祝融(読み)しゅくゆう

日本大百科全書(ニッポニカ)「祝融」の解説

祝融
しゅくゆう

中国の古代神話に登場する顓頊(せんぎょく)の子あるいは孫と伝えられている。湯王(とうおう)が、暴君の悪名高い夏(か)王朝最後の王である桀王(けつおう)を討ち滅ぼすために軍隊を進めたとき、は桀王の守る城に火災を引き起こして湯王を勝利に導いた。このように、祝融はと関係の深い神であり、同じく火神である炎帝(えんてい)の配下とされたり、竈(かまど)の神とも考えられた。また五行説が、木、火、土、金、水の五つの元素をそれぞれ中央と四方に当てはめたとき、火を南方に配当したことから、南方をつかさどる神であるともされた。他方、祝融を一個の神格としてではなく、火を取り扱う官職の名前とする伝承も存在している。

[桐本東太]

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精選版 日本国語大辞典「祝融」の解説

しゅく‐ゆう【祝融】

〘名〙
① 中国で、火をつかさどる神。また、夏の神、南方の神。祝融氏。祝融神。しゅうゆう。《季・夏》
※済北集(1346頃か)七・後無価軒記「寺為祝融奪焉、予拾瓦礫灰塵」 〔礼記‐月令〕
火事をいう語。火災。
※空華日用工夫略集‐至徳二年(1385)四月一五日「忽聞城中祝融用事、府君登羅漢閣之。少頃還駕。為救火也。六角大慈院亦罹其災
随筆・北越雪譜(1836‐42)二「少く蔵せしも屡(しばしば)祝融(シュクユウ)に奪れて架上蕭然たり」

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デジタル大辞泉「祝融」の解説

しゅく‐ゆう【祝融】


中国古代神話上の帝王。赤帝と号したという。一説に、帝嚳ていこくのときの火官。のちに火神。夏をつかさどる神、南方の神、南海の神ともされる。
中国の火星探査機天問1号とともに、2020年7月に打ち上げられたローバー。2021年5月に、着陸機とともにユートピア平原南部への軟着陸に成功。六つの観測機器を搭載し、太陽電池で駆動する。
火災のこと。
しばしば―に奪はれて架上蕭然たり」〈北越雪譜・二〉
[類語](火事火災火難出火失火炎上大火小火ぼや自火近火急火怪火不審小火しょうか回禄かいろく大火災大火事山火事火の海焼失焼亡焼尽丸焼け半焼け全焼半焼火元火の元類焼貰い火延焼飛び火引火猛火火の手下火鎮火消火火消し消防火事場焼け跡

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百科事典マイペディア「祝融」の解説

祝融【しゅくゆう】

中国神話の火神。《墨子》によれば殷(いん)の湯王が夏の桀王(けつおう)を討った時,城に火を降らせた。のち三皇三皇五帝)の一,火をつかさどる官名。楚の祖先重黎(ちょうれい)と呉回がこの職に任ぜられたという。

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世界大百科事典 第2版「祝融」の解説

しゅくゆう【祝融 Zhù róng】

中国の神話にみえる火神。《左氏伝》昭公29年に火をつかさどるものとされ,《墨子》非攻に,夏殷の革命のとき,天が融に命じて火を夏(か)の地に下さしめたという。《左氏伝》昭公18年に火を禳(はら)うため回禄の神を祀(まつ)ったとされ,これも火神。楚の世系では重黎(ちようれい)の呉囲が火正として祝融となったとあり,もと南方系の火神で,電光を神格化したものと考えられる。のち伏羲(ふくぎ)・神農とともに,三皇の一とされた。

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