日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シュトラウス(David Friedrich Strauß)
しゅとらうす
David Friedrich Strauß
(1808―1874)
ドイツのヘーゲル左派神学者。1月27日ドイツ南部のルートウィヒスブルクに生まれる。チュービンゲン神学寮の補習講師のとき『イエスの生涯』Das Leben Jesu 2巻(1835、1836)を書いて、その革命的神学批判が賛否両論を巻き起こし、一躍有名になるとともに、教職と宗教界から一生涯追放されるはめになった。この書物で、現存の福音書(ふくいんしょ)はおもに神話よりなり、そこから史的イエスは認識できないが、信仰の真理は聖書の歴史に基づかず、神人の理念に基づくので、聖書批判はキリスト教の真理を廃棄しない、と主張した。あらゆる復職の希望が絶たれたのち、キリスト教はすっかり清算したが、宗教そのものを否定するまでに至らず、ニーチェからも「教養あるペリシテ人」と嘲笑(ちょうしょう)された。
[森田雄三郎 2015年2月17日]
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