警察[アメリカ合衆国]（読み）けいさつ[アメリカがっしゅうこく]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

警察[アメリカ合衆国]
けいさつ[アメリカがっしゅうこく]

アメリカ合衆国の警察制度は複雑多様に構成されているが，これは歴史的な背景による。(1) 都市警察　19世紀中頃から，都市をパトロールし犯罪捜査を行なう職業的な都市警察制度を設ける必要が生じ，公安委員会によって民意を反映しつつ管理する警察制度が大都市に順次設けられていった。公安委員会の構成，権限，制度の内容は各都市によって異なる。(2) 州警察　19世紀後半から 20世紀前半にかけて，自動車の発達などの情勢の変化とともに，各州に州警察制度が相次いで設けられた。州は独自の法律制定権をもっているので，各州における州警察制度も多様であるが，おおむね保安（猥褻出版物の取り締まりなど），衛生（食品衛生関係など），交通（速度制限など）および産業（度量衡関係，労働基準関係など）に関する権能を有する。(3) 連邦警察　1908年に連邦法に関する犯罪および州際犯罪（州境を越える誘拐，窃盗自動車移送など）を摘発し，犯罪者を逮捕する機関として司法省の中に連邦捜査局 FBIが設けられた。また，連邦の警察組織としてはこのほかに司法省移民局（不正出入国犯罪などの捜査），国土安全保障省内のシークレット・サービス USSS（大統領に対する犯罪，通貨犯罪などの捜査），沿岸警備隊 USCG（密輸犯罪の捜査），麻薬取締局 DEA（麻薬犯罪の捜査），内国歳入局情報部（所得税逋脱犯罪の捜査）などがある。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典