デジタル大辞泉
「知音」の意味・読み・例文・類語
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ち‐いん【知音】
- 〘 名詞 〙 ( 「列子‐湯問」「呂氏春秋‐孝行覧」などに見える故事による語。中国の春秋時代、琴の名手伯牙(はくが)のひく曲を、その友人鍾子期(しょうしき)はよく理解していたが、鍾子期が死んで、伯牙は自分の音楽の真髄を理解してくれる人はいなくなったとして、琴の弦を切ってしまったという故事から )
- ① 心の底をうちあけて話すことのできる友。心の通じ合った親友。無二の友。
- [初出の実例]「知音々々、蘭契深」(出典:性霊集‐一(835頃)徒懐玉)
- 「汝は吾年来(としごろ)の知音(チイン)也」(出典:太平記(14C後)二八)
- ② ( ━する ) 転じて、友人。知り合い。知人。また、友人づきあいをすること。
- [初出の実例]「昨日春宮亮出立之処。知音之輩多以到訪」(出典:明衡往来(11C中か)上本)
- 「久しく知音すれども不レ絶却て敬するぞ」(出典:足利本論語抄(16C)公冶長第五)
- ③ ( ━する ) 男と女が親しくすること。恋情を通じること。恋人となること。遊女のなじみ客となること。また、なじみの相手。衆道においては、念友をいう。
- [初出の実例]「此ゑんまわうがいにしへ、やをの地蔵と知音をして、さいさいだいてねた」(出典:虎明本狂言・八尾(室町末‐近世初))
- 「一年中の鬠(もとゆひ)白粉(おしろい)つづけるちいん有」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)五)
- ④ 音曲を理解すること。
- [初出の実例]「やつがれ年ごろ閑暇の茶菓に是をもてあそびて、知音(チイン)のこころざしありければ」(出典:歌謡・松の葉(1703)序)
- ⑤ 学問・仏法などに精通していること。また、その人。
- [初出の実例]「権実難レ別。顕密易レ濫。自レ非二知音一誰能別レ之」(出典:性霊集‐一〇(1079)叡山澄和上啓返報書)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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知音
本当に自分のことをわかってくれる相手。心の通じ合った親友。また、広く、友人や知り合い、恋人などのこと。
[使用例] 各人民、各王国、若くは各小種族をば互に相接近せしめ、互に相交際せしめ、以て知音とならしめたり[徳富蘇峰*将来之日本|1886]
[使用例] 寺々の知音に寄せて、当麻寺へ、よい様に命じてくれる様に、と書いてもやった[折口信夫*死者の書|1939]
[由来] 「[呂氏春秋]―孝行覧・本味」に出てくる話から。紀元前数世紀の昔、中国の春秋時代のこと。琴の名手、伯牙の演奏を、その友人、鍾子期はよく理解していました。伯牙が高い山を思って奏でると、鍾子期は「険しくて泰山のようだ」と言い、川の流れをイメージして琴を弾けば、「広々と流れゆく水のようだ」と答えるという次第。鍾子期が亡くなった後、伯牙は、もう琴を聞かせるに足る人はいなくなったと考えて、弦を切って琴を壊してしまい、二度と演奏することはなかったということです。この話を受けて、三世紀の魏王朝の皇帝、曹丕が書いた「呉質に与ふる書」では、伯牙が鍾子期のために琴の弦を切ってしまったのは、「音を知る(自分の音楽を理解してくれる)」人にはなかなか出会えないことを悲しんだのだ、と述べています。
[解説] ❶芸術家にとっては、よき理解者の存在は、なにものにも増してありがたいことでしょう。伯牙が演奏をやめたのには、鑑賞者としての鍾子期に対する感謝の念に加えて、彼を称える意図もあったのかもしれません。❷現在では、単なる「知り合い」を指して用いることもありますが、由来を踏まえるならば、「自分をよく理解してくれる」という気持ちをこめて使いたい故事成語です。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
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普及版 字通
「知音」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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知音
ちいん
互いに心をよく知り合い、許し合った友達、親友のこと。のち転じて、広く知人や恋人などをもいうようになった。中国、春秋時代の琴の名手伯牙(はくが)に鐘子期という親友がおり、伯牙が高山を思いつつ琴を弾ずれば、子期の心にも高山の姿が映じ、流水を思いつつ弾ずれば、洋々たる江河が子期の心に写ったというほど、伯牙の琴の音をよく知り、聞き分けた。その子期が没すると、伯牙は「もはや琴を聞かせる人はいない」といって、琴を破り、弦を断ってふたたび琴を弾くことがなかった、と伝える『列子』「湯問篇(へん)」や『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』「本味篇」などの故事による。「断琴」「伯牙琴を破る」も同義。
[田所義行]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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