普及版 字通 「父(漢字)」の読み・字形・画数・意味
父
常用漢字 4画
(旧字)
4画
[字訓] ちち・おとこ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
斧頭の形+(又)(ゆう)。は手。斧鉞(ふえつ)をもつ。指揮権をもつ人。その儀器。〔説文〕三下に「(く)なり」と畳韻を以て訓し、「家長のゐてふるなり。(手)を以て杖を擧ぐるに從ふ」と杖をもつ形とするが、卜文・金文の字形は斧(おの)の頭部をもつ形である。王・士はそれぞれ鉞(まさかり)の刃部の形で、その身分を示す儀器によって、その人を示す。尊称として用いることもあり、金文に毛公(あん)を毛父(もうほ)・父(ほあん)のようによぶことがある。また尊称的に伯懋父(はくぼうほ)・伯父(はくわほ)のように下につけて用いる。のちその字に甫を用いる。
[訓義]
1. ちち。
2. 父老の称。尊称的に用いる。
3. 親族の父輩の人。
4. おとこ、男子の美称。管仲を仲父、増を亜父(あほ)という。
5. 身分の低いおとこ、おやじ、漁父、田父。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕 知々(ちち)。日本紀私記に云ふ、加曾(かそ)〔名義抄〕 チチ 〔字鏡集〕 チチ・イロハ・ハジメ
[声系]
〔説文〕に声として甫・布・斧の三字を収め、甫(ふ)をの亦声とする。甫はおそらく田圃に関する字で、の声義を承けるものとはしがたい。甫を父の意に用いるのは仮借、尊称とする。
[語系]
biuaは甫piuaと声近く、甫は〔説文〕三下に「男子の美なり」という。輔biuaはと同声。
[熟語]
父▶・父翁▶・父艱▶・父君▶・父子▶・父師▶・父事▶・父慈▶・父執▶・父親▶・父祖▶・父党▶・父任▶・父輩▶・父母▶・父憂▶・父老▶
[下接語]
阿父・王父・仮父・家父・外父・岳父・季父・義父・舅父・漁父・教父・君父・継父・厳父・師父・尼父・事父・慈父・主父・従父・叔父・諸父・将父・樵父・神父・親父・世父・先父・祖父・父・族父・尊父・大父・乃父・仲父・田父・同父・伯父・亡父・養父・老父
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報