(読み)ミサオ

デジタル大辞泉 「操」の意味・読み・例文・類語

みさお〔みさを〕【操】

[名・形動]《不変の美や気高さなどをいうのが原義》
自分の意志や主義・主張を貫いて、誘惑や困難に負けないこと。節操。「信徒としての
(女性の)貞操。「の固い妻」
上品で、みやびやかなこと。また、そのさま。
「うとき人に見えば、おもてぶせにや思はむと憚り恥ぢて、―にもてつけて」〈・帚木〉
常に変わらないこと。また、そのさま。
「深き山の本意ほいは、―になむ侍るべきを」〈・東屋〉
[補説]作品名別項。→
[類語]貞操貞節貞淑禁欲的ストイック禁欲禁欲主義自粛節制プラトニックナイーブ純情純粋清楚清純純潔無垢純真無垢純真

そう【操】[漢字項目]

[音]ソウ(サウ)(呉)(漢) [訓]みさお あやつる
学習漢字]6年
手先でうまく扱う。「操業操觚そうこ操作操車操縦操船操舵
からだを動かし鍛えること。「操練体操
心構えをしっかりもつこと。みだりに変えない志。「操守志操情操節操貞操徳操
[名のり]あや・とる・みさ・もち

そう〔サウ〕【操】

みさお。節操。貞操。
「謹て―を全うし」〈織田訳・花柳春話

みさお【操】[作品名]

さくら吹雪

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精選版 日本国語大辞典 「操」の意味・読み・例文・類語

みさおみさを【操】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 世俗を超越して、人柄、行ないなどが、上品でみやびやかなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「大倭の国宇太の郡漆部の里に風流(ミサヲ)ある女有り〈興福寺本訓釈 風流 二合美佐乎〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  3. ( 形動 ) 常に変わらないこと。平常のさまであること。また、特に、志操が変わらないこと。また、そのさま。操守。
    1. [初出の実例]「深き山の本意は、みさほになむ、侍るべきを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
    2. 「なかなかに馴るるつらさに比ぶれば疎き怨みはみさほなりけり」(出典:山家集(12C後)中)
  4. 節操。特に、女性の貞操。
    1. [初出の実例]「ひたすら吾貞操(ミサホ)をうれしとおぼして」(出典:読本・雨月物語(1776)蛇性の婬)

操の補助注記

古くは「風声・風流」などさまざまな漢字を当てていたが、の意が生じてから「操」が多くなる。


あやつり【操】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「あやつる(操)」の連用形の名詞化 )
  2. 操ること。巧みに扱うこと。また、そのしかけ。からくり。
    1. [初出の実例]「はかなくひきわたす筆のあやつりまで、世にたぐひなく」(出典:とりかへばや物語(12C後)上)
    2. 「賽に操(アヤツリ)仕出し、人を抜きて金銀を取る事」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
  3. あやつりにんぎょう(操人形)」または「あやつりしばい(操芝居)」の略。
    1. [初出の実例]「棚の上の作り物のあやつり、〈略〉まことには動く物にあらず」(出典:花鏡(1424)万能綰一心事)
    2. 「妻敵討咄(はなし)の通まっすぐにいへばいはるる舌三寸の、あやつりの御評判とぞ成にける」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)下)
  4. あやつりいた(操板)」の略。

そうサウ【操】

  1. 〘 名詞 〙 みさお。貞操。節操。
    1. [初出の実例]「妾謹て操(サウ)を全ふし」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二〇)
    2. [その他の文献]〔漢書‐匡衡伝〕

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普及版 字通 「操」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] ソウ(サウ)
[字訓] とる・あやつる・みさお

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(そう)。は多くの祝の器((さい))を木の枝につけて祈る意。〔説文〕十二上に「把持するなり」という。その祝を操って、一心に祈る意であろう。〔詩、風、遵大路〕「大路に(したが)つて 子(し)の(たもと)を執(さんしつ)す」の〔正義〕に〔説文〕を引いて、を「斂(をさ)むるなり」と訓するが、今の〔説文〕にその字はなく、は操の別体の字である。魏の曹操の名を避けて、懆を慘(惨)、操をの形に改め、のち別体の字として行われるようになった。

[訓義]
1. とる、もつ、かたくもつ。
2. あやつる、つかう。
3. みさお、こころざし、節度、節操。
4. おもむき、風致、風趣。
5. 楽曲の名。

[古辞書の訓]
名義抄〕操 ミサヲ・ココロバセ・トル・ホナモツ・アヤツル・ココロザシ・アヤツリ・タスク・カムカフ/心操 ココロバセ/操行 ココロバセ 〔字鏡集〕操 ホソ・ニキモツ・アヤマツ・ミサヲナリ・カイカヘス・タヌクス・アナツル・モツ・ナル・ココロザシ・ココロバセ・アヤツル・カスカフ

[熟語]
操衣・操意・操演・操戈・操介・操業・操琴操絃・操・操行・操作・操宰・操持・操舎・操守・操舟・操習・操・操縦・操術・操尚・操心・操刃・操制・操節・操操柁・操典・操刀・操筆・操・操柄操袂操矛・操防・操剌操履・操練・操弄・操労
[下接語]
雅操・改操・奇操・儀操・曲操・琴操・賢操・高操・士操・志操・執操・殊操・情操・心操・清操・節操・体操・貞操・徳操・稟操・風操・幽操・立操・操・烈操

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「操」の意味・わかりやすい解説


あやつり

操人形芝居の略。浄瑠璃と三味線と人形の3つの要素で成り立つ。平安時代に,傀儡師 (かいらいし) と称する漂泊の芸人が操作した人形が,次第に発達して江戸時代初期に浄瑠璃や説経節と結びつき,主として京坂地方に発展した。その初期は,古浄瑠璃時代ともいうべき時期で,17世紀末から 18世期初めの竹本座や豊竹座の創設までは義太夫節への統一に向う浄瑠璃各派の勃興期であった。近世の操芝居が完成するのは,貞享1 (1684) 年大坂道頓堀西に竹本義太夫が開いた竹本座からである。近松門左衛門の作品に義太夫の語り,辰松八郎兵衛なる人形遣いの名人がそろって,18世紀前半はその全盛時代であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「操」の意味・わかりやすい解説


みさお

古く「風声、風流、気調、雅、美、麗、工」などを「みさお」と訓(よ)んだ。原義は「御青(みさお)」であり、霊妙な青さを表す語であった。そこで、つねに青さを保つ常緑樹のような不変の美を意味するようになったらしい。

 また、物事がつねに変わらないこと、心が周囲の状況に影響されないこと、固く志操を守ること、そしてより限定的に女性の貞操をさす用法が生じた。古語では、超俗の美、精神や行動の典雅をいう場合があり、考えや態度が変わらないところから、平静なようす、なにげないさまをもいった。「操つくる」とは平静を装うこと、「操をたてる」とは節操や貞操を守る意、「操を破る」とは節操を曲げ貞操をけがす意である。

[兼築信行]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「操」の解説


あやつり

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治32.1(東京・宮戸座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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