デジタル大辞泉
「頑」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かた‐くな【頑】
〘形動〙
① すなおでなく、心がねじけているさま。まちがった考えを固執しているさま。また、心がひねくれていて、うちとけないさま。偏屈。片
意地。
※続日本紀‐天平宝字元年(757)七月二日・宣命「此の事は
天下の難事にあれば、狂
(たぶ)れ迷へる頑
奈留(かたくなナル)奴の心をば、慈
(めぐ)び悟し正し賜ふべきものなり」
※
源氏(1001‐14頃)
桐壺「いとど人わろう、かたくなになり侍るも、前の世ゆかしうなん」
② なかなか考えを変えないさま。いちずに思い込むさま。頑固。
一徹。
※
謡曲・丹後物狂(1430頃)「総じて親の子を思ふほど頑
(かたく)ななるものは候はじ」
③ 愚かで物わかりの悪いさま。理解がにぶく、悟りが遅いさま。
※催馬楽(7C後‐8C)夏引「『夏引の 白糸 七量(ななはかり)あり さ衣(ごろも)に 織りても着せむ 汝(まし)妻(め)離れよ』『可多久名爾(カタクなニ) もの言ふ女(をみな)かな』」
※源氏(1001‐14頃)
帚木「あやまちして、見む人のかたくななる名をも立てつべきものなり」
④
教養がなく、見苦しいさま。
情趣に欠け、ぶこつであるさま。不体裁なさま。無風流なさま。
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「我をかたくななる
田舎人と思ひて」
⑤
手足などが欠けているさま。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
かたくな‐し【頑】
〘形シク〙
① すなおでなく、ひねくれている。不適当な考えにいつまでも固執している。強情である。意地っぱりである。
※源氏(1001‐14頃)
明石「ひが事どもに書きなしたれば、いとどをこに、かたくなしき入道の心ばへも、あらはれぬべかめり」
②
物事を理解してそれに応ずることができない。融通がきかない。おろかである。物わかりが悪い。気がきかない。
※聖護蔵本願経四分律平安初期点(810頃)「痴(カタクナしク)なれる和上、上坐に為りたまふ」
③ 教養がなく見苦しい。情趣がなくぶこつである。いやしい。不体裁である。
※枕(10C終)六三「
あかつきに帰らん人は、〈略〉いみじくしどけなく、かたくなしく、直衣、
狩衣などゆがめたりとも、誰か見知りてわらひそしりもせん」
[
補注]「仮・身の鏡‐中」の、「しらで背きたる者をも、科
(とが)におこなはんとする事こそ痴
(カタクナ)けれ」同書巻下の、「うらやみまはる事こそ痴
(カタク)なけれ」のような、ク活用の例も見られる。
かたくなし‐げ
〘形動〙
かたくなし‐さ
〘名〙
がん グヮン【頑】
〘形動ナリ・タリ〙 容易に他を寄せつけないようなさま。また、
自説を主張したり、意地を張ったりして
他人の考えを受け入れないさま。多く「頑として」の形で用いられる。
※慶応再版英和対訳辞書(1867)「Perverse 違ウタル。頑
ナル」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報