良(漢字)

普及版 字通 「良(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] リョウ(リャウ)
[字訓] よい・すぐれる・まこと・やや

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
長い(ふくろ)の上下に流し口をつけて、穀物などを入れ、それをよりわけ、糧をはかることをいう。〔説文〕五下に「善なり。(ふく)の省に從ひ、(ばう)聲」とするが、その録する小篆及び古文の形は、著しくその初形を失ったもので、説解もまた誤る。高鴻縉の〔中国字例〕に、卜文の字形によって、風箱留実、風を送って穀をよりわけるものとしており、おそらくその良をえらび、量を定めて、糧(粮)とするものであろう。〔釈名、釈言語〕に「良は量なり。力を量りて動き、敢て限を超えざるなり」とするのは音義説にすぎないが、量もの上に流し口を設けて量る意であるから、良・量はその器の形においても近く、声義も近い。〔周礼、考工記〕に〔栗氏〕の職があり、嘉量を掌る。栗は〔司農注〕にまた(歴)に作り、釜鬲(ふれき)の鬲であるという。鬲もまた量器に用いることがある。良は穀をえらび、量を定めるものであるから、また良善の意となり、すべて状態の良善なるものをいう。金文に「良馬乘」「良金」「良臣」などの語があり、〔詩、秦風、黄鳥〕は秦の穆公に従死する人を悼む詩で、各章に「彼のなるは天 我が良人を殲(つく)す」の句がある。

[訓義]
1. よい、すぐれる、うつくしい。
2. まこと、すなお、やすらか、おだやか。
3. はかる、ほどこす。
4. うまれつきのもの、すぐれたもの。
5. 夫、賢人
6. はなはだ、まことに、よく。
7. やや、少しく。

[古辞書の訓]
名義抄〕良 ヨシ・マコト・ハナハダ・ヤヤ・サネ・ヤハラカナリ・フカシ/良久 ヤヤヒサシ

[声系]
〔説文〕に良声として琅・(郎)・(朗)・狼・浪など、十五字を収める。亮明の意をとるものがある。

[語系]
良・兩(両)・亮liangは同声。良は両端を執って扱う器。これによって穀の良善なるものをえらび、その秕(ひこう)を去るので、清朗の意となる。糧(粮)liangは同声。鬲・lyekは量器として用いることがある。

[熟語]
良医・良衣・良逸良姻・良良掾・良縁・良家良貨・良会・良幹・良良驥・良規・良器良騎・良御・良金・良具・良君・良計良景・良剣・良言良賈良晤・良工・良功・良佐・良才良妻・良宰・良材・良策・良産・良士・良史・良師・良時・良式・良質・良日・良手良珠・良俊・良駿良書・良匠・良相・良宵・良将・良食・良心・良辰・良臣・良人良政良賤・良善良知・良地・良疇・良籌・良哲・良田・良図・良能・良農・良馬・良媒・良伴・良匹・良弼良輔・良朋・良方・良宝・良・良謀・良夜・良冶良薬・良・良・良友・良沃・良吏・良隣・良話
[下接語]
温良・佳良・嘉良・改良・完良・吉良・賢良・元良・国良・才良・最良・俊良・駿良・純良・淳良・順良・辰良・精良・選良・善良・端良・忠良・不良・方良・無良・明良・優良・廉良

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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