神戸(古代)(読み)かんべ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神戸(古代)」の意味・わかりやすい解説

神戸(古代)
かんべ

古代、神社に属し、その祭祀(さいし)や経済を支えた民。「じんこ」とも読む。『日本書紀』崇神(すじん)天皇7年条にその制定記事がみえる。律令(りつりょう)制下では、朝廷から特定の神社に寄せられた封戸(ふこ)の一種に規定され、神封(しんぷう)ともいう。神戸の出す調庸(ちょうよう)および田租(でんそ)は、神社の造営や神に供する調度の料にあてられた。また神戸は公役につかず、もっぱら神社の維持修理にあたり、神戸のなかから神社の祭祀に奉仕する祝部(はふりべ)も任命された。祝部の名帳や神戸の戸籍は特別につくられ、806年(大同1)牒(ちょう)では、神戸を有する神社は170社、神戸の総数は5884戸を数える。宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)の1660戸、伊勢(いせ)大神宮の1130戸が多いが、1戸から数戸の神社が大半である。

渡辺 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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