意見(読み)イケン

デジタル大辞泉 「意見」の意味・読み・例文・類語

い‐けん【意見】

[名](スル)
ある問題に対する主張・考え。心に思うところ。「意見を述べる」「意見が分かれる」「少数意見」「賛成意見
自分の思うところを述べて、人の過ちをいさめること。異見。「同郷の先輩が意見する」
[類語](1見解主張所説所論持説持論私見私意私考所思所見考え見方オピニオン(尊敬)貴意高見(謙譲)愚見卑見私見管見/(2いさめる諫言諭す諫死注意説教𠮟責諌止苦言忠言忠告勧告警告心添えいまし戒めるたしなめるとがめる言い聞かせる言い含める因果を含めるくぎを刺す

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精選版 日本国語大辞典 「意見」の意味・読み・例文・類語

い‐けん【意見・異見】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある物事や判断に対して持つ考え。見解。
    1. [初出の実例]「各仰属司、令意見」(出典:続日本紀‐養老五年(721)二月甲午)
    2. 「此の事天下において異なる勝事なれば、公卿僉議あり。おのおの意見をいふ」(出典:平家物語(13C前)一)
    3. [その他の文献]〔韓愈‐新修滕王閣記〕
  3. ( ━する ) 思うところを述べて、いさめること。忠告。説教。訓戒
    1. [初出の実例]「新中納言知盛の意見に申されけるは」(出典:平家物語(13C前)一〇)
    2. 「身おもふ人には世の事を異見し」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)六)
  4. 室町幕府寺院の訴訟制度において、意見衆(評定衆、右筆衆あるいは供僧など)が衆議して決定した答申。→意見状
    1. [初出の実例]「右両条、可賜御意見矣」(出典:東寺百合文書‐ハ・延文元年(1356)四月二一日・東寺供僧意見状)

意見の語誌

( 1 )表記は、「色葉字類抄」に「意見」とあるが、中世後期の古辞書類になると「異見」とするものが多く、「又作意見」(黒本本節用集)のように注記を添えているものも見られる。近世の節用集類も「異見」を見出し表記に上げているが、明治時代に入ると典拠主義の辞書編纂の立場から「意見」が再び採られるようになり「異見」は別の語とされた。文学作品の用例を見ても、中世後期から近世にかけては、「異見」が一般的であった。
( 2 )「意見」は、「色葉字類抄」に「政理分」と記されていることや「平家物語」の用例によると、本来は政務などに関する衆議の場において各人が提出する考えであった。そのような場で発言するには、他の人とは異なる考えを提出する必要がある。そのようなところから、「異見」との混同が生じたものと思われる。
( 3 )中世も後期になると、「異見」の使用される状況も拡大し、二者間においても使用されるようになった。それに伴い、の意味も生じてきた。最初のうちは、相手が目上目下に関わらず使用されていたが、訓戒の意が強くなり、次第に目上から目下へと用法が限定されてきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「意見」の意味・わかりやすい解説

意見
いけん

ある特定の事物や人物、さまざまな社会的な問題やできごとに対する態度、信念、考え方、価値判断などを、ことばによって表明したものをいう。意見は、家庭生活や社会生活のなかで人々とのコミュニケーションや新聞、雑誌、映画、ラジオ、テレビなどのマス・メディア(大量媒体)との接触を通じて形成され、しばしば社会の伝統や慣習に対して批判的であるが、知識のような一貫性や確証性に欠け、感情的で漠然とした意思表示にとどまることもある。いわゆる態度測定世論調査は、普通、言語的に表明された意見の収集、分析によっているわけであるが、権威主義的色彩の濃い社会や制裁的圧力が懸念される場合には、内面的意見と表面的意見が使い分けられ、真実の意見の動向がとらえられないおそれも生じる。また、意見が直接現実の場面に結び付かず、観念的なことばのうえでの原則論や感情論、空理空論に陥ることもある。

[辻 正三]

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普及版 字通 「意見」の読み・字形・画数・意味

【意見】いけん

考え。所存。〔後漢書、王充等伝論〕夫(そ)れの恆(つね)無きにひて、雜なり。故に是非の論、然として相ひ乖(そむ)く。

字通「意」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「意見」の意味・わかりやすい解説

意見
いけん
opinion

人が特定の状況や対象に対してもつ特定の態度の言語的表明。したがって意見と態度とは並行的な対応関係にあり,社会心理学では意見は態度測定の重要な指標とされている。狭義には自己の信念の言語的表明。

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