母(ゴーリキーの小説)(読み)はは(英語表記)Мать/Mat’

日本大百科全書(ニッポニカ)「母(ゴーリキーの小説)」の解説

母(ゴーリキーの小説)
はは
Мать/Mat’

ロシア・ソ連の作家ゴーリキーの長編小説。社会主義リアリズムの典型的作品。最初英文で、1906年12月ニューヨークの『アップレトン・マガジン』誌に連載。ロシア語版は07~08年『ズナーニエ』(知識)文集に発表された。厳しい検閲によって削除された箇所を埋め、完全な形で出たのは17年の生活と知識社版が最初である。実際に1902年ソルモフカでメーデーの際逮捕されたピョートル・ザローモフ母子がモデル。工員パーベルが社会の不公正に反発し、社会主義サークルに参加し、帰宅がしばしば遅くなる。それを母親ペラゲーヤは初め心配する。やがて自宅がサークルの会場になり、盗み聞きするうちに息子たちの正しさを信じるようになる。経費を工員負担で沼地を埋め立てる計画がもちあがり、工員たちは工場側と対立。リーダーの息子は逮捕される。母親がかわりにビラ配りをする。息子の再逮捕後の法廷で母親は息子たちの正しさを訴え、そのため彼女も逮捕され、「真実の火は消えぬ」と叫ぶところで終わる。なお、これを大胆に脚色したプドフキン監督による映画化作品(1926)は、サイレント映画史上の名作として評価が高い。

[佐藤清郎]

『横田瑞穂訳『母』全二冊(岩波文庫)』『黒田辰男訳『母』全二巻(1976・新日本出版社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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