(読み)シオ

デジタル大辞泉 「潮」の意味・読み・例文・類語

しお〔しほ〕【潮/×汐】

月や太陽引力によって周期的に起こる海面昇降。うしお。「―が満ちる」「―が引く」
海水。また、潮流海流。「―を汲む」「―が変わる」
事をするのによい機会。しおどき。「それを―に席を立つ」
愛嬌あいきょう
「常は人を見るに必ず笑を帯びざる無き目の―も乾き」〈紅葉金色夜叉
江戸時代、上方の遊里で、揚げ代が3匁の遊女。大夫・天神鹿恋かこひに次ぎ、影・がちの上。
[補説]漢字表記の「潮」は朝しお、「汐」は夕しおの意。
[下接語]青潮赤潮上げ潮朝潮入り潮渦潮大潮落ち潮親潮かざ黒潮小潮込みさか込み潮さか下げ潮差し潮高潮血潮出潮中潮長潮にがのぼり潮はつ引き潮満ち潮向かい潮夕潮若潮
[類語]うしお高潮たかしお高潮こうちょう満潮満ち潮干潮引き潮潮汐干満満ち干満ち引き上げ潮出潮下げ潮入り潮退潮大潮小潮赤潮

うしお〔うしほ〕【潮】

海面の水位が太陽や月、特に月の引力によって、定期的に高くなったり低くなったりすること。潮汐ちょうせき。しお。
海水。「太平洋に洗われて育つ」
高まったり静まったりするもの、また、押し寄せてくるものなどのたとえ。
感情の―がまだのぼりはしまいかという掛念で」〈漱石明暗
潮汁うしおじる」の略。
[類語]しお高潮満潮満ち潮干潮引き潮高潮こうちょう潮汐干満満ち干満ち引き上げ潮出潮下げ潮入り潮退潮大潮小潮赤潮

ちょう【潮】[漢字項目]

[音]チョウ(テウ)(漢) [訓]しお うしお
学習漢字]6年
チョウ
海水の干満。また、海水の流れ。「潮水潮汐ちょうせき潮流海潮干潮高潮順潮満潮落潮
世の中の趨勢すうせい。「思潮風潮
表面に差し現れる。「紅潮
〈しお〉「潮騒しおさい潮時渦潮黒潮高潮血潮

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精選版 日本国語大辞典 「潮」の意味・読み・例文・類語

うしおうしほ【潮・汐】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「潮」は朝しお、「汐」は夕しおをいう )
  2. 月と太陽との引力によって海水が定期的に満ちたり引いたりして生ずる潮流。
    1. [初出の実例]「水門(みなと)の 于之裒(ウシホ)の下り 海下り」(出典:日本書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡)
  3. 海水。
    1. [初出の実例]「聊(いささか)に霖雨(ながめ)に逢へば、海潮(ウシホ)逆上(さかのぼ)って巷里(むらさと)船に乗り」(出典:日本書紀(720)仁徳一一年四月(前田本訓))
    2. 「大海にうかぶといへども、うしほなればのむ事もなし」(出典:平家物語(13C前)灌頂)
  4. 海水より製した塩。
    1. [初出の実例]「広く塩(ウシほ)を指して詛(のろ)ふ。〈略〉角鹿の海の塩(うしほ)をのみ忘れて詛はず。是に由りて、角鹿の塩は、天皇の所食(おぼの)と為し」(出典:日本書紀(720)武烈即位前(図書寮本訓))
  5. うしおに(潮煮)
    1. [初出の実例]「おどり子を味噌とうしほの間(あ)いへ出し」(出典:雑俳・柳多留‐八(1773))
  6. ( を比喩的に用いて )
    1. (イ) 多量に寄せてくるもののたとえ。
      1. [初出の実例]「見る見るプラットホオムを真黒になって出て来る群衆の潮(ウシホ)は」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)
    2. (ロ) 感情など高まったり、しずまったりするもののたとえ。
      1. [初出の実例]「彼女の興奮は漸く食ひ留められた。感情の潮(ウシホ)がまだ上りはしまいかといふ掛念で、暗に頭を悩ませてゐた津田は助かった」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉一五〇)

しおしほ【潮・汐】

  1. 〘 名詞 〙 ( 漢字表記「潮」は朝しお、「汐」は夕しおの意 )
  2. 海面が月と太陽の引力によって周期的に高くなったり低くなったりして、海水が岸また沖の方へ交互に動くこと。また、海流の動き。潮流。海水の流れ。うしお。
    1. [初出の実例]「此の塩(しほ)の盈(み)ち乾(ひ)るが如(ごと)く、盈ち乾(ひ)よ」(出典:古事記(712)中)
  3. 海の水。海水。うしお。
    1. [初出の実例]「塩(しほ)許々袁々呂々邇(こをろこをろに)〈此の七字は音を以ゐよ〉画(か)き鳴し〈鳴を訓みてなしと云ふ〉て引き上げたまふ時、其の矛の末(さき)より垂り落つる塩(しほ)、累積もりて島と成る」(出典:古事記(712)上)
  4. あることをするのにちょうどよい時。よいおり。よい機会。頃あい。時節。しおどき。しおあい。
    1. [初出の実例]「水の海とおつる涙は成りにけりあふべきしほもなきと聞くより」(出典:散木奇歌集(1128頃)恋上)
  5. あいきょう。愛想。愛らしさ。また、情趣。
    1. [初出の実例]「しほのありてこつがましき人の物云たると、しほもなく無故実なる人の物云たるとは同事なりとも、更に別の物にてあるべき也」(出典:九州問答(1376))
  6. 江戸時代、大坂新町遊里の下級遊女の階級。太夫・天神・鹿恋(かこい)の次で影・月(がち)の上。揚げ代が三匁であったところから、謡曲「松風」の「月は一つ、影は二つ、三つ汐の」の文句にかけていった語という。
    1. [初出の実例]「端女郎は鹿恋(かこひ)より下〈略〉位は一を壱寸とも月(ぐゎち)ともいふ。二は二寸共かげ共いふ。三を三寸とも塩(シホ)共いひ」(出典:浮世草子御前義経記(1700)一)
  7. しお(塩)

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普及版 字通 「潮」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(旧字)
15画

(異体字)
11画

[字音] チョウ(テウ)
[字訓] うしお・しお

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(朝)(ちょう)。の金文の字形には、(月)を水にかえた形、潮水を示すものがある。〔説文〕十一上に正字をに作るが、金文の字形はそれに近く、の字の異文で、またの初文。「水、宗するなり」と朝宗の意を以て解し、の省文に従うとする。潮汐(ちようせき)は朝夕の意をとるもので、潮は朝宗とは関係がない。

[訓義]
1. うしお、しお、海水。
2. しおの流れ、潮流。
3. そそぐ、うるおう。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 志保美豆(しほみづ)〔和名抄 水。宇之保(うしほ)〔名義抄〕潮 ウシホ・アサシホ・シホ 〔字鏡集〕潮 シホ・ミナツ・カハク・ウシホ・アサシホ・フカシ・ヤハラク・ヒチリコ

[語系]
)ditiは声義近く、金文の朝には潮水を示す形のものがある。濤duは大波。潮汐とは朝夕の海水の状をいう語である。

[熟語]
潮音・潮海・潮気・潮涸・潮候・潮痕・潮膩・潮湿・潮潤・潮信・潮水・潮声・潮勢・潮汐・潮長・潮漲・潮・潮波・潮平・潮満・潮来・潮落・潮流
[下接語]
暗潮・海潮・干潮・寒潮・観潮・狂潮・江潮・高潮・残潮・思潮・主潮・秋潮・春潮・順潮・上潮・信潮・晨潮・新潮・赤潮・早潮・退潮・晩潮・風潮・暮潮・奔潮・満潮・夜潮・落潮

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改訂新版 世界大百科事典 「潮」の意味・わかりやすい解説

潮 (しお)

海水やその性質,海水の流れ,潮汐などを表す語。例えば黒潮,親潮,あるいは潮が甘いなどの〈潮〉は第1の意味合いを,潮波の〈潮〉は第2の意味合いを,潮がさすや潮時の〈潮〉は第3の意味合いをもっている。
執筆者:

潮の干満や速度,流れなど,海に生きる人々にとって,むかしから強い関心がもたれてきた。とりわけ操船上,潮の動きは重要であり,舟人や漁民の間では潮にかかわる語彙は豊富である。デシオ,イリシオをはじめ,干満などによる潮の流れのない状態をトロミ,潮が出合って波立つところをシオザイと呼び,干潮のヒオチまたはソコチ,満潮のタタエなどとともに,広い範囲で用いられる語彙が多い。また漁法でも干満の潮の流れを利用して行われるものも多く,建干(たてぼし)網や石干見(いしひみ)漁法などがある。このうち石干見漁法は,魚を強制的に誘導する装置を伴わない,まったく潮の干満のみを利用した原始的漁法で,汀線に馬蹄形あるいは方形の自然石を積み,満潮時に潮にのってこの中に入ってきた魚族を干潮時に潮が石のすき間から出たのちすくいとる漁法で,太古より世界的に広い分布をもち,日本でも沖縄や九州などで最近まで行われていた。また潮には,人は満潮時に生まれ干潮時に死ぬというなど,人の生死にかかわる俗信が多く伴っている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「潮」の意味・わかりやすい解説


しお

潮汐

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デジタル大辞泉プラス 「潮」の解説

株式会社潮出版社が発行する総合月刊誌。月刊。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【潮汁】より

…単に潮ともいう。鮮度のよい魚貝類を塩味だけで調味した汁で,室町時代以後潮煮と呼ばれていた料理。…

【海】より

海底堆積物
[海水の運動]
 海水の運動は種々雑多であるが大別してほぼ定常的なものと,だいたい一定の周期をもって繰り返すものがある。前者に属するものは海流で,後者に属するものには潮汐による潮浪,潮流,湾の振動(セイシュ)および津波風浪うねり,内部波などがあり,日常生活に短期間周期の影響を与える。 海流によって気温,水温,塩分などの分布が支配され,またそれに従って気候,風土,生物などの分布が定まり,文明までがその影響を受けたと考えられる。…

※「潮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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