デジタル大辞泉
「労」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いたわりいたはり【労】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「いたわる(労)」の連用形の名詞化 )
- ① ほねをおること。格別の労力を使うこと。苦労。
- [初出の実例]「何のいたはりもなく建てたる寝殿の」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)
- ② ほねをおって、てがらをたてること。功労。
- [初出の実例]「其の大造(おほよそ)の績(イタハリ)を建つこと得たり」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
- ③ 人のほねおりをねぎらうこと。慰労。
- [初出の実例]「殿上人、蔵人などぞ、これかれ御いたはりにて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
- ④ ねんごろに扱うこと。大事にすること。肝煎(い)り。世話。
- [初出の実例]「人の婿(むこ)といふものは若き人などをば、本家のいたはりなどして立つるを」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
- ⑤ あわれみの心をかけること。いとおしみ。慈愛。
- [初出の実例]「みかど、殿の御いたはりにて、ゆたかにて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)沖つ白浪)
- ⑥ 身のわずらい。病気。また、心の痛み。
- [初出の実例]「このあざりにつけ奉れば、かしこくしていたはりやめつ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)
ろうラウ【労】
- 〘 名詞 〙
- ① 苦労すること。ほねおり。
- [初出の実例]「御らうの程はいくばくならぬに、さみだれになりぬるうれへをし給ひて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蛍)
- [その他の文献]〔易経‐兌卦〕
- ② その職をつとめ上げて、功労のあること。功績。年功。
- [初出の実例]「勘解由判官の労六年」(出典:順集(983頃))
- ③ 経験を積んで、その道に巧みであること。慣れていること。熟練。
- [初出の実例]「やまと琴にもかかる手ありけりと聞き驚かる。深き御らうのほどあらはに聞えておもしろきに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- ④ 経験深く、万事に心がよく行き届いていること。すぐれた心づかい。
- [初出の実例]「おほくの人の中に、心にくくふかきらうなりとみたまふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
- ⑤ ねぎらうこと。働きを謝すこと。いたわり。
- [初出の実例]「愍の労を加ふと雖も、寝食穏からず」(出典:将門記(940頃か))
- ⑥ =ろう(癆)
いたずかわ
しいたづかはし【労】
- 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「いたつく(労)」の形容詞化。「いたつかわし・いたずがわし」とも )
- ① つとめて骨折る。ご苦労千万だ。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- [初出の実例]「この楽しびを忘れて、いたつかはしく外の楽しびを求め」(出典:徒然草(1331頃)九三)
- ② 仕事などで疲れている。
- [初出の実例]「心痛(いた)み、背(せなか)悶(イタヅカハシク)、骨酸(み)るに肉楚(いた)し」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九)
- ③ 煩わしい。めんどうだ。〔観智院本名義抄(1241)〕
- [初出の実例]「我より上なる人とともなへば、いたづがはしき事のみあって」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中)
労の派生語
いたずかわし‐さ- 〘 名詞 〙
いたつかわ
しいたつかはし【労】
いたわ
しいたはし【労】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「労」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の労の言及
【農具】より
…このような相対立する性格を有するがために,両者における農具の発達,そして機械化への歩みも異なる。農具の発達は農作業の労働能率を高めることになるが,それによって浮いた労働が,集約化してもあまり土地生産性の高まらない休閑農業では,経営を拡大する方向に用いられ,そのことが畜力その他の原動力を利用する機械の発達を促した。一方,中耕農業においては,もともと労働を集約化しなければ農業そのものが成立せず,また労働を集約化すれば土地生産力が格段に高まるから,経営を拡大するよりも,むしろ労働を集約化して人力を利用する道具の発達を促した。…
【耙労】より
…中国古来からの農具。耙は耕起した土を粗砕したり,地中の毛細管を地表面で切断するのに使用され,労は土を細砕し,鎮圧して毛細管をととのえるのに使用する。華北の農業は一般に雨水にたよっているため,地中の水分の可能な限りの利用が望ましい。…
※「労」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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