どろん(読み)ドロン

デジタル大辞泉 「どろん」の意味・読み・例文・類語

どろん[副]

[副]空気や液体などが重くよどんでいるさま。「どろんとよどんだ沼」「どろんと濁った目」
[類語]陰る曇る霞む掻き曇るぼやける暈ける掠れるぼんやり朦朧ぼうっと不透明見えにくいほのかかすかほんのりうっすらおぼろげうすうす淡いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い木暗い小暗がり真っ暗暗然冥冥ぼやっと不鮮明もやもやほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

どろん[名]

[名](スル)
急に姿を隠すこと。「借金を残してどろんする」
歌舞伎で、幽霊が出るときや消えるときに連打する大太鼓。どろどろ。
[類語]出奔駆け落ち逐電家出高飛び夜逃げ都落ち食い逃げ乗り逃げ

ドロン(Alain Delon)

[1935~2024]フランス映画俳優。「太陽がいっぱい」に主演して人気を博すと、イタリアや米国の映画にも出演するなど国際的に活躍した。主演作「山猫」「サムライ」など。

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精選版 日本国語大辞典 「どろん」の意味・読み・例文・類語

どろん

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. どろどろ[ 二 ]
      1. [初出の実例]「よき所にて、どろんになり」(出典:歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)三立)
    2. ( ━する ) 姿を隠すこと。逃げて姿をくらますこと。
      1. [初出の実例]「そんならおれは新家(しんけ)へいてどろんで居やんしょ」(出典:浄瑠璃・契情小倉の色紙(1840)今宮)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる )
    1. [ 一 ]の囃子で打つ太鼓の音を表わす語。
      1. [初出の実例]「此時ドロンと音して、惟喬が持(もっ)たる鏡へ、筋隈の顔写る」(出典:歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)三立)
    2. 姿をくらますさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「何つの間にかドロンと消え失せたる」(出典:朝野新聞‐明治一六年(1883)八月一日)

どろん

  1. 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる ) 「とろん」より重く濁った感じで用いる。
  2. とろん
    1. [初出の実例]「星許り取り残されて夫すらも判然とは映らぬ瞬くも嬾き空の中にどろんと溶けて行かうとする」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉七)
  3. とろん
    1. [初出の実例]「どろんとした眼を上げて」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉六)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「どろん」の意味・わかりやすい解説

ドロン
Delon, Alain

[生]1935.11.8. オードセーヌ,ソー
[没]2024.8.18. ドゥシー
アラン・ドロン。フランスの俳優。フルネーム Alain Fabien Maurice Marcel Delon。きわだつ美貌で注目を集め,1960~70年代のフランス映画界を代表する男優となった。
食肉加工店で見習いをしたのち,フランス海軍に入隊して第1次インドシナ戦争(1946~54)に従軍。1957年カンヌ国際映画祭でアメリカ合衆国の映画制作者デービッド・O.セルズニックから声をかけられたが,ハリウッドの映画会社との契約は断り,ヨーロッパの監督のもとで修業を積む道を選ぶ。初主演作品は『恋ひとすじに』Christine(1958)。その後,『太陽がいっぱい』Plein soleil(1960,ルネ・クレマン監督),『若者のすべて』Rocco e i suoi fratelli(1960),『地下室のメロディー』Mélodie en sous-sol(1963),『山猫』Il gattopardo(1963)などに出演し,国際的な注目を浴びる。また,『サムライ』Le Samouraï(1967)や『シシリアン』Le Clan des Siciliens(1969),『ボルサリーノ』Borsalino(1970)など,実生活で噂されていた裏社会とのかかわりを連想させるギャング映画でも知られた。英語作品では,『黄色いロールス・ロイス』The Yellow Rolls-Royce(1964),『テキサス』Texas Across the River(1966),『レッド・サン』Red Sun(1971)など多彩な作品に出演した。以降,『パリの灯は遠く』Monsieur Klein(1976),『真夜中のミラージュ』Notre histoire(1984),『ヌーヴェルヴァーグ』Nouvelle vague(1990),『ハーフ・ア・チャンス』1 chance sur 2(1998)などに出演した。1980年代以降,映画出演は減ったが,テレビドラマシリーズ『アラン・ドロンの刑事物語』Fabio Montale(2002)と『アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ』Frank Riva(2003~04)で健在ぶりを示した。映画『アステリックスと仲間たち オリンピック大奮闘』Astérix aux Jeux olympiques(2008)ではジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)を演じ,その後の 10年間も俳優業を続けた。2005年レジオン・ドヌール勲章オフィシエ受章。2019年カンヌ国際映画祭名誉パルムドール受賞。

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百科事典マイペディア 「どろん」の意味・わかりやすい解説

ドロン

フランスの俳優。パリ郊外生れ。インドシナ戦線従軍後,放浪生活をへて,《女がからむ時》(1957年)でデビュー。R.クレマン監督の《太陽がいっぱい》(1960年)とL.ビスコンティ監督の《若者のすべて》(1960年)に主演してスターの地位を確立。翳のある二枚目で,1970年代にかけて特に女性ファンを魅了した。他の作品にH.ベルヌイユ監督《地下室のメロディ》(1963年),ビスコンティ監督《山猫》(1963年),R.アンリコ監督《冒険者たち》(1967年),J.ロージー監督《暗殺者のメロディ》(1972年),J.P.メルビル監督《リスボン特急》(1972年),V.シュレンドルフ監督《スワンの恋》(1983年),J.L.ゴダール監督《ヌーベル・バーグ》(1990年)などがある。
→関連項目シュナイダーブロンソンベルモンド

ドロン

中国,内モンゴル自治区シリンゴール(錫林郭勒)盟南部の県。漢字では多倫。ドロン・ノールDolonnor(多倫諾爾)ともいう。上都河をはさんで,左岸に漢族,右岸にモンゴル族が住む。元の上都開平府の古址がある。付近一帯の農畜産物の集散地。彙宗(いそう)・善因の2ラマ教(チベット仏教)寺院は規模広壮で,解放前は毎年6月13日前後の廟会(縁日)に遠近の商人が集まり,馬市が盛んであった。11万人(2014)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「どろん」の意味・わかりやすい解説

ドロン(Alain Delon)
どろん
Alain Delon
(1935―2024)

フランスの映画俳優。パリ南郊のソー生まれ。17歳で志願して軍隊に入りインドシナ戦線に従軍、除隊後世界各地を放浪のすえ、1957年フランス映画界にデビュー。日本では『お嬢さんお手やわらかに!』(1958)で一躍人気をあげ、『太陽がいっぱい』(1959)でその人気を決定的なものとした。クレマン、アントニオーニ、ビスコンティと名監督の諸作に主演し作品的にも恵まれ、長い人気を保ち続ける。代表作に『若者のすべて』(1960)、『地下室のメロディー』(1962)、『冒険者たち』(1966)、『さらば友よ』(1968)などがあり、1980年からはプロデューサーや監督を兼ねることが多くなり、1990年代からは実業家としての知名度も高かった。1970年代以降のおもな作品に『スコルピオ』(1973)、『ル・ジタン』(1975)、『友よ静かに死ね』(1976)、『危険なささやき』(1981)、『スワンの恋』(1983)、『カサノヴァ最後の恋』(1992)などがある。

[畑 暉男]

『アンリ・ロード著、秦野充訳『アラン・ドロン 華麗なる野望』(1975・勁文社)』『『アラン・ドロンカタログ』(1977・講談社)』『宇野亜喜良・南俊子編『アラン・ドロン 孤独と背徳のバラード』(1981・芳賀書店)』『南俊子編『アラン・ドロン 凄艶のかげり、男の魅力』(1987・芳賀書店)』『草鹿宏著『恋と野望の魔術師 アラン・ドロン物語』(集英社文庫)』


ドロン(中国)
どろん / 多倫

中国、内モンゴル自治区中南部、シリンゴル盟(二級行政区)南部の県。別称トールン。閃電河(せんでんが)に沿い河北(かほく)省に接する。人口10万9794(2015)。清(しん)代にドロンノール庁が置かれ、1913年ドロン県と改められた。シリンゴル盟の経済的中心地の一つで、小麦、青稞(チンコー)(ハダカエンバク)、ジャガイモ、ゴマなどを産し、牧畜も盛んである。自動車道が東は囲場(いじょう)、西は張家口(ちょうかこう)に通じ、藍多線(正藍旗(せいらんき)―ドロン)、多豊線(ドロン―豊寧(ほうねい))が通る。匯宗(かいそう)寺、善因寺などの史跡がある。

[河野通博・編集部 2017年12月12日]

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世界大百科事典(旧版)内のどろんの言及

【ドロン・ノール】より

…北京の北方約250kmに位置する。ドロン(多倫)ともいう。清代,宮廷の勅願寺である善因寺,彙宗寺の二つのラマ廟を中心に門前町として発展,廟の法会の期間には漢族商人たちも集まり,モンゴル族との交易要地となった。…

※「どろん」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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