(読み)フクロ

デジタル大辞泉 「袋」の意味・読み・例文・類語

ふくろ【袋/×嚢】

布・紙・革・ビニールなどで、中に物を入れて口を閉じるように作ったもの。「―に詰める」「給料―」
ミカン・ホオズキなどの果肉を包む薄い皮。「ミカンを―ごと食べる」
体内にある、物を入れるような形の器官。「胃―」「子―」
あいている方向が一つしかないもの。行き止まりの場所。「―地」
抜裏と間違えて―の口へ這入り込んだ結果」〈漱石・彼岸過迄〉
水に囲まれた土地
おでん種の一。開いた油揚げの中に野菜やしらたき・豚肉を入れ、かんぴょうでしばったもの。
巾着きんちゃく。また、所持金
「―をかたぶけて酒飯のまうけをす」〈読・雨月菊花の約〉
[下接語](ぶくろ)胃袋慰問袋浮き袋歌袋腕袋大入り袋大津袋合切がっさい紙袋革袋堪忍袋救助袋氷袋乞食こじきし袋子袋小袋米袋さか散財袋地袋祝儀袋状袋信玄袋頭陀ずだ砂袋墨袋段袋知恵袋茶袋つか手袋天袋戸袋南京ナンキンにおい袋ぬか寝袋熨斗のし火袋封じ袋福袋不祝儀袋ふみほお蛍袋ぽち袋ポリ袋守り袋水袋耳袋
[類語]合切袋信玄袋頭陀袋

たい【袋】[漢字項目]

常用漢字] [音]タイ(漢) [訓]ふくろ
タイ〉ふくろ。「魚袋風袋郵袋
〈ふくろ(ぶくろ)〉「胃袋紙袋手袋戸袋寝袋
難読足袋たび布袋ほてい

たい【袋】

[接尾]助数詞ふくろに入れたものを数えるのに用いる。「茶二〇

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「袋」の意味・読み・例文・類語

ふくろ【袋・嚢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 布・皮・紙などで、中に物を入れて、口を閉じるようにつくったもの。
    1. [初出の実例]「大穴牟遅神に帒を負せ、従者と為て率て往きき」(出典:古事記(712)上)
  3. 特に、金をいれる巾着(きんちゃく)をいう。転じて、所持金。
    1. [初出の実例]「嶋田の者は、〈略〉旅人のふくろをむさぼる故に、大水を喜ぶ」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三)
  4. みかんやほおずきなどの外皮の中にある果肉を包む薄い皮。
    1. [初出の実例]「鬼灯(ほうずき)や袋に色のあらはるる〈嘯山〉」(出典:俳諧・俳諧新選(1773)三)
  5. 形がに似た身体の器官。
    1. (イ) 胃袋、小袋(睾丸)、ゆばりぶくろ(膀胱)など。
    2. (ロ) 子宮、または胞衣(えな)。〔観智院本名義抄(1241)〕
  6. ( (ロ)から ) 母親。おふくろ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  7. 行きどまりの場所。「袋小路」
    1. [初出の実例]「抜裏と間違へて袋の口へ這入り込んだ結果」(出典:彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉停留所)
  8. 水に囲まれた土地。また、川と川とが落ち合った所。
  9. 紋所の名。を図案化したもの。袋、三つ袋などがある。
    1. 袋@三つ袋
      袋@三つ袋

たい【袋】

  1. 〘 接尾語 〙 茶、薬など、ふくろに入れたものを数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「宇治辺に知音を持た者なれば、〈略〉極(ごく)を三袋(たい)貰ふた内、壱袋挽せて」(出典:虎寛本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「袋」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(異体字)
8画

[字音] タイ
[字訓] ふくろ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は代(たい)。〔説文新附〕七下を録して「(ふくろ)なり」とあり、〔説文〕七下に「(とう)はなり」とあるのと同訓。・袋はもと同じ語であろう。(たく)(ふくろ)は古くは東(とう)の形で、東がその象形字であった。袋は〔隋書、食貨志〕に「乾(けんきやう)をむるに、布袋を以て之れを貯ふ」とあり、隋・唐以後に用いられる字である。

[訓義]
1. ふくろ、ふくろに入れる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 己志不久呂(こしふくろ) 〔名義抄〕 フクロ 〔字鏡〕袋 ツツム・イル・フクロ

[下接語]
鞋袋・魚袋・夾袋・琴袋・剣袋・甲袋・香袋・沙袋・飯袋・皮袋・布袋・風袋・麻袋・郵袋

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本歴史地名大系 「袋」の解説


ふくろ

[現在地名]鶯沢町 袋

町域東部にある近世鶯沢村の端郷。「鶯沢村安永風土記」によると肝入が置かれ、当郷風土記も別に書上げたと記すが未発見。応永二五年(一四一八)九月四日の鶯沢諸郷先達職預ケ状(白鶯山文書)によれば、「鳥屋のみこ」に預けていた「ふくろ」など五ヵ所の先達職の成敗権が木仏に与えられている。「伊達正統世次考」天文一二年(一五四三)五月二日条に伊達氏一五代晴宗が家臣大原氏に対し、「後衝の為に袋に軍し、以て進撃を為せ」と命じており、伊達氏天文の乱の一戦場であったと思われる。慶長五年(一六〇〇)の漆請取日記(伊達家文書)によれば、葛西かさい(中世葛西氏の領した登米郡・桃生郡などの汎称)のうち「ふくろ中、ものを中、おしか中」などの漆一〇杯かさ一つを「いいふち馬助殿」に納めているが、ふくろが当地かどうかは未詳。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【朝服】より

…大宝律令は亡逸して伝わらず,養老律令(757)を通じてその内容をうかがわざるを得ないが,養老衣服令によれば,朝服は皇太子以下,諸王,有位の諸臣,文武官男女それぞれについて規定され,衣服の色や,頭巾,腰帯,(しやく)の材質などによって,位階や職種を表示するよう定められた。なかでも諸臣の朝服は,袋(たい)に施した緒の色と,緒の結び目の数で正・従位の別,また上・下位の別が表示される仕組みになっており,一瞥(いちべつ)しただけで着用者の位階が正確に識別できるようになっていた。男子の朝服は,位袍に白袴を組み合わせ,幞頭(ぼくとう)をかぶり,笏を持つが(図),この系統の衣服は中国では,北方騎馬民族の〈胡服〉の系統に属する衣服で,漢民族固有の〈衣裳〉の制とは系統が異なり,儒教的な礼の秩序と乖離(かいり)するものと考えられていた。…

※「袋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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