デジタル大辞泉 「為る」の意味・読み・例文・類語
する【▽為る】
1
㋐ある状態・現象の起きたことやその存在がおのずと感じられる。「稲光がする」「地鳴りがする」「物音がする」「においがする」「寒けがする」「
㋑ある状態になる。ある状態である。「がっしりした骨組み」「男好きのする顔」
㋒(金額を表す語に付いて)それだけの価値である。「五億円もする絵」「その洋服いくらした」
㋓(時を表す語に付いて)時間が経過する。「一年もすれば忘れるだろう」
2
㋐ある事・動作・行為などを行う。意図的にその物事・行為を行う場合から、ある状態や結果になるような動作・行為を行う場合、結果としてある事を行ってしまったり望まないのにそうなったりする場合など、いろいろに用いられる。「運転をする」「仕事をする」「いたずらをする」「道路を広くする」「負担を軽くする」「女らしくする」「大損をする」「やけどをする」「下痢をする」
㋑ある役割を努める。ある地位にあって働く。また、そのことを仕事として生活をささえる。「司会をする」「仲人をする」「料理長をしている」「商売をする」
㋒(多く「…を…にする」「…を…とする」の形で)人や物事を今とはちがった状態のものにならせる。ある地位に就かせたり、ある用に当てたりする。「息子を先生にする」「彼を会長にする」「
㋓ある状態・性質であることを示す。「鋭い目付きをした男」「むじゃきな顔をした子供たち」
㋔身に付ける。「ネクタイをする」「マスクをする」
㋕…であると判断をくだす。みなす。また、決定する。選んでそれに決める。「まあ、これでよしとしよう」「友をよき競争相手とする」「出場を取りやめにする」「私は、コーヒーにする」
3 (補助動詞)
㋐(動詞の連用形、または、サ変複合動詞の語幹に助詞「は」「も」「こそ」「さえ」などを添えた形に付いて)その動詞の意味を強調する。「雪は降りはしたが積もらなかった」「泣きもしない」「感謝こそすれ、恨むわけがない」「顔を出しさえすればよい」
㋑(「…うとする」「…ようとする」の形で)もう少しである作用・状態が起こりそうになる。また、今にもある行為をしそうになる。「日が沈もうとしている」「飛びかかろうとする」「時が過ぎようとする」
㋒(「…とする」「…とすれば」「…としては」「…にしては」などの形で)…と仮定する、…の立場・レベル・段階で考える、などの意を表す。「今、台風が上陸したとする」「習作とすれば上々の出来だ」「親としては心配するのは当然だ」「冬にしては暖かい日が続く」
㋓(「…にしても」「…としても」の形で)そのような場合でも、の意を表す。「どんなに急いだにしても間に合わなかっただろう」
㋔(接頭語「お」「ご」の付いた動詞の連用形、または、サ変複合動詞の語幹に付いて)謙譲の意を表す。「お届けする」「お伴します」「ご案内します」
[補説](1) 語種(和語・漢語・外来語)を問わず、名詞・副詞や形容詞・動詞の連用形などに付いて多くの複合動詞がつくられる。その際、語幹が1字の漢字のものなどは「案ずる」「論ずる」「応ずる」「重んずる」のように「~ずる」となるものが多い。これらは、また「案じる」「論じる」「応じる」「重んじる」と上一段としても用いられ、さらに「愛する」「解する」「略する」などは五段にも活用する。(2) 口語の未然形には「せ」(打消しの助動詞「ず」「ぬ」が付くときの形)と「し」(打消しの助動詞「ない」が付くときの形)がある。使役や受身の助動詞が付くとき(サ変複合動詞のうち語尾が濁るもの以外)、「せさせる」「せられる」となるはずであるが、多く「させる」「される」のようになる。この「さ」は未然形として扱うことになる。(3) 命令形は、古くから現在まで「せよ」が一貫して用いられるが、中世後期から「せい」が(今日でも関西方言で用いられる)、近世以降は「しろ」が用いられるようになる。(4) 助動詞「き」へ接続する場合は、終止形「き」には連用形の「し」から(「し=き」)と原則どおりであるが、連体形「し」・已然形「しか」には未然形「せ」から(「せ=し」「せ=しか」)続くという変則の承接をする。
[下接句]足を棒にする・意とする・家を外にする・内を外にする・海を山にする・公にする・己を
[類語](2)