(読み)サシ

デジタル大辞泉 「差」の意味・読み・例文・類語

さし【差(し)/指(し)】

[名]
(「尺」とも書く)ものさし。「―を当てる」
二人で向かい合ってすること。さしむかい。「―で飲む」「―で話す」
二人で荷物を担ぐこと。さしにない。
差し合い1」に同じ。
「五郎兵衛さん、お百さんは―で居なさりやせん」〈洒・辰巳之園
(ふつう「サシ」と書く)謡曲で、拍子に合わせず、少し節をつけてうたう部分。さしごえ。
(ふつう「サシ」と書く)舞楽・能などの舞の型で、手をさし出すように前方へ水平にあげること。
[接頭]動詞に付いて、語調を整えたり意味を強めたりする。「―出す」「―戻す」「―替える」
[接尾]助数詞
舞の曲数を数えるのに用いる。「一―舞う」
相撲などの番数を数えるのに用いる。
「勝負これによるべきにあらず。ひと―つかうまつるべし」〈著聞集・一〇〉
[類語](1物差し曲尺かねじゃく矩差かねざし差し金鯨尺鯨差し巻き尺メジャー/(2相対差し向かい真向かい

さ【差】[漢字項目]

[音](漢) シ(呉)(漢) [訓]さす
学習漢字]4年
〈サ〉
状態・質・数量などの違い。「差異差額差別格差僅差誤差時差大差落差千差万別
人をつかわす。「差遣差配
〈シ〉不ぞろいなさま。「参差しんし
〈さし(ざし)〉「差引札差ふださし脇差わきざし
[名のり]しな・すけ

さ【差】

物事と物事の間の性質・状態・程度などの違い。へだたり。「大きなをつける」「大したはない」「世代間のを感じる」
ある数や式から他の数や式を引いて得られた結果の数や式。「一点で敗れる」⇔
[類語]較差格差落差雲泥の差

し【差】[漢字項目]

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精選版 日本国語大辞典 「差」の意味・読み・例文・類語

さ【差】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物と物との間の性質や状態などのへだたり。ちがい。
    1. [初出の実例]「其有様を論ずるときは、貧富強弱智愚の差あること甚しく」(出典:学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉二)
    2. [その他の文献]〔礼記‐王制〕
  3. ある数値から他の数値を減じた値。さしひき。〔工学字彙(1886)〕
  4. さしゅうごう(差集合)

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普及版 字通 「差」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] サ・シ
[字訓] すすめる・えらぶ・たがう

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は左(さ)。金文の字形は禾(か)と左、また禾と右に従う二形に作り、禾(黍稷(しょしょく))を神に差(すす)めて祭る意。左は亦声とみてよい。羊牲を薦めることを羞(しゅう)といい、差ものち羊に従う字形を用いるが、もとは黍稷を差(すす)める字であった。金文には佐の義に用いる。神に差めるものであるから「えらぶ」意となり、また黍稷の類は長短のあるものであるから、参差(しんし)の意となる。〔説文〕五上に「貳(たが)ふなり。差(たが)ひて相ひ値(あ)はざるなり」とするが、差貳の意は最も後起の義である。

[訓義]
1. すすめる、神に黍稷をすすめる、つかわす、つかう。
2. えらぶ、しなをわかつ、次第する。
3. たがう、あやまつ、ちがう、くいちがう、まじわる、よこしま。
4. のこり、さしひき、あまり。
5. と通じ、いえる。
6. やや、いくらか、次第に。
7. 国語で、さす、すすめる、かぞえる。

[古辞書の訓]
名義抄〕差 ナカバ・サス・イユ・エラブ・タガフ・シナ・マサレラク・サシテ・アテテ・カタチガヒ・シサイ・シナジナ/參差 カタチガヒ 〔字鏡集〕差 ナカバ・イユ・マコト・シナジナ・シナ・マザル・ヤヤ・タガフ・カタチガヒ・マサレラク・エラブ・イヨイヨ・コトナリ・アヤマツ・タカ・アテテ・サダカ・シナ

[声系]
〔説文〕に差声として瑳・槎・・嵯など十五字、〔新附〕に蹉などを収める。差の声義をとるものが多い。

[熟語]
差委・差異・差違・差役・差越・差押・差訛・差・差回・差官・差観・差銀・差遣・差肩・差雇・差誤・差互・差・差殺・差催・差錯・差使・差次・差事・差失・差殊・差竣・差序・差承・差人・差数・差舛・差選・差息・差度・差択・差遅・差跌・差等・差・差貸・差任・差派・差配・差撥・差繆・差・差品・差別・差捕・差務・差沐・差・差落・差吏・差率・差量・差戻・差路・差論・差差・差池
[下接語]
過差・乖差・格差・官差・級差・欽差・差・肩差・誤差・公差・交差・降差・較差・視差・時差・収差・小差・参差・千差・選差・大差・段差・等差・倍差・偏差・落差

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差」の意味・わかりやすい解説



difference

2つの量の間の違い。引き算の答。歴史的には |xy| として,「大きいほうから小さいほうを引く」形で使って,xy などと書いたこともあったが,負数概念の確立以後は,xy大小にかかわりなく,xy の意味に使うことが多い。この場合,y という状態から x という状態に達するまでの変化を表わして,たとえば時間と時刻の2時 + 3時間 = 5時,3時間 = 5時 - 2時という使い方のように,状態が位置を表わし,変化がベクトルを表わす場合が多い。もっと一般的にはアフィン空間AbCbAC のように,AC が点,b がベクトルになる。また,2つの集合 (または量) を比較する場合もあるが,この場合も「人が5人といすが3脚で人が余るかいすが余るか」といったように,異質な集合間の差で,そのままでは5人 - 3脚とか3脚 - 5人とか表わしにくい。いずれにしても,差の問題を考える場合には,負の量の問題が本質的にかかわってくる。

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