(読み)カン

デジタル大辞泉 「観」の意味・読み・例文・類語

かん【観〔觀〕】[漢字項目]

[音]カン(クヮン)(呉)(漢) [訓]みる みせる
学習漢字]4年
対象を眺めて見る。見渡す。見物する。「観客観劇観光観梅観覧参観拝観傍観
物事を念入りに見る。「観察観測
物事を見て、意味や本質をとらえる。考える。「観照観念客観主観達観直観諦観ていかん悲観
人に示す。見せる。「観兵式展観
目に見える様子・眺め。「偉観外観奇観景観盛観壮観美観
物の見方・考え方。「史観厭世観人生観先入観
物見台。「楼観
道教の寺。「寺観道観
[名のり]あき・しめす・まろ・み

かん〔クワン〕【観】

外から見たようすや感じ。外見。「別人のがある」
仏語。真理を観じること。物事を細心に分別して観察し、道理を悟ること。
[類語]印象感じ心象感銘直感感触心証イメージインプレッション第一印象

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「観」の意味・読み・例文・類語

かんクヮン【観】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 外から見えること。また、見えたもの。外見。または、見えた時の感じ。様子。状態。ありさま。おもむき。
    1. [初出の実例]「従来外国人の移住を禁し、其他自由交易に障礙を与へたる苛禁を蠲除してより、頓に其観を改めたりと云」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉四)
  3. ( 見る所であるところから ) たかどの。ものみ。楼台。
    1. [初出の実例]「観 釈名云観〈音貫 嵯峨有栖霞観〉於上観望也」(出典:十巻本和名抄(934頃)三)
  4. 道士なかまのいる建物。道宮。
    1. [初出の実例]「道教に観(クヮン)があるのは、仏教に寺があるのと同じ事で」(出典:魚玄機(1915)〈森鴎外〉)
  5. 仏語。物事を細心に分別し、観察すること。また、心中で深くみきわめて、ものの本質を悟ること。
    1. [初出の実例]「観無量寿経の十六の観思ひ出でられてよそへられ給」(出典:栄花物語(1028‐92頃)玉のうてな)
  6. 易の六十四卦の一つ。
    1. [初出の実例]「二分四揲、観の否に之くに遇ふ」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)初)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「観」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 18画

(旧字)
25画

[字音] カン(クヮン)
[字訓] みる・しめす

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
旧字はに作り、(かん)声。〔説文〕八下に「諦するなり」とあって、審らかに視る意とする。卜辞に「」という語があり、農耕儀礼に関する字であろう。は毛角のある鳥の象。これによって鳥占(とりうら)を行う意であるらしく、とはこの鳥占によって神意を察することであろう。

[訓義]
1. みる、つまびらかにみる、みきわめる。
2. しめす、あらわす、あきらかにする。
3. ながめ、みもの、ようす、けしき、ありさま、あそび。
4. 観望のための高い建物、うてな、たかどの、宮観、寺観。
5. 京観(けいかん)、屍骨を塗りこんだ門状の建物、おそらく宮観の原型をなすアーチ状の門。戦勝の記念として建てた。京字条参照。
6. と通じ、こうのとり

[古辞書の訓]
名義抄 ミル・ノゾム・サトル・オヨブ・ヨソフ・アフグ・ワタル・オホカリ・オホカシ・ウカフ・オホウス・シメス・ミモノ 〔字鏡集〕 ヨソフ・ミル・アキラカニミル・ウカガフ・サトル・シメス・アフグ・ミモノ・カタチツクリス・オホカリ・ワタル・オヨブ・ヲホウス

[語系]
(観)kuan、看khan、瞰・khamはみな声義が近い。は鳥占によって、門で鬯酒(ちようしゆ)を酌んで神意をうかがう意象の字とみられる。

[熟語]
観宇・観花・観閣・観感・観玩観戯・観魏・観・観劇観闕・観月・観古観顧・観好・観幸・観国・観察・観止・観試・観示・観視・観者・観取・観書・観賞・観象・観笑・観照・観心・観省・観戦観瞻・観測・観台・観潮・観聴・観鼎・観灯観濤・観伯・観風・観兵・観望・観摩・観楽・観覧・観歴
[下接語]
異観・偉観・永観・遠観・往観・遐観・外観・概観・監観・奇観・観・客観・旧観・宮観・極観・京観・景観・甲観・高観・坐観・参観・止観・寺観・主観・殊観・縦観・盛観・静観・仙観・瞻観・壮観・層観・大観・台観・第観・達観・直観・通観・亭観・諦観・騁観・展観・東観・道観・拝観・飛観・悲観・美観・俯観・並観・泛観・傍観・門観・遊観・容観・来観・楽観・覧観・流観・臨観・歴観・列観・楼観

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【寺院建築】より

…このように,インドシナにおいてはクメール建築のおよぼした影響は大きい。【伊東 照司】
【中国】
 中国の宗教建築には,国家自身が挙行する祭祀儀礼のための壇や,政治教理に直接かかわりをもった儒教の廟を別として,仏教の寺,道教の道観,イスラムの寺院(モスク),および各種の民間信仰の祠廟などさまざまなものがある。また,実例はすでに失われたが,歴史上には景教(キリスト教ネストリウス派),マニ教,祆教(けんきよう)(ゾロアスター教)などの寺院が建てられた時期もあった。…

【道観】より

…中国で,道教の道士が居住して修行し,祭儀を行うところ。治,館,観,庵,宮,廟などともいう。その起源は後漢末に成立した五斗米道(天師道)教団の置いた24治にあるといわれる。…

【楼閣】より

…たかどの。古代中国では本来,楼は2階建て以上の建物を指し,閣は四方を観望する見晴しの高層建物をいうが,また見晴し用の高い壇を指す台,台の上に亭(あずまや)を築いた榭(しや),あるいは見晴し用建築の観などと合わせて楼閣,楼台,楼榭,楼観などと連用してこの種の高層建物の類を総称する。木造の楼閣建築はおそくとも漢代には出現したが,現存する遺構では独楽寺観音閣(天津市薊(けい)県,遼の984年建立)が最古である。…

【石闕】より

…闕の名はその間が欠けて道路になることから,よんだとする説が有力である。闕は一種の見張台で,観ともよばれた。実物の遺構はのこらないが,漢代の画像塼(せん)や敦煌の北朝壁画の城郭図からすると,塼ないしは木造の高い土台を築き,その上に斗栱(ときよう)の組物をもつ部屋を建て,屋根を瓦で葺いた状況がうかがわれる。…

※「観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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