発布の立場になっても用いたため,普遍化して,順守すべき法令の意味を持つようになったと考えられる。初めに掟(掟事,掟旨),定,定申などの文言が記され,法令の個条が事書で記され,終りに違反者への警告の文言,年月日,取極めたもの一同の署判,奉行人の署判,あるいは絶対者の捺印,法令の対象となるものが充所に記されるのが一般的である。…

※「掟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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