便(読み)ベン

デジタル大辞泉 「便」の意味・読み・例文・類語

べん【便】[漢字項目]

[音]ベン(呉) ビン(慣) [訓]たより すなわち
学習漢字]4年
ベン
障りなく事が運ぶ。都合がよい。「便益便宜便法便覧便利簡便軽便至便不便方便利便
くつろぐ。ふだんの。「便衣便殿便服
通じ。大小便。「便器便所便通便秘検便軟便緑便
口先がうまい。「便佞べんねい
ビン
障りなく事が運ぶ。都合がよい。「便宜音便穏便
都合のよい機会。「便乗
たより手紙。「便箋びんせん後便こうびん先便
交通や通信の手だて。「急便幸便船便せんびん・ふなびん郵便航空便定期便
[名のり]やす

べん【便】

都合がよいこと。「交通の便がいい」
大便と小便。特に大便。
[類語](1便利重宝簡便軽便至便利便/(2うんこうんち大便くそばばふん糞便人糞

びん【便】

人や荷物・手紙などをある場所まで運ぶこと。また、その手段。「飛行機便がある」「午後便で届く」「宅配便」「速達便
都合のよい機会。よい方法。ついで。
「侍のをのこども仕まつるもののうちに、―ある所をなむ僧坊にしける」〈宇津保嵯峨院

びん【便】[漢字項目]

べん

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精選版 日本国語大辞典 「便」の意味・読み・例文・類語

びん【便】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 1 ]
    1. 都合のよい機会やつて。てづる。ついで。便宜。「びんなし」「びんよし」「びんあし」などと熟して用いられる。
      1. [初出の実例]「侍のをのこども仕まつるもののうちに、びんある所をなんそらはらにしける」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
      2. 「Binuo(ビンヲ) ウカガウ。または、ビン、ヒマヲ ウカガウ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      1. (イ) 郵便。手紙。音信。
        1. [初出の実例]「せんとのなかもとりふねのひんに、にはんつくそきか、といさきにひよりおまつと申きたほとに」(出典:捷解新語(1676)一)
      2. (ロ) ある地からある地への交通、運輸の手段。
        1. [初出の実例]「電車の便が有るから其れには及ばぬと言って」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)
  3. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( [ 一 ]接尾語化したもの ) 名詞に付いて、郵便、運輸についての様態や数、特定の便の名に用いる。「船便」「速達便」「宅配便」「定期便」「羽田発六二五便」

べん【便】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) つごうがよいこと。便利であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「是と云も仏法流布の国で、経教をつよく人が読に依て、呉音に便なぞ」(出典:史記抄(1477)一〇)
    2. [その他の文献]〔荀子‐議兵〕
  3. 大便や小便。特に、大便をさすことが多い。
    1. [初出の実例]「かくの如く度々すれば、ことごとく便につきて、にほひうするもの也」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)
    2. [その他の文献]〔漢書‐張安世〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「便」の読み・字形・画数・意味

便
常用漢字 9画

(旧字)
9画

[字音] ベン・ビン
[字訓] やすらか・ならう・たより・たやすく・すなわち

[説文解字]

[字形] 会意
人+(更)。に更改の意がある。〔説文〕八上に「安んずるなり。人、不なることるときは、之れを(あらた)む。人ととに從ふ」とするが、その会意によって便安・便利の意となることを説きえない。金文の(ぎよ)は馬に鞭度(べんたく)を加える形であるが、そのの従うところはの字形に近く、とは人に鞭度を加える意象の字であろうと思われる。ゆえに人を駆使する意となり、便利捷給の意となる。は変更・更改の意で、もとその呪的な方法を示す字であった。鞭度を加えて祓い、安することから、他の諸義が生じたものであろう。

[訓義]
1. やすらか、やすらかにする、くつろぐ。
2. ならう、なれる、くつろぐ。
3. たより、音信。
4. たやすく、すなわち、容易。
5. 都合がよい、はやい、たくみ。
6. へつらう、口上手。
7. いばり、ゆばり、くそ、大小便。
8. 平・辨(弁)と通じ、わかつ。

[古辞書の訓]
名義抄 スナハチ・タヨリ・タヤスク・ヤガテ・タル・ワキマフ・ウルハシ・ナラフ/方 ツキヅキシ・ヤスラフ/ スナハチ 〔字鏡集〕 タル・ヤガテ・ウルハシ・ワキマフ・ナラフ・タヨリナリ・スナハチ・タヨリ・ユバリ・タヤスシ

[声系]
〔説文〕に声として鞭・の四字を収める。(あさ)を以て両股交辮するもので、鞭策の制と似たところがある。は竹の輿で編竹を以て作る。はまた声の字に作り、声と声と通ずることがある。

[語系]
bianはphyenと声近く、は軽挙、(へん)は〔説文〕十二下に「輕き皃なり」とあり、軽便のさまをいう。また三上は「巧の言なり」とあり、声・声に声義の通ずるところがある。

[熟語]
便箋・便愛・便悪・便安・便衣・便易・便意・便益・便液・便悁・便可・便家・便器・便宜・便計・便・便・便娟・便・便言・便戸・便幸・便巧・便坐・便・便私・便辞・便事・便時・便室・便疾・便習・便就・便捷・便章・便人・便勢・便旋・便体・便地・便程・便殿・便道・便・便佞・便寧・便飯・便煩・便繁・便美・便媚・便敏・便風・便服・便腹・便嬖・便辟・便僻・便便・便房・便面・便・便門・便桶・便頼・便覧・便利・便路・便鑪
[下接語]
安便・応便・穏便・歓便・簡便・形便・軽便・巧便・好便・幸便・便・小便・清便・静便・溲便・体便・大便・不便・方便・郵便・利便・両便

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

栄養・生化学辞典 「便」の解説

便

 糞,糞便.不消化物や腸内微生物,消化管表面細胞の剥離したものなどからなる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の便の言及

【大便】より

…大便は消化過程の最終産物で,肛門から体外に排出される。大便の量は,食物の種類,分量によって異なるが,混合食の成人では1日100~200g,1日1回が普通である。…

※「便」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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