(読み)やく

  • 漢字項目

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

災厄,苦しみ,特に病苦の意味。古く人間に災厄,特に疫病をもたらすのは神のなせる業であると信じられ,その神を厄病神疫病神厄神行疫神などと呼んだ。このような神の来るのを防ぐために,あらかじめ路上でもてなすという道饗祭 (みちあえのまつり) ,村境の路上に注連縄 (しめなわ) を張る道切りなどの行事が行われた。花が散るとともに疫病神が分散するという信仰から,花を散らせないようにする行事もあった。平安時代から盛んに行われた御霊祭も同じような信仰に基づく厄よけの行事であった (→御霊信仰 ) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

わざわい。災難。「にあう」「を払う」
厄年(やくどし)」の略。「が明ける」
《一生に一度はこうむる大きな災難である意から》疱瘡(ほうそう)のこと。
「お孫さまがお―を遊ばしたさうでございますね」〈滑・浮世風呂・三〉
常用漢字] [音]ヤク(呉)
わざわい。災難。「厄難困厄災厄
よくない巡り合わせ。「厄運厄年(やくどし)厄日(やくび)後厄(あとやく)大厄前厄(まえやく)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

人間の生命や生活の健全と安定をそこなう要因になると考えられている災難・障害に関する心意現象をいう。時間の次元では厄日厄月厄年があり,空間的には厄の生ずるという場所があるが,厄をもたらすという神も考えられており,それらを避けるための呪的方法が多く生み出されている。 厄日にはにもとづく陰陽道によるものが多く,外出を忌む坎日かんにち),葬式を忌む友引(ともびき),家屋の建築や旅立ちを忌む三隣亡(さんりんぼう),種まき植樹を忌む不熟日(ふじゆくにち)・地火(じか)の日などがよく知られているが,二百十日とか二百二十日を厄日とする所も多い。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① わざわい。まがごと。災難。災厄。厄難。
※霊異記(810‐824)上「父の厄を救はむと請ふ」
② 「やくどし(厄年)」の略。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※実隆公記‐延徳二年(1490)二月七日「当年御厄之間別而御願云々」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉犬物語「先づ是で十九の厄(ヤク)を免れて」
③ 疱瘡(ほうそう)のこと。厄年と同じで、生涯に一度は経験するものであったところからいう。
※洒落本・大劇場世界の幕なし(1782)「ホンニお千代さんもおやくをなすったそふで御座ります」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

ノーブレスオブリージュ

《「ノブレスオブリージュ」とも》身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

厄の関連情報