案ずる(読み)アンズル

デジタル大辞泉 「案ずる」の意味・読み・例文・類語

あん・ずる【案ずる】

[動サ変][文]あん・ず[サ変]
考えをめぐらす。考え出す。いろいろ工夫する。「一計を―・ずる」
心配する。思い煩う。気遣う。「―・ずるには及ばない」「将来を―・ずる」
はっきりしない点を明らかにする。
「西洋諸国の史類を―・ずるに」〈福沢学問のすゝめ
[補説]江戸後期から上一段にも活用するようになった。→案じる
[類語]心配憂える気にする気にかける気を気に病む胸を痛めるおっかなびっくりはらはらひやひやどきどきおどおどあぶなあぶな恐る恐るこわごわおじおじおずおずびくびく恐れるこわがるおくするおびえるびくつくおじるおじける恐怖する恐れをなす不安考え事思案物思い心配気疲れ気苦労心痛心労懸念恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観危惧きぐ危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしいおぼつかない頼り無いおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎気が気でないそぞろ足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も盾もたまらない居たたまれない生きた心地もしない気になる気に病む悪びれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「案ずる」の意味・読み・例文・類語

あん‐・ずる【案】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]あん・ず 〘 他動詞 サ行変 〙
  2. あれこれと考えをめぐらす。心中いろいろと考える。「一計を案ずる」
    1. [初出の実例]「これを、この頃安ずるに」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 物事の成り行きなどをあれこれと心配する。
    1. [初出の実例]「そらおそろしくあんせられて」(出典:中務内侍(1292頃か)弘安七年七月五日)
    2. 「宿の首尾のみあんずれば、我が黒髪も白髪となる」(出典:歌謡・松の葉(1703)四・几帳)
  4. はっきりしない点を問いただす。調べる。

案ずるの語誌

( 1 )当初は、ある不確定な情報の実態を明確にするために、さまざまな分析・総合する思索の働きを表現し、学問行政など社会の公的な文脈にのみ現われる語であった。
( 2 )鎌倉時代以降、不可解な実態に直面した際に、対処できずに思い悩む心の動きを表わす表現として一般化した。
( 3 )江戸時代以降「案じる」と上一段活用に移り、将来の心配などのマイナスの心的状況を表現する形式に固定された。

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