デジタル大辞泉
「相手」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
あい‐て あひ‥【相手】
〘名〙
① 物事を一緒にする一方の人。また、働きかけの対象。
※米沢本沙石集(1283)七「貧しき侍の宮仕しけるが、主の御相手(アヒテ)になりて侍ける」
※
俳諧・
去来抄(1702‐04)故実「昔は恋一句出れば、相手の作者は恋をしかけられたりとあいさつせり」
② 対抗して勝負を争う人。競争者。
※
古今著聞集(1254)一〇「競馬十番ありけるに、〈略〉久清合手をきらひて辞し申けれども」
※俳諧・曠野(1689)八「
双六のあひてよびこむついり哉〈胡及〉」
③ ある物に取り合わせる、もう一つの物。
※古文真宝笑雲抄(1525)一「一抄云、
章甫薦
レ履。章甫は冠ぞ。冠をば履のあいてにしきたぞ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「薄したぢで
吸物じゃ
さかい、酒の下酒
(アヒテ)になどせうものなら、いっかう能
(ゑい)じゃ」
[補注]働きかける対象を表わす語のすぐ下に付けて「観光客相手の商売」「受験生相手の雑誌」などと用い、また、働きかける動作を表わす語のすぐ下に付けて「遊び相手」「相談相手」「競争(対戦)相手」などとも用いる。
[語誌]中世以降の
用例しか見当たらない、比較的新しい語である。平安時代以前は、この
意味を表わす場合、「かたき」という語を用いていたと考えられる。その後、「かたき」が「
戦争の対象となるもの」や「
憎しみや恨みの対象となる人」のようなマイナスの
ニュアンスを強く持つに至るに及び、その欠けた
隙間を埋めるために「相手」が登場したものと思われる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報