雷雨(オストロフスキーの戯曲)(読み)らいう(英語表記)Гроза/Groza

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

雷雨(オストロフスキーの戯曲)
らいう
Гроза/Groza

ロシアの劇作家A・N・オストロフスキーの五幕戯曲。1859年作。夢見がちな乙女カテリーナは、見ず知らずの男のもとに嫁ぎ、因習と頑迷に凝り固まった婚家で姑(しゅうとめ)の叱責面罵(めんば)に耐えながら、愛のない夫に心のよりどころをみいだすことができず、恋人にかけた期待も裏切られ、絶望の果てにボルガ川に身を投げて死ぬ。作者は、この女主人公を自殺にまで追いやった偽善迷信、残忍なロシア社会を、深い真実と詩情のなかに描き出し、激しい憤りを込めて告発している。

[野崎韶夫]

『米川正夫訳『雷雨』(『ロシア文学全集35』所収・1959・修道社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android