デジタル大辞泉
「操」の意味・読み・例文・類語
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あやつ・る【操】
〘他ラ五(四)〙
① 巧みに操作する。うまく取り扱う。また、言葉を巧みに使う。
※朝光集(995頃)「織るとはた思はざりけり唐錦あやつる声の音とこそ聞け」
※門(1910)〈
夏目漱石〉一四「非常に能弁な京都言葉を操
(アヤツ)る四十許の細君がゐて」
② 楽器をひく。楽器をうまく奏する。
※白氏文集天永四年点(1113)三「始めて楽懸に就きて雅音を操(アヤツル)」
※看聞御記‐応永二八年(1421)七月一五日「茶屋を立。其屋に
人形〈喝食〉、金打あやつりて金を打舞」
※中華若木詩抄(1520頃)上「此傀儡は、木を刻んで、それを糸にてあやつりて」
④ 人を上手に扱う。特に、裏面で、人を自分の思う通りに動かす。陰で糸を引く。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
みさお みさを【操】
〘名〙
① (形動)
世俗を超越して、
人柄、行ないなどが、上品でみやびやかなこと。また、そのさま。
※霊異記(810‐824)上「
大倭の国宇太の郡漆部の里に
風流(ミサヲ)ある女有り〈興福寺本訓釈 風流 二合美佐乎〉」
② (形動) 常に変わらないこと。平常のさまであること。また、特に、志操が変わらないこと。また、そのさま。操守。
※
源氏(1001‐14頃)東屋「深き山の
本意は、みさほになむ、侍るべきを」
※
山家集(12C後)中「なかなかに馴るるつらさに比ぶれば疎き怨みはみさほなりけり」
③ 節操。特に、女性の貞操。
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「ひたすら吾貞操(ミサホ)をうれしとおぼして」
[
補注]古くは「風声・風流」などさまざまな漢字を当てていたが、②や③の意が生じてから「操」が多くなる。
あやつり【操】
〘名〙 (動詞「あやつる(操)」の連用形の
名詞化)
① 操ること。巧みに扱うこと。また、そのしかけ。
からくり。
※とりかへばや(12C後)上「はかなくひきわたす筆のあやつりまで、世にたぐひなく」
※花鏡(1424)万能綰一心事「棚の上の作り物のあやつり、〈略〉まことには動く物にあらず」
※
浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)下「妻敵討咄
(はなし)の通まっすぐにいへ
ばいはるる舌三寸の、あやつりの御評判とぞ成にける」
そう サウ【操】
〘名〙 みさお。貞操。節操。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二〇「妾謹て操
(サウ)を全ふし」 〔
漢書‐匡衡伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
操
あやつり
操人形芝居の略。浄瑠璃と三味線と人形の3つの要素で成り立つ。平安時代に,傀儡師 (かいらいし) と称する漂泊の芸人が操作した人形が,次第に発達して江戸時代初期に浄瑠璃や説経節と結びつき,主として京坂地方に発展した。その初期は,古浄瑠璃時代ともいうべき時期で,17世紀末から 18世期初めの竹本座や豊竹座の創設までは義太夫節への統一に向う浄瑠璃各派の勃興期であった。近世の操芝居が完成するのは,貞享1 (1684) 年大坂道頓堀西に竹本義太夫が開いた竹本座からである。近松門左衛門の作品に義太夫の語り,辰松八郎兵衛なる人形遣いの名人がそろって,18世紀前半はその全盛時代であった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
操
みさお
古く「風声、風流、気調、雅、美、麗、工」などを「みさお」と訓(よ)んだ。原義は「御青(みさお)」であり、霊妙な青さを表す語であった。そこで、つねに青さを保つ常緑樹のような不変の美を意味するようになったらしい。
また、物事がつねに変わらないこと、心が周囲の状況に影響されないこと、固く志操を守ること、そしてより限定的に女性の貞操をさす用法が生じた。古語では、超俗の美、精神や行動の典雅をいう場合があり、考えや態度が変わらないところから、平静なようす、なにげないさまをもいった。「操つくる」とは平静を装うこと、「操をたてる」とは節操や貞操を守る意、「操を破る」とは節操を曲げ貞操をけがす意である。
[兼築信行]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
操
あやつり
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 初演
- 明治32.1(東京・宮戸座)
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報