姿(読み)スガタ

デジタル大辞泉 「姿」の意味・読み・例文・類語

すがた【姿】

人のからだの格好衣服をつけた外見のようす。「顔もいいし姿もいい」「鏡に姿を映す」「後ろ姿
身なり。風采。「姿をやつす」「うらぶれた姿
目に見える、人の形。存在するものとしての人。「姿をくらます」「あれっきり彼は姿を見せない」
物の、それ自体の形。「山が雲間から姿を現す」
物事ありさまや状態。事の内容を示す様相。「移り行く世の姿」「主人公の成長する姿を描く」
和歌俳句の、1首・1句に表れる趣や格調などの全体的な風体。特に、歌体。
美しい顔形の人。美人
「―の関守、京の四条は生きた花見あり」〈浮・五人女・三〉
[下接語]あで姿後ろ姿絵姿・幼姿・男姿・帯解き姿・女姿・死に姿立ち姿伊達だて姿旅姿道中姿夏姿似姿寝姿初姿晴れ姿遍路姿やさ姿やつれ姿わらわ姿
[類語]身なり恰好容姿風采風姿様子外形外見外面外貌輪郭かたち形状姿形すがたかたちなりなりかたちなりふり服装風体ふうていスタイル姿勢姿態体勢かた振りポーズ身振り所作しぐさ素振り思わせ振り演技ジェスチャー

し【姿】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]すがた
学習漢字]6年
〈シ〉からだの形やようす。すがた。「姿勢姿態英姿風姿勇姿雄姿容姿麗姿
〈すがた〉「姿絵姿見旅姿寝姿
[名のり]かた・しな・たか

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「姿」の意味・読み・例文・類語

すがた【姿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] 人のからだの恰好や、衣服などを身につけた時のようす。外見からとらえる人の印象。
    1. 人のからだつきや身なり、態度などのようす。風采(ふうさい)。また、姿態。容姿。
      1. [初出の実例]「中臣鎌子連の意気(こころはへ)の高く逸(すく)れて容止(スカタ)(な)し難きことを識りて」(出典:日本書紀(720)皇極三年一月(図書寮本訓))
      2. 「壺装束などいふすかたにて女ばうのいやしからぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
    2. からだ。身。→姿の入れ物
      1. [初出の実例]「身体(スカタ)(あがる)が若く、精霊(たましひ)夢に似」(出典:醍醐寺本遊仙窟康永三年点(1344))
    3. 美しい顔形の人。美人。美女。
      1. [初出の実例]「姿(スカタ)の関守 京の四条はいきた花見有」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)三)
  3. [ 二 ] 事物の形状、様相。
    1. 物のかたち。物のさま。
      1. [初出の実例]「いはほの立てるすがた、植ゑたるもののごとくして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
    2. 事の様相。ありさま。形勢。おもむき。
      1. [初出の実例]「あさみどり春の姿にさほ姫はしだり柳のかつらしてけり〈藤原仲実〉」(出典:堀河院御時百首和歌(1105‐06頃)春)
      2. 「天上影は替らねど 栄枯は移る世の姿」(出典:唱歌・荒城の月(1901)〈土井晩翠〉)
    3. 歌論、連歌論、俳論などで、一つの歌や句の内容と表現にわたる全体的な形象、また、それによってもたらされた格調や律調など。歌体。句体。
      1. [初出の実例]「凡そ哥は心ふかくすがたきよげに、心にをかしき所あるを、すぐれたりといふべし」(出典:新撰髄脳(11C初))
  4. [ 三 ] 質物。人質。〔日葡辞書(1603‐04)〕

し【姿】

  1. 〘 名詞 〙 すがた。かたち。
    1. [初出の実例]「姿 スガタ シ」(出典:易林本節用集(1597))
    2. [その他の文献]〔後漢書‐李固伝〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「姿」の読み・字形・画数・意味

姿
常用漢字 9画

(旧字)
9画

[字音]
[字訓] すがた

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(次)(じ)。は人のたちなげく形。祝の器である(さい)をそえて、神にうれえ申すことを「咨(なげ)く」「咨(はか)る」、そのなげき訴えるさまをという。〔説文〕十二下に「態なり」と人の姿態をいうとする。女の咨嗟憂傷するさまが、最も姿態あるものとされた。

[訓義]
1. すがた、なり、かたち。
2. ようす、おもむき、風情、風姿。
3. かたちづくる、こびる。

[古辞書の訓]
名義抄 スガタ・カタチ・カホシナ・サマ・フルマヒ

[語系]
・咨tzieiは同声。女が神に咨(なげ)き、うれえ申す姿を、姿態ありとするものであろう。

[熟語]
姿宇・姿影・姿格・姿顔・姿器・姿儀・姿形・姿芸・姿才・姿采・姿状・姿色・姿神・姿性・姿制・姿勢・姿態・姿致・姿調・姿度・姿年・姿媚・姿表・姿稟・姿望・姿貌・姿容
[下接語]
異姿・逸姿・英姿・婉姿・艶姿・奇姿・嬌姿・凝姿・玉姿・姿・弘姿・恒姿・高姿・鴻姿・淑姿・神姿・真姿・生姿・清姿・聖姿・多姿・貞姿・天姿・姿・風姿・芳姿・鳳姿・妙姿・野姿・勇姿・雄姿・妖姿・容姿・令姿・霊姿・麗姿・朗姿

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「姿」の意味・わかりやすい解説

姿 (すがた)

歌学の用語。姿ということばは,身なり,かっこう,ふるまいなど,人の全体のようすを示すもので,平安時代以降の和文では服装をさすことも多かったが,外形・容貌をさす〈かたち〉に対して,内なる〈こころ〉のあらわれとして用いられるようになり,さらに外形と内面とを統一したものを姿のなかに見ようとするようになった。したがって姿は生まれつきのものではなく,心によって変えられると考えられた。歌学の用語として姿ということばをとりあげたのは,平安時代中期の藤原公任で,その歌論書《新撰髄脳》は,心と詞の調和を説いた紀貫之の《古今和歌集仮名序の論を発展させ,心と詞が一体になったときにすぐれた歌が生まれ,それは歌の姿の美しさとしてあらわれると説いている。さらに歌の理想の姿は〈余りの心〉をもたらすという公任の論が,藤原俊成の〈余情〉,藤原定家の〈有心〉へと展開したことが示すように,歌の姿の論議は歌論の中心の一つになった。
歌論
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「姿」の解説

すがた【姿】

栃木の日本酒。酒名は、「搾ったままのそのままの姿の酒」の意。精米歩合50%で仕込む純米吟醸の無ろ過生原酒。原料米は山田錦。仕込み水は男体(なんたい)山系大谷川の伏流水。蔵元の「飯沼銘醸」は文化8年(1811)創業。所在地は上都賀郡西方町大字元。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

栄養・生化学辞典 「姿」の解説

姿

 →均称

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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