デジタル大辞泉
「辞」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
じ‐・する【辞】
[1] 〘自サ変〙 じ・す 〘自サ変〙
① ことばをかける。挨拶
(あいさつ)する。
会釈(えしゃく)する。
※春曙抄本枕(10C終)六「今しづかに御局(みつぼね)にさぶらはむと、じしていぬれば」
② 退出する。引き下がる。いとまごいをして帰る。まかる。
※正法眼蔵(1231‐53)行持下「ながく父王の
国土を辞して」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈
長与善郎〉竹沢先生東京を去る「少からず満足して先生の許を辞した」
[2] 〘他サ変〙 じ・す 〘他サ変〙
① 辞退する。すすめられたことや頼まれたことを断わる。現在では「…を(も)辞せず」(五段なら、「辞さない」)の形で、「…を恐れたり、避けたりしない」の意の強い決意を示すのにも用いる。「強硬手段をも辞せず」
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「
朝廷(おほやけ)にもかなはず、つかさくらゐも辞して、
三条の末、
京極の
大路に広く面白き家を造りて、娘に琴を習はす」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「半夜突然来って君を煩はせしに、君辞せずして厚待に遇ふ」
② 辞職する。勤めている職をやめる。
※
源氏(1001‐14頃)
竹河「年ごろ、かう思しおきてしかど、えじし給はざりしを」
じ【辞】
〘名〙
※
万葉(8C後)一八・四一三二・右詞文「稍開
二来封
一其辞云々者、先所
レ奉書返畏度
レ疑歟」
※正法眼蔵(1231‐53)
陀羅尼「あまた請坐の辞あり」 〔易経‐
繋辞・上〕
② 公式令に規定されている文書の様式の一つ。下級官人・庶民が官司に差出す文書様式とされているが、現存しているものはなく、また一般には解(げ)の様式の文書が作製されることが多い。辞状。
※令義解(718)公式「年月日位姓名。辞。〈此謂
二雑任初位以上
一〉〈略〉其事云云。
謹辞」
③ 中国の、古典文学の一ジャンル。もと中国古代の
南方の民間歌謡の呼び名であったが、しだいに歌わないで朗誦するだけとなり、長篇化した。のち賦ともいい、あわせて辞賦とも呼ぶ。韻はふむが規則はきわめてゆるい。→
賦。
④ 日本語の単語を文法上の性質から二つに大分類した一つ。付属語(助詞・助動詞)をいう。てにをは。
時枝誠記の文法説では助詞・助動詞・接続詞・感動詞・ある種の
副詞を含む。⇔
詞③
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の辞の言及
【品詞】より
…この3分類は,十分に文法機能のうえから考察した結果ではなかろうが,17世紀初めのJ.ロドリゲスの《日本小文典》は,日本人が全品詞を〈名,ことば,てには〉の3語に包括していると述べている。〈てには〉は助辞,〈ことば〉は動詞(現在の用言。形容詞,形容動詞を含む),〈名〉はその他のいっさいである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」