デジタル大辞泉
「焦がれる」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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こが・れる【焦・燋】
- 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]こが・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 - ① 焼けて焦げる。
- [初出の実例]「熱鉄の丸を呑むとき、口に入れば、口焦(コカル)」(出典:大智度論平安初期点(850頃か)一六)
- ② 日に照りつけられて変色する。また、紅葉したり、幾度も染色したりして、火で焦げたような色になる。
- [初出の実例]「下紅葉秋も来なくに色づくは照る夏の日にこがれたるかも」(出典:曾丹集(11C初か))
- ③ 香を焦げるほどたきしめる。
- [初出の実例]「紅葉重の薄様の取手もくゆる計りにこがれたるに」(出典:太平記(14C後)二一)
- ④ 恋人、肉親、友人などを恋い慕う思いで胸が熱くなり、焦げるばかりになる。「漕がれる」にかけていうこともある。
- [初出の実例]「舟人も、たれを恋ふとか大島の、うら悲しげに声立てて焦がれ来にける」(出典:謡曲・玉葛(1470頃))
- 「ヲモイニ cogaruru(コガルル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ⑤ 自分の望んでいる状態になってみたいと強く思う。切望する。あこがれる。「流行歌手にこがれる」
- [初出の実例]「なににこがれて書くうたぞ」(出典:抒情小曲集(1918)〈室生犀星〉小景異情)
- ⑥ ( 接尾語的に用いて ) 自分の望むことがなかなか実現せず、じっとしていられない気持である。「恋いこがれる」「待ちこがれる」
焦がれるの語誌
( 1 )「古今六帖‐一」の「火」の項に「たく」「もゆ」「やく」などを詠みこんだ和歌と並んで「こがる」の表現も収められている。
( 2 )早く「万葉‐二六四九」に「下粉枯(したこがれ)」と恋に身を焦す比喩が見え、「後撰和歌集」以下、「思ひ」の「火」や「煙」などの縁語として使われる点は、類似の表現である「たく」「もゆ」「やく」と共通する。
( 3 )舟路によって都を離れる知人との別離を惜しむ心情を、舟と関係の深い「漕がる」と掛詞にした例も多く、「焦がれ舟」という語も生じた。→こがれ・したこがれ
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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