(読み)ナミ

デジタル大辞泉 「並」の意味・読み・例文・類語

なみ【並(み)】

《動詞「なむ」の連用形から》
並んでいること。並んだもの。ならび。
よくも悪くもないこと。ごく一般的であること。また、そのもの。中ぐらい。普通。「並みの品」「並みの選手」
商品などの等級で、上と下の中間のもの。中程度。「にぎりの並み
同程度・同類であること。同等。
「わが―の人にはあらじと思ひて」〈玉鬘
名詞の下に付いて接尾語的に用いられる。
㋐そのものと同じ、そのものと同じ程度などの意を表す。「例年並みの気候」「世間並みの生活」
㋑その物ごと、その時ごとの意を表す。「軒並み」「月並み
㋒それが並んでいること、いくつも重なっている意を表す。「歯並み」「家並み
[類語]平凡ありきたり凡俗ありふれる普通一般一般的尋常通常平常通例標準標準的平均的つねただ当たり前常並み世間並み十人並み月並み凡庸日常茶飯日常茶飯事平平凡凡常套決まりお定まり平板類型的紋切り型芸がないノーマルレギュラースタンダード

へい【並〔竝〕】[漢字項目]

[音]ヘイ(漢) [訓]なみ ならべる ならぶ ならびに
学習漢字]6年
〈ヘイ〉同列にならぶ。「並行並称並進並存並立並列
〈なみ〉「並木並並毛並月並人並町並
[名のり]なめ・み・みつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「並」の意味・読み・例文・類語

なみ【並】

  1. [ 1 ] ( 動詞「なむ(並)」の連用形の名詞化 )
    1. 並ぶこと。また、並んだもの。ならび。〔名語記(1275)〕
    2. 同類であること。同程度であること。ひとしなみ。
      1. [初出の実例]「磐たたみかしこき山と知りつつも吾れは恋ふるか同等(なみ)ならなくに」(出典万葉集(8C後)七・一三三一)
    3. ( 「…のなみ」の形で ) その類に共通すること。その類で一般であること。
      1. [初出の実例]「入道殿下の猶すぐれさせ給へる威のいみじきに侍るめり。老のなみに、いひすぐしもぞし侍る」(出典:大鏡(12C前)四)
    4. ( 形動 ) 良くも悪くもないさま。普通、一般、ひととおりであるさま。また、それより上等なものと比べて劣っているさま。また、そういうもの。
      1. [初出の実例]「若鮎釣る松浦の川の川波の奈美(ナミ)にし思はばわれ恋ひめやも」(出典:万葉集(8C後)五・八五八)
      2. 「牛肉は普通(ナミ)が一人前四銭で、ロースは六銭であった」(出典:門(1910)〈夏目漱石〉八)
    5. 疱瘡(ほうそう)のでそろいをさしていう。
      1. [初出の実例]「初手は並(ナミ)が悪かったによって案じましたが、此間は並(ナミ)もよし、いっそ軽うしまへばよう御座りますがな」(出典:歌舞伎桑名屋徳蔵入船物語(1770)四)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙
    1. 名詞に付いて、それが並んでいること、いくつも重なっていることを表わす。「歯なみ」「家なみ」など。
    2. 名詞に付いて、その物ごとに、それを単位としてそれごとに、同じ事柄が続くことを表わす。「月なみ」「日なみ」「軒なみ」など。
    3. 名詞に付いて、その類と同じ、あるいは同じ程度であることを表わす。「例年なみ」「犬猫なみ」「十人なみ」「世間なみ」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「並」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)竝
10画

[字音] ヘイ
[字訓] ならぶ・ならびに・ともに・みな

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字は竝に作り、立をならべた形。立は位。その位置すべきところに並んで立つことをいう。〔説文十下に「(なら)ぶなり。二立に從ふ」という。は二人相並ぶ側身形。竝は相並ぶ正面形。从(從)・比は前後相従う形。みな二人相従う字である。

[訓義]
1. ならぶ、ならび立つ、ならびに。
2. ともに、ともなう、たぐえる、よる、そう。
3. みな、あつまる、つらなる。
4. 決して、一切。

[古辞書の訓]
名義抄〕竝 ナラビ・シカシナガラ・ヨル・ソフ・アラハル 〔字鏡集〕竝 ミナ・ソフ・ナラブ・ナラビヰル

[部首]
〔説文〕十下(たい)(替)をこの部に属し、「廢するなり。一下る。竝に從ひ、白(はく)聲」とし、また一体として(しん)の字形をあげる。字の竝は原告被告、曰(えつ)は獄訟の際の盟誓、その敗者は廃せられるので廃替(はいたい)の意となる。(しん)は曰上に二(しん)をおき、呪祝を加える形で、替とは異なる字である。また普(ふ)を〔説文〕は日部七上に属し、会意とするが、いずれも曰に従う古い儀礼を示す字であろう。

[声系]
〔説文〕に竝声として髟(ひよう)部の字一字を収める。〔段注〕に普を竝声の字とするが、確かでない。

[語系]
竝byeng、byenは声近く、人に竝といい、馬にという。また(併)piengも声義近く、竝は相並ぶもの、は前後相従うことをいう。phieng声の字も、この系統の語であろう。

[熟語]
並育・並縁並駕並軌並挙・並居並駆・並・並肩・並興・並耕・並行・並載・並枝・並時・並悉・並日・並処・並称・並牀・並進・並世・並湊・並・並・並馳・並騁・並轡・並無・並立・並列
[下接語]
肩並・比並・隣並

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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