(読み)グン

デジタル大辞泉 「軍」の意味・読み・例文・類語

ぐん【軍】[漢字項目]

[音]グン(慣) [訓]いくさ
学習漢字]4年
兵士の集団。戦うための組織。「軍医軍人軍隊軍部援軍海軍官軍孤軍行軍三軍将軍進軍水軍大軍友軍陸軍
戦争。いくさ。「軍記軍事軍神軍備軍略従軍
試合・競技をする一団。チーム。「東軍・二軍・女性軍」
[名のり]いさ・すすむ・むら・むれ
[難読]軍鶏シャモ

ぐん【軍】

軍隊。「を率いる」
陸軍海軍空軍の総称。
数個軍団または師団によって構成される軍隊の編制単位。「方面
[類語]軍隊軍勢部隊

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「軍」の意味・読み・例文・類語

ぐん【軍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 軍隊。軍勢。兵隊。つわもの。
    1. [初出の実例]「凡非簡点次者。〈謂。計帳之時也〉不輙取人入軍。及放人出一レ軍」(出典:令義解(833)軍防)
  3. 戦い。戦争。いくさ。
  4. 律令制の軍制で、征討の時に編制した三軍の各部隊の称。一万人以上と、九千人以下五千人以上と、四千人以下三千人以上との三種類があった。
    1. [初出の実例]「三千人以上。減軍曹二人、各為一軍」(出典:令義解(718)軍隊)
  5. 陸・海・空軍の総称。軍部。国軍
  6. 旧日本陸軍で、戦時出征に際し数個の師団をもって編制されたもの。通常、三~四個師団で編制された。軍団。
  7. スポーツなどで、一定の人数で構成された一団の者。チーム。
  8. ぐんたい(軍体)」の略。
    1. [初出の実例]「三体作書条々、老・女・軍、是三体也」(出典:三道(1423))

いくさ【軍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 矢を射ること。射芸。
    1. [初出の実例]「射(イクサ)を習ふ所を築く」(出典:日本書紀(720)持統三年七月(北野本訓))
  3. 武人。戦士。兵卒。また、軍隊。軍勢。
    1. [初出の実例]「高麗王、即ち軍兵(イクサ)を発して」(出典:日本書紀(720)雄略八年二月(前田本訓))
  4. 兵と兵とが戦い合うこと。戦争。戦闘。合戦。たたかい。
    1. [初出の実例]「唐土の帝のいくさに負け給ひぬべかりける時」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)

軍の語誌

( 1 )「いく」は「的(まと)」を意味する上代語の「いくは」、また「射る」意の「いくふ」と関係があるか。接頭語の「いく(生)」との説もある。「さ」は「箭(や)」の意の「さ」とも、接尾語の「さ」とも考えられる。
( 2 )の意が資料に現われるのは中古になってからであるが、この意味で多く用いられるようになるのは中世以降である。特に、「平家物語」「保元物語」など軍記物語にはこの意で用いられているものが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「軍」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(異体字)
9画

[字音] グン
[字訓] いくさ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
車上に旗を立て、なびかせている形。兵車を以て全軍指麾(しき)することをいう。〔説文〕十四上に「圜(まる)く圍むなり。四千人を軍と爲す。車に從ひ、の省に從ふ。車は兵車なり」という。(包)に従って包囲の意を示すとするが、勹(ほう)は金文字形によると旗のなびく形。旌旗を以て指麾する意。〔礼記、曲礼上〕に「に士師るときは、則ち虎皮を載(あ)ぐ」のように、情況に応じて指示する号の旗をあげた。指麾を取ることをまた揮といい、軍を動詞化した語である。指麾に従って軍を移動することを運という。

[訓義]
1. いくさ、いくさする。
2. たむろする、陣どる。

[古辞書の訓]
名義抄〕軍 イクサ・モロモロ 〔立〕軍 イクサ・イクサダチシテ・モロモロ・マホル

[声系]
〔説文〕に軍声として(運)・・暈・・渾・揮など二十二字を収める。そのうち軍の声義をとるものは、一団となって運旋する意をもち、などは飛揚の意をとるようである。

[熟語]
軍衣・軍・軍営・軍衛・軍役・軍宴・軍家・軍・軍・軍楽・軍官軍監・軍艦・軍器・軍・軍紀・軍記軍旗軍麾・軍儀・軍議・軍禁・軍勲・軍刑軍警・軍檄・軍健・軍権・軍憲・軍戸・軍鼓軍伍・軍功・軍候・軍行・軍校・軍興軍国・軍佐軍倅・軍財・軍罪・軍志・軍士軍司・軍市・軍師・軍資・軍事・軍実・軍社・軍須軍需・軍戎・軍書・軍所軍将・軍餉・軍賞・軍帖・軍場・軍食・軍職・軍神・軍讖・軍人・軍陣・軍帥・軍率・軍政・軍正・軍声・軍制・軍勢・軍籍・軍船・軍戦・軍銭・軍争・軍属・軍卒・軍隊・軍台・軍団・軍中・軍籌・軍・軍鎮・軍丁・軍田・軍帑・軍・軍牘・軍馬・軍婆・軍幕・軍閥・軍備・軍票・軍武・軍府・軍符・軍賦・軍副・軍分・軍壁・軍簿・軍防・軍謀・軍法・軍鋒・軍民・軍務・軍命・軍門・軍約・軍容・軍用・軍吏・軍略・軍旅・軍虜・軍塁・軍令・軍礼
[下接語]
一軍・営軍・援軍・海軍・官軍・冠軍・還軍・義軍・禁軍・空軍・懸軍・孤軍・護軍・行軍・皇軍・国軍・左軍・佐軍・在軍・三軍・参軍・散軍・支軍・舟軍・終軍・衆軍・従軍・粛軍・将軍・進軍・水軍・制軍・整軍・全軍・前軍・賊軍・大軍・治軍・中軍・敵軍・典軍・殿軍・入軍・馬軍・敗軍・反軍・武軍・撫軍・分軍・夜軍・友軍・右軍・遊軍・六軍・陸軍・両軍・臨軍

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改訂新版 世界大百科事典 「軍」の意味・わかりやすい解説

軍 (ぐん)

〈軍〉という語は古代より多様な意味で使われているが,現代的には以下のような意味をもつ。(1)いくさに備えるために設ける兵隊。(2)陸・海・空軍の総称(軍隊)。(3)軍隊編制の単位の一つで,一指揮官の下におかれた数個師団または数個軍団(数個の師団で編成)の軍隊の総称。先進諸国の軍隊は通常,数個軍団で軍を編成している。旧日本陸軍では諸外国の軍団に相当するものを軍と称した。すなわち天皇に直隷または方面軍の下に,通常3~4個師団,ときとして数個支隊で軍を編成し,人事・兵站(へいたん)等の管理機能も付与された。自衛隊では方面隊が軍に類似する機能をもっている。
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