デジタル大辞泉 「辞」の意味・読み・例文・類語
じ【辞〔辭〕】[漢字項目]
[学習漢字]4年
1 ことば。文章。「辞書・辞令/訓辞・言辞・謝辞・修辞・助辞・措辞・題辞・遁辞・美辞・名辞」
2 やめる。ことわる。「辞職・辞退・辞任・辞表/固辞」
3 別れを告げる。「辞去・辞世」
4 漢文の文体の一。「辞賦」
[名のり]こと



(らん)+辛(しん)。
は架糸の上下に手を加えている形で、糸の乱れているさまを示し、亂(乱)の初文。亂はその乱れている糸を乙(いつ)(骨べらの形)で解きほぐしてゆくのであるから、「亂(をさ)む」とよむべき字である。辭はその乱れている糸を辛(はり)で解きほぐしてゆくのであるから、亂と同じく治める意で、辞説の意に用いる。それは獄訟のとき、その嫌疑を解き明かすこと、その弁解の辞をいう。〔説文〕十四下に「
くなり。
・辛に從ふ。辛を
(をさ)むるは、
ほ辜(つみ)を理(をさ)むるがごときなり」(段注本)とする。辛を辜(こ)にして罪辜の意とし、
を「
(をさ)む」とよんで、その会意の字とするが、亂が骨べらで乱れた糸を解くのと同じく、辭は辛でその乱れを解く意である。〔説文〕に重文として
(し)の字を録するが、
は司の繁文。司は祝詞によって神を祠(まつ)る意の字。辭は神判のとき、その嫌疑を解く辞をいう。神に対して弁明を試みる意であるから、
と声義が近い。〔楚辞〕の辞は、神に訴え申す歌辞をいう。
イナブ・コトバ・マウス 〔字鏡集〕
ワカル・マウシス・イナフ・ノガル・ケガス・トドム・マウス・マカリ・サル・コトバ・コトニ・シス
は同声。神に対して嫌疑を解くことを辭といい、神に対して祈る歌詩を詞・辭といい、祀ることを祀・祠という。金文の
は司si
の初文で、神意を伺うことをいう。
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辞・造辞・
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辞・拝辞・卑辞・
辞・費辞・美辞・微辞・繆辞・浮辞・
辞・文辞・弁辞・褒辞・卜辞・曼辞・約辞・腴辞・有辞・遊辞・用辞・俚辞・両辞・令辞・礼辞・麗辞・弄辞出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
日本語の文法で、単語を文法上の性質により2大別した場合の一類。他の一類を詞(し)という。立場によってその内容は異なり、橋本進吉によれば、つねに他の一類である詞に伴って文節を構成するもので、これを付属辞または辞、助辞と称する。これに属するのは助詞と助動詞である。時枝誠記(もとき)は、概念化の過程を経ず、言語主体の立場のみを直接的に表現する語類を辞とする。この立場での辞に属するのは助詞、助動詞、感動詞、接続詞、陳述副詞である。ただし、一般に助動詞とされる「れる・られる・せる・させる・たい」(文語では「る・らる・す・さす・しむ・まほし・ごとし」)などは、客体的な事柄を述べるので、辞とは認めず、詞のなかの接尾語とする。
[青木伶子]
『橋本進吉著『国語法研究』(1948・岩波書店)』▽『橋本進吉著『助詞・助動詞の研究』(1969・岩波書店)』▽『時枝誠記著『国語学原論』(1941・岩波書店)』▽『時枝誠記著『日本文法 口語篇』(1950・岩波全書)』▽『渡辺実著『国語構文論』(1971・塙書房)』
中国古典文学の文体の一つ。代表的なものは「楚国(そこく)の辞(うた)」すなわち「楚辞(そじ)」である。戦国時代の末、楚の国に宰相詩人屈原(くつげん)とその一派が出て、新形式の詩をつくり始めたが、それは楚(揚子江(ようすこう)の南方)地方の民謡を起源にするという。同じ古代歌謡である『詩経(しきょう)』が北方民族的であり、音楽にあわせて歌われたのに対し、『楚辞』は南方民族的であり、空想と憂愁のかげ深い韻文を主とする。たとえば「離騒(りそう)」は「騒(うれえ)に離(あ)う」の意で、屈原が流謫(るたく)されて山野を漂泊し、憂悶(ゆうもん)のすえ投身自殺のやむなきに至った経過を歌う優れた叙情詩である。このほか、漢代の武帝の「秋風辞(しゅうふうのじ)」、六朝(りくちょう)時代の陶淵明(とうえんめい)「帰去来辞(ききょらいのじ)」などが知られる。
[杉森正弥]
…この3分類は,十分に文法機能のうえから考察した結果ではなかろうが,17世紀初めのJ.ロドリゲスの《日本小文典》は,日本人が全品詞を〈名,ことば,てには〉の3語に包括していると述べている。〈てには〉は助辞,〈ことば〉は動詞(現在の用言。形容詞,形容動詞を含む),〈名〉はその他のいっさいである。…
※「辞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
[名](スル)二つ以上のものが並び立つこと。「立候補者が―する」「―政権」[類語]両立・併存・同居・共存・並立・鼎立ていりつ...